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さ18・魔法学院とパールコート

 


「ふ、古傷がうずく…」


 期待してきた魔法学院ですが魔法っぽい建物は存在せず、スクールみたいな建物がぽつんと。5階建てではあるので荘厳ではありますけれども。義務教育は悪魔と悪魔のような存在と一緒に過ごす時間だったのでちょっと結構心が痛いですかなり。


 どういう種類があるのかなと思っていたんですが、火や水などの物理的なものが出るものと攻撃的なものを集めた「破壊学科」と、念力や念話に飛行や壁の作成と防御魔法など目では見えないけど力が働いて動きが変わる「変性学科」、そしてエンチャント単体の「魔法付与学科」、読んでそのまんまだけど実は心理作用魔法もやっている「幻術学科」、ディスペル等の打ち消し系の「対抗魔法学科」、「召喚学科」、こんな感じでした。

 後総合基礎学科などと言う魔法入門の学科もありました。

 回復は魔法使いなら必ず持っているものだけど、教会がとりまとめているようです。全部魔素を使いますし魔力が関係するから魔法でまとめちゃえばいいのにね。


「…で、はい!……これが防衛戦の土砦ですね。これに変質をしていただきました。術式はわかりやすく、土よ火山の冷えた岩と完全に変われ!チェンジザストーン、ですね。何も考えないでも出ますが何かよいイメージをした方が結果がよくなりました。火山の冷えた岩はある程度学があればどういうものかわかりますし。傭兵同盟だったので真田山の火山の岩を見たことがある人多かったのが幸いしました。」


 もちろんアポを取っていったんですが、是非とも防衛戦の消えない土砦を出して欲しいと頼まれて実践することに。実際にあれから半年は経ってますが土砦は現存しているそうです。あれに岩を乗せて補強しているそうだ。変質は割と強い術式なら消えないそうです。全然強くないちょー楽ちんな文章で組んじゃったよ。これも消えてません。


「そんなものであれが…信じられません。」


「私はディスペルが効かなかったほうが信じられませんよ。」


 そう、ミニチュア砦はディスペルが効きませんでした。上級ディスペルは必要無くてディスペルで間に合うんだけど、ディスペルは他の解除系より性質的に弱いからここの人だと魔力が足りないんだそうです。ブリーチやロスエフェクト、デリートなどだと強すぎるか合言葉をリセットするほどの精密さが無いなどで、砦そのもののエフェクトまで消えてしまう恐れがあるそうです。それは危ない。ディスペルでリセットできると判っただけでも良しとしよう。

 研究したいから貸してくれというお願いは却下しました。

 乾電池250個はあるから、コアを集めましょう。成長が止まるから他のも作りながらになりますね。


 なにせ勲章をつい先日受けとりましたからなんでも対応して頂けます。学科見学もさせてもらいました。一度術式を聞いて発動出来ればあとは自由に使えるので聞き耳立てまくってました。

 当たり前ですけど術式形式ですので、術の構成や術式の組み方、簡略化などを中心に講義がされてましたね。ほぼイメージが物をいうんですけどね。


 変性と破壊は私のほうが圧倒的に強いので魔法の盗み聞きだけしましたが、ほかは面白かったです。

 基礎学科は基礎を私学んでないからこちらの魔法のことを調べるよい機会になりましたし(わかってないと怪しまれますしね)、魔素を循環させて流れを見て流れを作り、効率よく効果的な魔法を放つというのは初耳でした。魔素追跡みたいなことを意識的にやるとよいのかと解釈し、流れる魔素をできるだけ循環させて追跡してみることにしました。金庫が常に魔素を吸うから、そこに流れないように動かすのは楽しいです。


 幻術は影分身を作ったり霧を発生させたり。ライトもここでしたね。相手に何かを思い込ませて行動を制限したり(簡単なのはサイレンスとか。私がやるサイレンスは変性で音の震動を止めているため別物です。)相手に幻覚を見せて一瞬スタンさせるというのもありました。相手の心を動かすのは脳を多少乗っ取るため、開発が進んでいないようです。どこで考えてどこが意思を持つのかわかってない時代ですからね、回復があるから医療は発展が遅れがちですし。でも楽しかったー影分身は今度から織り交ぜてみよう。センサー持ちサイボーグじゃなければすぐには見破れない。


