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令嬢13歳・学園祭でやりたい事

「えーっと。一ヶ月後の学園祭でうちのクラスがやる事を決めたいのだが……皆、希望はあるか?」


 担任のアウル先生が相変わらずやる気を感じられない気だるい雰囲気で教室を見渡しながら、わたくし達生徒に声をかける。

 ……学園祭でやりたい事かぁ。

 前世では教室でコスプレ喫茶をしてとても楽しかったのだけど今世でそれを提案するのはなぁ……。

 いや、眉目秀麗な方々が沢山いらっしゃる今世こそ提案するべきなのかしら!?

 仮装喫茶と言えばいいのかしら? でも意気揚々と提案したらシュミナ嬢に前世バレしちゃう可能性が……。


「喫茶店がやりたいですわ! 私、お菓子が作りたいです!!」


 ゾフィー様が爛々とした目で勢いよく手を挙げる。おお、いい流れよ!


「ちょっとした仮装をして接客すると楽しいかもしれないですわね。紅茶を淹れる係をうちの執事にお願いする事も出来ますわよ」


 ゾフィー様のご意見にそっと便乗してみた。だってノエル様のコスプレとか見てみたいもの!

 元乙女ゲーマーとして攻略キャラの新衣装は是非押さえておきたい。

 マクシミリアンもお手伝いついでに何か着てくれないかなぁ……!

『うちの執事』の部分を聞いて令嬢達が黄色い声を上げて色めき立つ……マクシミリアンは女生徒に人気なのだ。……ちょっと妬けるわね。


「マ……マクシミリアンさんにお手伝いして頂けるのなら安心出来ますね」

「そ、そうですわね。ああ、この機会にお近付きに……!」


 聞き捨てならない事を話しているご令嬢もいらっしゃる……。

 あげない、マクシミリアンはあげないんだから!

 ……わたくし、彼と両想いになってから本当に心が狭くなってしまったわね……。


「他に意見があるやつー」


 言いながらアウル先生がぐるりと皆の顔を見る。

 マクシミリアンに色めき立ったご令嬢からの圧倒的支持でうちのクラス出店は『仮装喫茶』に決まったのであった。


「ビアンカ様はどんな仮装をされますの?」


 休み時間、ゾフィー様とマリア様がキラキラした目で話しかけてきた。

 ……ノエル様とマクシミリアンの仮装が見たいなぁとは思っていたけど自分の事までは考えていなかったわね。

 日本で仮装といえばメイドさんなんだけど……令嬢がメイド姿なんて反対意見が出るかしら。

 吸血鬼とか、ミイラ男とか、ホラーっぽい定番物はこちらの世界でも通じるのかなぁ……。


「ビアンカ嬢には男装をさせたらいいかもね。すっごい美少年になりそう」


 ノエル様も横から会話に加わってくる。

 男装……! 宝塚みたいで、すごくいいわね!

 わたくし身長があまりないから上げ底靴を履かなきゃ様にならないだろうけど。

 それはジョアンナが衣装全部と一緒に嬉々として準備をしてくれそうだ。


「じゃあわたくし、男装をしちゃいますわね」

「はぅ……! ビアンカ様の男装! いいですわね!」

「倒錯、倒錯の世界ですね……!!」


 何故かゾフィー様とマリア様のテンションが一気に上がる。


「マクシミリアンさんと並ぶと退廃的な雰囲気になりそうですわねぇ!」


 ゾフィー様の目は潤み、頰が上気している。

 退廃的……!? わ……わたくしの見た目って、そんなに耽美系のイメージなの……!?


「ゾフィー様とマリア様は何をされますの?」

「私達は街のウェイトレスの格好をしようかと! だって喫茶店なので」


 マリア様がにっこりと眩しい笑顔で答えてくれる。

 ……実質メイド喫茶だわ! お二人共似合うんだろうなぁ。


「じゃあ俺はウェイターの格好でもしようかな。ビアンカ嬢も男装をするなら、マクシミリアンも含めて三人お揃いでウェイターとかどうかな?」

「お揃い、いいですわねぇ! せっかくだからウェイトレスの衣装もウェイターと布地や雰囲気を合わせてお揃いにしませんか? 今度皆で衣装の打ち合わせをしません?」


 わたくしの言葉に、皆様は楽しそうに賛同してくれた。

 打ち合わせの場にはジョアンナも連れて行こう。

 あっという間に要望に沿った衣装を揃えてくれる気がするわ。


「学園祭、楽しみですわね!」


 学園生活の醍醐味をこの世界でも味わえるなんて。

 なんだかわくわくしてしまうわね!

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