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多分脱・我儘令嬢をしたわたくしは7歳になった・前

前中後になる予定です。

使用人達からは『お嬢様が泉で浄化された記念日』と呼ばれているらしい、前世の記憶を思い出したあの日から一か月と少し経った。


使用人達との絆は順調に深められていると思う。

お勉強の方はマクシミリアンが教えてくれる魔法、家庭教師の先生が用意して下さるカリキュラム、マナーレッスンの授業…と盛り沢山だけど、精神年齢合計20歳越えには楽勝だ!

…最近始まったダンスレッスンは少し苦手だけど…。

前世からリズム感が無かったのよね。カラオケも苦手だったなぁ…。

ついに手に入れたわたくしの畑のお世話も順調だ。

怒られるかな?とちょっとドキドキしながらマクシミリアンに畑を見せたら優しく笑って、

『すごいですね、お嬢様!素敵な畑です!』

と言ってくれた。

それからは畑を作った理由を特に聞く事も無く、ジムと一緒に畑のお世話を手伝ってくれている。

お陰で畑には雑草一本も無く、緑が健やかに育っている。

マクシミリアンは、優しいなぁ。


そんな充実した一か月とちょっとだった。


そして本日はわたくしの!7歳の誕生日なのだ!

前世年齢合わせると25歳!とうとうアラサーになりました!


侯爵家のご令嬢であるわたくしのお披露目も兼ねて邸でお客様を呼んでのガーデンパーティーがあるのだ。

パーティーに参加するのはどちらの人生でも初めてで、すごくドキドキする。


「お嬢様、そろそろお着換えしましょう」


そう言ってメイドのジョアンナがドレス片手に近づいて来る。

ジョアンナは17歳。王都でかなりのシェアを持っているストラタス商会の4番目の子供だ。

わたくしが2歳の頃から邸で働いていて、主にわたくしの身の回りのお世話をしてくれている。

さらさらした水色の髪が綺麗なくりくりおめめの美少女で、胸部の辺りがその…とても豊かだ。羨ましい。

父様の警護をしている騎士のお兄さんや出入りの商人を筆頭に色々な男性から熱烈なアプローチを受けているのを見かける。いいなぁ。モテるって。


ジョアンナにドレスを着せて貰い、鏡に向かって立つと。


そこには妖精が居た!ナルシストと言われてもいい!


細く華奢な手足。外で時折農作業をしているのにも関わらず相変わらず白い肌。

湖面の色をした青い瞳を、髪と同じ銀色の長い睫毛が縁取っている。

唇は紅を差していないのに赤く、無造作に下した腰までの見事なストレートの銀糸の髪がきらきらと光る。

そんな美少女の体を包むのは、水色から下に行くにつれ紺にグラデーションして行く綺麗な色のドレスだった。

紺色の部分にはキラキラした輝くスパンコール…では無く微細にカッティングされたほんのり淡く光る魔石が散りばめられている。

魔石は魔力を込めた宝石で、色々な用途に使われている。

例えば水の魔力を込めた魔石は水を一定量生み出せるし、火の魔石は火を起こせる。

一般のご家庭から貴族の家まで、魔石があるからわたくし達の文明生活は成り立っているのだ。

これはきっと光の力を込められた魔石…かな?ふんわりと上品な燐光を見ながら思う。

光の魔法を使える人は数少ない。故に光の魔法が込められた魔石は、とても高価だ。

このドレスの飾り用の魔石の為に父様は一体いくら使ったの…?今度シメておこう。

ドレスは色が大人びている分、フォルムはスカートがふんわり広がった可愛らしいデザインだ。

くるくると鏡の前で回るとスカートがふわりふわりと揺れ、淡い光がチカチカと散った。


「可愛い!!」


鏡に、にぱーっと笑ってみる。

当然鏡の中の美少女もにぱーっと笑った。


「はぁ…お嬢様可愛すぎるわぁ」


ジョアンナが顔を真っ赤にし涙目になりながら何か言っていたが、鏡に夢中のわたくしは聞き取れなかった。


「お嬢様、まだ髪と化粧が終わっていませんよ」


はしゃいでぴょんぴょんしているとジョアンナにめっ!と注意された。

美少女のめっ!ありがとうございます!

精神年齢はジョアンナの上なのだ。美少女からのお叱りはご褒美でしかない。

へ…変態じゃないわよ?


ジョアンナが器用に、髪を編み込みを入れたハーフアップにして行く。

編み込みにされた髪を見ているとテンションが上がる。女の子だし!


「お嬢様は目鼻立ちがハッキリしているので、化粧は薄めにしましょうね」


ジョアンナがそんな事を言いつつ、化粧道具を広げる。

ジョアンナはなんでも出来るなぁ、なんて思いながら彼女の慣れた手つきを眺める。

向かい合って化粧をされるのはなんだかすごくくすぐったい気持ちになる。

唇に紅を塗られる時気恥しくなって身を後ろに引こうとしたら、

また、めっ!って言われた。


身支度が整ったところで、ノックの音が聞こえた。

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