 対抗魔法は大体の魔法が儀式だったので私が使うのは難しいなと思いました。魔法世界らしく呪いが存在し、人を呪ったりアイテムに呪いをかけたり、というのがあるのでクリーンや簡易ディスペルは学んでおいたほうが良いそうです。秘匿ですが呪いをかける魔法も存在しており研究用の呪いを作ったりしてるそうです。

 クリーンだけ術式教えてもらいました。


 エンチャントはテーブルに道具をおいてかける方式だったのでこれまたちょっと噛み合いませんでした。私のインプラント魔法は説明文によるとその場で実行できますので。まだ取れてないです…

 エンチャントの基本概念はためになりました。コアを加工せずに使うそうです。魔道具もエンチャントの延長線上にあるんだそうです。魔道具屋の作製師はエンチャントの達人ということだそうです。そうですそうです。

 あとディスエンチャントという付与を消す魔法があるという情報も。対抗魔法の範疇ですけれどもね。


 最後の召喚ですが1番ためになったかもしれません。

 まず自分のアイテムを召喚で好きな場所に召喚できること。術式が完成して唱えたその瞬間に思ったところに召喚していたので、サーベルをベルトにつける必要が無くなるかもし れません。入れ物作ってバックに取り付けておけば必要になった瞬間に0秒で手に召喚できます。もしかしたらここの宿において子爵の村で召喚出来るかもしれません。転移みたく自分自身か触っているもの、絆で結ばれた生物など条件が厳しいものしかできないと思いこんでいました。

 物体の召喚以外にも魔素を召喚して武器にしたり防具にしたりなど、発想が魔法がある世界ならではだなという魔法もありました。先程持ち上がったサーベル君即座に引退の危機。魔力と込める力で硬度や切れ味、弓なら貫通力や引く力の軽さに影響が出るそうです(使う魔素が多いほど貫通力が上がって引く力が要らなくなります。サーベルも似たような感じ)

 以前私は魔法弓矢を変性で出したことがあるのですが、あれは普通の弓矢に対して召喚は魔法弓矢、一度に複数本矢を放ったり誘導したりと、ファンタジーファンタジーしてました。

 魔法で魔素の生物を召喚できるのも驚きましたが、魔素の流れを見ると自分の魔素が擬似生物になってるだけでした。でも自動で行動したり壁にタレット召喚できたり、想像出来ればそれを実現できるのです、便利ですね。



 今述べてた中で自分でも使ってみたものは、王都から離れたところで実践しました。全ての系統を見て聞いて即座に使えるは異常なので。術式ですから最低保障があり誰でも使えますがわたしの最低保障は異常ですからね…最低保障でマジックミサイルが100本出ちゃうレベルなので。マジックミサイルは魔力で威力が決まり、力を込めると本数が増えるタイプなのですが、最低保障ではなく力をかなり込めた最大本数でも5〜6本くらいだそうです。バイオーグの異常な成長力がわかりますねえ。


 術式を阻害しない魔法の研究はほぼ行われていませんでした。シールドが阻害しない程度でしか知られていない。まぁ一つの魔法を放つかシールド維持だけで普通は脳の思考と魔力を使い果たすから、あまり知られていないのかもしれません。私もシールドを強めると0秒思考ができるとはいえ思考をある程度持っていかれますね。情報端末のCPUやメモリなどの占有率みたいな感じが当てはまりやすいかな。


 あ、戦略魔法の「大規模術式学」と儀式や戦略魔法で使う「魔法陣学」もありました。どちらも強さや効果が桁一つ違うので、学科見たく教える要素が入ってるのより研究の性質が強いようです。やり方は教えて貰いました。効率よく組むのは私が研究した方が圧倒的に速いと思う。君たちの300年を1週間で超える自信がある。

 パール村の冒険者ギルドマスターのジェンヌさんは自分で魔法陣と戦略魔法の術式をその場で考えて使ったので相当な手練れみたいですね。


 ポーションとか作るのは魔法じゃないんですかと聞いたら、錬金術で作っているそうで、魔法の分野ではないそうです。錬金術学校と作成施設はポーションなども作る関係で王都の中にあるそうです。ふーん、魔法の世界のよくある感じではないんだねえ。


