新生と脱出
私は忌み子なんだよ。
父親は知らない種族で、母は狐族。
この世界はね、文明は読者の地球が延長線的に発達したようなもんなんだけど、ヒトは人間だけじゃなくてね、顔つきや体は動物だけど、知能は高い喋れる種族がたくさんいるんだよ。
それで、知らない種族と狐族、普通は子供が生まれないんだよ、人間とチンパンジーで子供が生まれないようにさ。
でも、ごく希に生まれるんだよ、私みたいなキメラ、混合種が。
当たり前だけど迫害される。当たり前だけど差別の対象になる。暴力、乱暴、当たり前のように見て見ぬふり、いや、見られてすらいない。
だからごく普通に売られて、ごく普通に人体実験された。人体の全ての機械化という実験。
実験は成功だったんじゃないかな?
記憶装置があればあるだけたくさん記憶出来て、膨大な計算もヒトの何兆倍で出来る、角度とか。
四肢はロボットのそれになってて、内臓は機械人間として必要な物以外排除された。脈拍って何だっけ?
顔は動いてるドクロという感じだね。狐の特徴だった耳と尻尾は削除された。
人格もあるようでないようで、数年間実験を黙ってこなしてたよ。
あれはいつだったか…この世界なら必ず生まれたときから左手に埋め込まれてる「携帯型情報端末」PDAってやつで6032年とかだったかな、あんまり明確に記憶しなかったから外れてるかもしれないけど、私を買った科学者が
「んっんっんっー!やっと発明したよこれを!君を買っただけはあった!んっんっー!
これはケイ素も混ぜ込んだ、バイオロジカルサイバネティクスだ!成長する人造人間だよ!まだ被検体は必要だが!!!
このカプセルを飲めば身体がつくり変わる!成長で破裂しない程度に飲めばどんどん強く賢くなる!すんばらしぃぃいいいぃっぃぃぃ!!!」
なんていってさ。
「では君、偉大なる最初の実験台になりたまえ。どうせそのサイボーグは古すぎて使い道がない。精密なデータを取りたいから培養液の中に入ってから飲んでくれ。」
ふーん。そうなんだ。
「はい、わかりました。」
わたしはあんまり考えることもなく培養液には言ってカプセルを飲み込んだ。一応エネルギー補充のために内臓らしきものは動いてたんだよね。
そして、
飲んでから1時間くらいしたら「ストン」と意識がなくなりました。作り替えるためにシャットダウンされたか、上手くいかなくて機械が破壊されたか。どうでもいいですねそんなの。
ストンと意識が消えてストンと意識が戻ると言うことはなかったのですが、なんとなく意識が戻ってきました。
夢は見たような見なかったような。「青い毛の狐のお姉さん」と「赤い毛の巫女服の狐の少女」がよってきて目の前で何やら喋っていたような記憶があるような無いような。
ハッキリしませんね。
ある程度辺りを見渡し、癖でPDAで時間確認したら、
19年経ってました。ええええ?一眠り19年?
あれ、ちょっと、きゅうに、いきぐるしく…ごぼぼぼ!培養液止めないと!す、スイッチ!
なんとか培養液を止め実験筒からでると、やっとですが自分の変化に気がつきましたよ。
肌がある、白い、背が伸びた、胸で下が見えない、腰つきが大人になったかな?
耳がある。
尻尾もある。デカい、白い、先が赤目の桜色。
「博士ー?博士ー?実験はどうなりましたかー?」
あれ、辺りが古ぼけてますね。ちょっと目でスキャン…10年前に積もったちり、ですか。ふーん?
(あ、目はね、網膜の後ろにいっろんなデータが転写されるんですよ。ヘッドマウントディスプレイやデータ眼鏡の凄いバージョンですね。名前は次回までに考えます。網膜の後ろの視神経に介入してるんで目線焦点をずらさずにデータに注視することが出来ます。警報データは目の真ん前に表示させたりとか、HADUI結構効きます。網膜と連動させることも可能ですよ。え、そもそも網膜の後ろを見れるのか?ま、サイボーグなんで。)
あ、あれ、今、なんか凄い恥ずかしい格好になってませんか?いやいやサイボーグだからはずかしくなんてごめん恥ずかしい。実験棟じゃなくて職員の宿泊棟にいけば服を借りられそうですよね。
こっちこっち、こっちから宿泊棟…に…天井が崩れて塞いじゃってますね。サイボーグ第6感が囁いてますが、これは何かしら施設の破壊があって職員みんな逃げちゃったんですね。それか放棄されてこうなったか。
動かせないかな、サイボーグのーおーもってーすーれーばー!動かん。以前の私ならこれくらいなら動かせたのに。チェックチェックシステム、パワー状況の確認。
同年代の日本人女性の普通の平均値だとおおおおおおおおおお!!!!!
博士!この実験は失敗です!明らかに退化してます!!!!