 こんな感じですかねえ。私の実践として学んでいる人の前で魔法を放ちましたが、非常に簡略されている術式で大変な威力を持った魔法が出せて、変性なら見える魔法の防護(魔道アーマーと呼んでましたね。)や全然貫通しないシールドなんかを見て、凄く湧き上がっていました。破壊は範囲を使いませんのでそちらはあまり面白いものではありませんでしたが、単発を6連射もすれば異常性からちょっと引いてました。ああ異常に強いんだなあ私。だってこれくらいゴブリン・デンジャラスの時に使ってますもん。あの3人今どうしてるんだろう、ネームドなのにね。





 魔法学院はこれくらいにしてですね、学生から


「正九位ってなんですか?」


 って聞かれまして、本当になんだろう。始祖に聞いたら


 ウチの赤狐が怪しい、あいつ世界というか全てを超えて他人の作品まで見て見聞を広めるような規格外の狐の神様だから。少なくともウチの世界は作者教が私を妨害している以外に神はいない。


 と返事のお手紙が返ってきまして、赤狐ことフーリーチンのフーちゃんを呼び出して聞いてみることに。私も今まで自然と受け入れてた。破門より怖いな。



「^^来てやったぞ、妾忙しいからはようしておくれ。」


「頭に^^が付くのか…あの、正九位ってなんですか?」


「^^妾の宗教じゃよ?まあ階位の名前は日本のどこかの時代のものからとったが。妾日本の始まりの神様や狐神様と仲良いのじゃ。妾は中国大陸出身じゃよ。」


「わ、わらわのしゅうきょう」


「^^名前決めておらんかったのー、作者教より上のおきつねフーちゃん教じゃな。」


「まて子狐、私の作品に手を出すな。」


「^^いや楽しくないかの?」


「なんともいえない。もうかなり浸透してるしこのまま行くとして、名前は違うのにしましょう、ね?」


「^^えー妾おきつねだしフーちゃんだし?」


「じゃあおきつねで仮決定です!クロスオーバーどころか侵略してるんですからねこれ!!!!」


「^^げ、激怒せんでもよかろー。じゃあおきつね教で主神は妾、赤いきつねの神様じゃ。好物はもちろん油揚げ。正六位から神格が付くからの、精進せい。」どろん


「逃げたーーーー!!!」


 というわけで作者教より上のおきつね教の階位となりました。


 教義は


 まともや真面目さ、これを欲していうのではないが、全う(まっとう)に生きろ。 お前が「全うに生きるならこうするべきだと思ったのでこういう行動した」それがこの宗教の教義じゃ、宗教によって行動を決めるな、行動で宗教をしろ。



 結構深い。

 もし私が大量殺人鬼なら、殺人をすることがこの宗教の教義なのでしょう。しかしそれは全うには反しているのかもしれません。何を持って全うか。全うとは。

 自由すぎて危うい分、己を律する律しろというおきつね様の気持ちが強く表れてます。


 私はどう行動すると全うなんだろうなあ。




 おきつね様が決めたことにより世界が変化し、おきつね教は普通に存在する宗教となりました。みんな知っており、教義も知っていて正九位の凄さもわかります。階位が人間によって与えられるものではなく行動によって勝手に付くということも。勝手にそう思うし周りもそうかもって思う。二つ名は勝手にそう思うようになって自分が付ける。超自然的宗教。

 ただし教会は今のところありません。神社の方がうれしいらしい。神の社だからかなー中国系なのに。特技は気功とチューゴクケンポーって言ってましたが明らかに中国拳法とその教えの1つの気功ですよね。まあこれは関係ないか。


 さてモヤモヤも解消されたことですし、錬金と教会を見て回りましょう。門の外には中で売ることは難しいけど売るものがあるという人が場外マーケットを開いていますので何日かそこもみたい。さすが王都というべきか見るものが一杯です。



 錬金はアルケミーという感じがする独特な施設でしたね。金を基調とした丸くてうねうねしててにょきーんです。独特すぎて伝えようがない。補修大変だろうなあ。


 内部は回復と解毒で4分の1、火炎瓶や爆弾などで4分の1くらい、一時的強化と毒で4分の1くらい、最後に錠剤化の研究と生産、という感じですね。ちなみに火を吐くポーションとかはなかった。オイル口に含んで吹き出して点火するくらいだった。残念。

 爆弾やアルカリ瓶など、破壊系統が結構科学でやってるので、科学的手法でしたっけ、そんな雰囲気は出てました。

 誰でも調合は出来るので、確かに魔法は使わないなあと思いました。毒の生産は解毒の研究のためですね。


 販売は直営店で、危ないものはPDA管理されるそうです。PDA便利だなあ。ただ、PDA機械はこんな時代じゃ絶対作れないので、どうやって確保しているのか気になります。作る遺跡でもあるのかな。


 教会にも行きました。最低保障でかける代わりにお布施の金額が設定されているもの、つまり効果は最低保障以外はランダムですね。質を求める場合はそれ+さらなるお布施です。


 四肢欠損が治ると聞いてびっくりして詳細を尋ねたら、古代の魔法のペンダントがじょじょに再生をしてくれるみたいです。かなりお高いのですが予約待ち3ヶ月だそうです。


 インプラントで傷を治すのと毒と簡単な病気の診断と治療が出来るようになったので、ここで数日奉仕させて貰いました。格下の作者教がおきつね教正九位に抵抗できるわけがない。風邪?風邪は一番最強の病気なので治せないですね…。

 もちろん無料にはしませんでしたが、ちょっと安いのと適切適量な診断と治療なのですぐに長蛇の列が出来てしまいました。私の魔法の練習台ですうけっけっけえけええけえ。


 治療は程度が低いように見える人を任されたのであんまりログに上昇の文字が出ませんでしたが、診断はグッと上がりました。後手術。医学が発展するまでは盲腸レベルがわからずに死ぬ人多かったらしいですからね。腹痛で来てオペしたというケースがかなり多かったです。

 オペは密室でやって患者も眠らせて、10得ツールのメスやハサミ、掴む鉗子などなどたくさん使って行いました。大体小さい穴を開けてそこから柔らかい棒を刺して盲腸などの切除部位へ到達させ、先端をメスなどに変えて切り取って、即座に鉗子にして止血か焼いて止めるみたいな手法でした。後は患部を取り除くだけです。ね?10得ツール先生凄いでしょ?Lvも3とか4とかにしてあるからね!やめてでぃすぺるとれっていいながらきりつけるのやめて。

 一旦止めてしまえば手術器具を抜いて治癒してしまえば傷も痛み無く治りますのでなんとかなりましたね。身体の奥にあると私じゃどうにも出来ないので治癒をして現状維持しか出来ませんでしたが…


 こういうのはやめるときが大変で、最終日は長蛇の列が出来てしまいました。教会の顔を潰すような真似だったかもしれない。まあ私はそうそう簡単には疲れませんのでずっとやり続けましたが。それでも間に合わないのは、しょうが無い。医者をやってるわけでもないですし、どこかで割り切りませんと。



 これやっちゃったなあというのは、町中歩いてるときにもお願いしてくる人が出てきてしまったんですね。これは完全に拒否してますが、もう一度お願いしたい人は多くて町中は普通じゃ歩けなくなり、宿にも押しかけてくる状況になっちゃって。宿を引き払ってちょっと遠い空き地にテントを張って生活する事態に。消えたとか逃げたとか巷では言われている言われてるみたいですが…王都にはなるべく滞在してミススル銀を集められるだけ集めたいのですがどうしましょうね。



「それで今回はご来店になったと。さすがは正九位だけありますね。」


「大分困りまして、何か良いお考えはないかなと。ミススル銀までの魔法鉱物の取引が無くなるのは痛手で…」


「こちらも正九位との取引がなくなるのは痛いですね。まずは変装でしょうね。」


「変装ですか?顔や姿を変えるとか?」


「そこまでは難しいでしょう。マントを買えてメガネをかけ、帽子を被って服を変えればかなりわからないと思いますよ。革のマントという超高額マントを羽織っていたら誰が見ても正九位だって思いますよ。」