チェック、パワー回復、増強方法。
《パワーブーストを行う・成長カプセル及び類似の物を摂取・骨格や筋肉の増強素材を取り込む・筋肉の出す力を増強させる・筋トレ・等》
等。ファジーな辺りバイオサイボーグですね…。えーっと、今出来る物はパワーブーストっと。あとで筋トレしてみようっと…
ぱわーぶーすとさいだいーーーーーーーー!おりゃーーーーー!
動かん!ブーストも貧弱なようだ。というかブーストって何?
《インプラント :ブースト パワー インプラントLvに応じてパワーが数分間増幅される。力や持続時間はLvによって増加し任意にコントロール可能。強い力を出すほど持続時間は少なくなる》
お、おう。そんなの持ってないよ。生まれたてのサイボーグ狐だよ。
え、持ってるのは何?
《ImplantGTX:時空間に介入し時間経過を遅らせる。Lv1》
お、なんかいいの持ってるじゃん。どうせここから抜け出したらまた忌み子生活だしね。
これだけで逃げるのが楽になるよ、らんらんるー☆一度使っておくか。GTX始動!
お、PDAの経過時間が遅くなった。あ、切れた。1秒くらいか。こっちの体感2~3秒だったね。暴力避けるくらいには使えるかな。
……データ表示に飢えと渇きの赤い表示が。これ凄い水とエネルギー使うのね。
食堂行こう、食堂。生き残ってると良いけど。
当たり前ですけど電気系統ほとんどやられてますから、真っ暗の中を赤外線黒体放射スキャンしながら進んでいきます。物色しながら進んでますけどめぼしい物がない。
食堂に着いたので物色。保存食は期限切れながら残ってるようですね。水は…動いてます!さびとか関係ないですから、サイボーグなので。水ごくごく保存食むしゃむしゃ。
腹壊しました。
そんなー!サイボーグなのに!!!狐の忌み子に戻っただけじゃないのこれ!?
電技が通ってたトイレで一日ぴーぴーいいまして、再度物色すると保存水が。飲んでおこう…
ここら辺でデータに睡眠の黄色い表記が。えええええええええええ寝る必要あるの!?!?!?
確かに眠いと感じつつ急いで女性が多かったフロアへ。サイボーグなのであまり職員とは関わり合いがなかったからようけ知らん。とにかく寝る場所と服だ。
がっちゃんがっちゃん探して、途中で頑丈そうな大きいナイフを発見して取得し、ベットを切り裂いて巻き付けました。凄い、凄い、これだけだけど一裸じゃないという安心を得た。
寝る前に女性の部屋全部見ておこうということでがっちゃんがっちゃん。レザーのリュックと上着見つけました。パーカー。
リュックが手に入ったんはうれしい。荷物が入るって素晴らしい。パーカーは暖かくてよいですね!
とりあえずこのタイミングで就寝。多分恒温機能も無くなってるはず、裸で寝たらまずい。下半身が頼りないけどしょうが無いか。
次の日、寒いけどなんとか動けるので探索再開。実験棟だ。多分ある程度電気は生きてる…私がぶくぶくしてたんだもの。
食堂で水と保存食と食べて残りはリュックに入れ、実験棟へ。ゾンビ出たらやだなー、ウチはサイボーグ関連だったけどね。
まず電気関係から探索。いや、なにかツールがないかと思って。小型プライヤーとピックハンマーがあったのでリュックへ。
ジェネレータは生きてたり止まってたり。止めずに逃げたのか破壊されたのか。
情報端末がある、生きてるかな。画面投影はだめか、物理接続したらどうだろ。
うにゅーんと左手のPDAから線が延び…なにこれ。無意識に物理~からやったけどこんな機能PDAにもいままでにもない。私の説明書誰かください。誰かー。
えっと、線が延びて情報端末の穴に差し込まれた。おお、情報が見える。
なになに、10年前に博士が悪事をやり過ぎて国から排除されそうになったためジェネレータを半稼働状態にさせた、と。
博士悪い人だったんだ。うん、そうだね私とか拉致されて人体実験されたわけだしね。意識あるまま目をくり貫かれて色々お取り替えされたときはショックで死ぬかと思った。あ、博士悪いわ、だめだわ。
とりあえずジェネレエータはこんな物か、覚えてる限りこっち側は実験棟とメディカルセンター辺りがあったな、行ってみよう。
実験室は何もないでーす。見るも無惨な姿になっていたサイボーグが何体か転がってました。ミイラになってたのもあったし放棄されたんだろうね。私が寝てる間に実験は進んでいたようだ。
やっぱり情報端末があって中身を見たんだけど、あんまり有用なのはなかった。
私のことが書かれているログがあって、研究理由がある程度わかったよ。
初代自己進化型バイオサイボーグで、サイボーグのように強く、人間のようにしなやか、自己修復性をもち、高い成長性を備え、人間を遙かに超える演算機能で人間を超越した人間になることを目指して開発が進められた。
らしいのですが
成長性と自己修復性に問題があり、人間と同程度の成長しかしない。作成に時間がかかるため培養液に浸す以外の開発は放棄、実験台として再利用。
だそうで、ふーん、ふーん、失敗作か私。いや、でも高い成長性と自己修復を備えれば言い訳でしょ、どこかに落ちてるでしょ。落ちてる?