「あ、これ高額なんですね、そんなに高くないと感じてました。革をやめるとしたら何が良いのでしょうか。」


 滅茶苦茶早く装備が変わりますが、これは始祖も同じようです。始祖の名の下に生まれたものの宿命かもしれない。


「羊毛のローブを着込み、綿の服を着て帽子はひさしがしっかりとあり深く被るもの。メガネは素材の質の関係でかなり高級ですが放浪様ならなんとかなるでしょう。」


「ローブは戦闘しにくくなりますね…マントを変質させて羊毛にするのは駄目でしょうか。綿の服は抵抗がありませんけど綿も高級ですよね。安い化学繊維は…ないか。全部麻とかは駄目ですかね。」


「マントはあれだけ高級で丁寧に丹精込めて作ったものですので。それを変えてしまうのは職人が泣いてしまいます。王都を出たらお着になるか我が商会に売り払うなどの処置をしてください。綿は高級ですけど貴族も着ますから。あれだけ発色の良い革の服よりかは少しおとなしくなります。正九位に麻で過ごさせるのはさすがにこの騒動に王が介入します。絶対おやめくださいね。」


「だめですか。うーん、何かないものか。ローブはそのままじゃ戦えないし。どんなスタイルでもベルトが外にあるかすぐ取り出せるように前が開けてないと。全身を隠しつつ外にベルトを巻いても違和感がないもの…[小声]背中にベルト付いてるのはコートだよなあ。スーパーロングコートじゃないとここじゃ厳しいな。あれの女性版って上から腰まではしまってて腰から裾までが広がってるものあるなあ。あーロングコートは男性ならくるぶしから15から20cm上のタイプもあるのか。うーんでもコートじゃ細いから、前を完全に閉めちゃうと足が動かしにくいので常に前を開けてないと…そうなるとベルトが難しいか。[小声終わり][ここから0秒思考]画像検索すると前をカットしてるのもあるね。これだとここの寒さに耐えられないな。前じゃなくて横?スリット?風が入ってきそうだ。あ、コートの前部分みたく閉まる構造ならなんとかなるか。ここではコートなんてまだ無いはずだからスタイルは自由だよね。このフリフリ良いなあ…やってみたかったんだよなあ…でもくるぶしくらいまではないと寒さにやられちゃうなあ…ちょっとロングコートで考えよう。フリフリにスリットは確定で、前をどうするか…うーんバランスとると膝上のミニくらいまで切らないと難しいな。あ、腰から下に向かって開いていくデザインいいなこれ。しっかりとフリフリ付けて夜間はそれを伸ばせばいいんじゃないかな。もしくは折りたたんでおく。前は下に開いていくフリフリで女性らしく、横に深い閉じることが出来るスリットで動けるように、上は…襟が十分立てられて、胸から腰の閉める部分には予備のボタン付いてる感じ。襟はボタンで留めないと難しいなあ、ボタン…ポンチなら作ってあるけど…布でフックするタイプの普通にボタンが留められるようにしよう。ボタンは大きいサイズなら作っても問題ないよね。ちゃんとどこかの工房で作ってあげるから。よし。あ、生地。一番アウターの部分だから風を通さない厚手の方がいいな。羊毛つまりウール?セーター?あ、ウールってフェルトの原料なのか。じゃあ品質の良いフェルトで作ってみるか。ん、裏地?ふむふむ…ああ、ジャケットやコートの裏に付いてる生地のことか、着たことないからなーこういう裏地があるの。ファッションもありながら、主体は着やすさか。良質な綿だな。どちらも分厚い生地。色は後で考えよう、よし。ああファッション考えられるってこんなに楽しいんだなあ………[0秒思考ここまで]」


「あの、何か考え事でも?」


「ええ、新しいデザインの外套を作ってしまおうと思いまして。質の良いなめらかで密度のあるフェルトと、同じく密度のとても高い綿の生地ありますか?後留め金を作りたいので作れる施設をお借りしたいのですが。材料は自分で用意しますから。何度か試作をしますのである程度お借りしたいですね。」


「はい、喜んで。完成しましたら独占販売することについてお話がしたいですわ。」


「やりました!ああ、綿の上からならセーターが着られますね。これは普通で良いので良いやつをください。独占販売はこのマントだけじゃ駄目ですか?もうやられていらっしゃいますよね。」


「耳が早すぎますわ。確かに貴族向けに出してます。」


「狐の耳は非常に良いですからね。今回のは新しい概念で作りますので売れるかどうかの見込みはありません。まだ私は正九位程度ですし。正六位位になれば別ですけども。」


「構いません。恐らくメジャーになるのは確実です。前払いで500、使用料金を差し引いて450ユロルでどうでしょうか。」


「お金はいるのは生活が楽になるので構いませんけども。独占販売を護るなにかってあるのですか?今回はデザインだけですからそのままの商品が他でも売りに出すと思いますけれども。」


「売りに出しては駄目というのは国の専売以外はありませんね。しかし最初に売り出したという事実が大変重要なのです。人はそういうのに引かれるものですので。」


「そういうものですか。わかりました後で売りますので、今すぐにでも作業に取りかかりましょう。綿の服も動きやすいものが良いですしね。メガネはものを見てから。」


 というわけで作業が始まりました。全て手探り。生地は本番で使う物は使いませんが、同じ厚みの生地を使います。といってもそれも手探りからなのですが。

 ボタンは合金がありますからそれで黄金色に近いやつを。ミススル銀の綺麗な銀色でも良かったのですけれども。

 溶けない銀はあって、捨て値だったのでがっつり買いだめしました。もちろんみんな大好きプラチナでした。プラチナって指輪だけじゃなくて色々と使われているんですよね。

 似たような金属のパラジウムもありましたし魔法鉱物もありました。今のところどれも銀のまがい物としてしか名前がないので魔法鉱物は何か名前を付けたい所。しかしそんなのは後、女はおしゃれには100%中の100%を出すものなのです。


 スリット部分は前側を大きくして5カ所のボタンで段階的に隠せるように。各ボタンは2カ所取り付けました。一応上は腰ギリギリまでスリット切りましたがまず使わないでしょう。

 ひらひら、プリーツは間隔を広げて。コートですからね。前が開くのでボックスプリーツにしました。サイズは肩から下まで135cmという完全完璧なロングコートに。機動性が思いのほか良いのでくるぶし10cm上位までも隠します。ちなみに私の公称身長170cmは耳を含まないサイズで、耳をいれると190はいくと思います。意外と?巨人です。

 前部分ですが両側をどちらからでも閉めることが出来るPコートと言われる海兵スタイルでボタンは腰から上に両側6個ずつ。結構増えました。いわゆるナポレオンコートっぽいですね。実際は締めるだけなら3つで良いのですがファッション性と予備を兼ね備えてます。両側が広いから重ねると分厚くなり、前から風が来てもまあまあしのげますね。革じゃないから風はどうしても入ってきますのでまあまあです。

 背後はもちろん腰ベルトを着けて操作できるようになってます。実際は腰にぶら下げるベルトが付くので取り付けは難しいと思います。女性のロマン。

 襟は深めに作って寒いときに立てられるように。大きいので襟を留めるボタンが肩の前辺りに付いてます。フードも良いのですが、被るのに50から55cmは必要なのでバックパックとコンフリクト、衝突して戦いが始まってしまいます。今までの外套でフード付いてる描写ないよね?あったら55cmのフードが付いてると思って読んでみてください。違和感バリバリ。


 全体のシルエットはある程度緩やかなAラインといった所ですね。結構綺麗に広がっているので下は女性っぽく感じます。その分風は入りますがオシャレを優先した。後悔はしていないです。上はきっちり締めるし襟もボタン配置もかっこいいので男性チックに。画像で見たナポレオンコートの腰から下が広がるふわふわコート見たくなりました。


 やりました。素材もめちゃいいやつで、表地のウールはこの時代ではとても上等上質なウールをぶあつーいフェルトにして暖かさが逃げにくくチクチクもせず、裏地は質の良い木綿を通常より縒った強化綿糸と言われる糸から作った質の良い密度の高い布でこれも分厚くて滑らかで着やすく、本当色々と効果的で素敵なんです。重い?地球の人ならそうでしょうね。


 本当やりました。



 1年かけてますが。



 やや、もちろん遺跡で稼いだりギルドの依頼こなしたり東の未開拓地でコア稼いだりしたよ!!でもオシャレは命だから!!


 場外市場もみて保温のペンダントを探し当ててビザに取り付けたりしたから!!


 服も厚手の綿80%麻20%布に黄色と紫で染まったもの2枚を作ったし。草木染めです。タマネギとなす。変質で色素はがっちり固定してありますのでなすの紫が色落ちしやすいというのはないです。変質で色素のくっつきが変わったからそこで色は変わりましたけどね。

 セーターも上質です。湿気は抜けやすく暖かさは逃げにくいそしてチクチクしない。


 パンツは冒険者の女性が良く着ているジョガーパンツっぽい足首が紐で締まった膨れるパンツを私も作ったから。とび職ほど膨れてはいないよ、それは斥候がよく着てる。色は紅茶で染めた薄い茶色?草木染めは色が指定しにくいなあ。

 足首が締まっていないのは冒険者的に駄目ですわ。地面から虫に入られると困る。革のパンツでは困った。ジョガーパンツ風を早く見ておきたかった…

 この世界は男女で服装が替わるというのはあまりないです。貴族は少し違いますね、朝ドレス夜ドレスがありますし。これから変わっていくんでしょうかね。



「これが最終品です。」


「売れるわね、権利を買います。この1年で大分購入していただいてますのでそれも含めて。」


「とりあえず最後の工程に入りましょう。」




「表と裏の色を。」



 はい、すいません、まだ決まってませんでした。染めは草木じゃなくて錬金などを使う合成染めと魔法で変質させる魔法染めがあります。なにで染めましょうか。



「ここまで良いと処女品はやはり放浪のさんの天色でいいのかしら、それで染めたいけれども…」


「うーんおきつね教としては猩々緋の真っ赤な鮮やかな色でしょうけど…」


 あーでもないこーでもないと言いながら女の子二人で考え、最終的にまだ染まってなかったセーターを天色、コートの裏地を天色に割と合う、紫が少々入った薄いピンクを選択。黄色系も良かったのですが、おきつね様の色である「極めて綺麗な赤色である猩々緋」を考慮しました。表地は白が強いグレーにしました。目立ってはしょうが無いという結論ですね。中はオシャレしたいわけです。グレーはまあまあ見かけるしさほど目立たない割には内側と合うのでオシャレ、という寸法です。しかも裏地なんて上位貴族でも付けるの難しい国ですからね。


「じゃあこれの名前を付けましょう。じゃないと魔鉄みたく販売できないです。ずっとコートとおっしゃっていたのでコートでしょうか。」


「んー女性用戦闘用テクニカルコートでどうでしょう。コートはこういう外套の総称なんですよね。」


「それは冒険者にしか売れなくなります。放浪様の名前の一部を頂くことは出来ない物でしょうか。」


「うーん、じゃあパールコートかな。パールまではまあまあ名前出してますから。冒険者ギルドにはばれてますが…」


「素晴らしいですね。ありがたく頂戴します。これはパールコートです。」


「デザインがパールコートなので、どんどん改良してくださいね。デザインもいろんな方向けに崩した方がよいと思いますし。」


 というわけであまり配慮をせずにオシャレ外套のスタイリッシュコートを作りました。パールコートとかちょっと恥ずかしくて言いづらい。え、ドレスコートやフレアコートがこれに近いって?………そうかも……コートをまじまじと見る機会なんて無かったし、私の連想できる範囲では検索と大辞典使ってもおいつかないのかもしれない…


 こ、これに茶色のひさしのある深い帽子をかぶり変装は完了。メガネは王都に滞在するだけのアイテムに50ユロル以上も支払うのに躊躇しまして買いませんでした。綿の手袋は身につけましたけれども。今まで革の手袋だったしね。貴族の香りがするのであまり身につけませんけれども。


 これで完了!さあ何処にでも行け…る…といか何処もいったし1年も滞在したから次の所行きたい…実のところあまりインプラントでの成長してない…魔法は成長上限までいっちゃってる…



 あるぇ?

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