ちなみに成長性が高すぎて速効で老けて死んだというログもありました。自己修復しすぎて肉だるまになっちゃったとか。こえええええ。
くまなく探したし後はメディカルセンターだ。洋服落ちてないかなあ…
メディカルセンターは10年くらい前の風景とはまるで変わっていて、サイバーメディカルになってましたよ。凄い。ここで調整してバイオサイボーグ作ってたのかな。ちょっとメディカルしてみましょう。
・・・種族、バイオサイボーグ、キツネ混合種。バイオサイボーグ専用のプログラムを組みます。
BAN BAN BAN放射線測定完了。問題なし。次のステップに移ってください。
PIPIPI 健康状態、少々の腹下し、薬品投与で問題なし。次のステップに移ってください。
PAPAPA 能力に問題あり、インプラントと手術が必要。調整服になって調整台に乗ってください。
能力に問題あり能力に問題ありノウリョクニモンダイアリ。
というかこれ怖くない?される内容がわからないんだけど。ここに端末ないしなあ。
とりあえずどこかに内容が書いてある端末があるはずだと思って部屋中を探しました。無い。でも管理してる場所は絶対ある。このまま調整してもらうのは危なすぎるからねえ。キツネは警戒心が強いのです。探そう。
探しまくってるときに洋服の下を発見!み、民族衣装かな?という感じのスカート。まあ嬉しいです。後は下着だけど今まで巻き付けてたやつを裁縫出来ればしちゃうんだけどなあ。一応私は何でも出来る「はず」なんです。人間を超えた人間実験が成功していれば。
メディカルセンターの近くにメディカル研究室があって、情報端末が一杯並んでいたので片っ端から接続。インプラントについての情報もありました。
大まかな種類としては、身体向上拡張タイプと、特技特化向上タイプと機能追加拡張タイプ、だそうです。なんとなくわかるね。素早さがあがり、ステルスが得意になり、目でターゲットロック出来るようになる。そんな感じだ。げーみー。
んでんで、今組み込まれてる「調整」を見ることが出来たんだけど、
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試作ベース身体拡張インプラント
試作成長性向上インプラント
寿命拡張調整
初期型皮下装甲貼り付け
爪にナイフ機能搭載
右腕に隠し武器搭載
眼球拡張Lv1赤外線暗視装置 取得済み スキップ
眼球拡張Lv2 視力向上とマーク付け
――――――――――――――――――――――――――
結構あるな…試作系統気になる。基本的に試作はバグが多いからね。アニメの試作ロボットとは訳が違う…
ここじゃ説明見られない。私の研究ログにあるんじゃないかな、探してみよう。
ありました。試作なのはそもそも私が起きなかったからで、シミュレータ状は誤作動無く動いてるとのこと。身体ベース拡張インプラントは基本となる拡張性を持たせるためのインプラントで、これがないと普通の少女並みの力しか出ないそうです。また女性らしさを保つために筋力増強は1細胞の出力を高める方向で開発されてるとのこと。なるほど。
成長性向上インプラントは各種身体能力や職人芸等の成長性を高めるそうですが、どこまでの範囲で機能するかは不明。
これなら大丈夫かな?上手く動けばだけど。なんか、普通のサイボーグとはちょっと違うね。パワーとか、パワーユニットを取り替えることで対応してたはずだけど。
よし、利益の方が多いならやるメリットはあるよね。では服を着替えて…
360度ぐるんぐるん回るような調整台に背を預けるように立ったら意識が飛んで、戻ったら調整完了なのかなーと思ったらそんなことはなく、意識が薄ーくなるだけで何されてるか丸わかり。
うつ伏せにされて首の後ろから頭蓋骨をぱかー。えええええ
そして脳に何かをしてる。視界の外側に見えるデータ郡には試作2つが取り付け中と出てるんだけど、脳みそは完全機械化してたから取り付ける所あったっけ?バイオになってから付いたのかな?脳みそバイオなのかサイボーグなのか。チェック、私の脳みそってどういう構成?
《ケイ素を中心とした半生物半鉱物の融合された物質です。性能はー》
OKOK、まさにバイオでサイボーグなのか。インプラントはどうやってくっつくの?
《データが無いため不明です》
ふぅん、といったところで脳みそへのインプラント挿入は終了。
次は皮下装甲やら爪にナイフとかですが同時進行で行われました。寿命の調整は脊髄を開けてパラメータを書き換えーの、皮下装甲は心臓に何かをぶっさしーの、等々。目ん玉くり貫かれて新しい目が取り付けられたときは意識飛ばしてもらいたかった。最初のあの悪夢がよみがえる。麻酔なしで手術して真っ先に目ん玉を視神経ごとくり貫いたからね。
調整機は何も言いませんが立った状態で拘束が解けたんで、終了したんでしょう。身体に変化は…少しパワーが付いた、かな?皮膚は凄い、素足だから小石が痛かったんだけど今は全然痛くない。靴履いてる気分。
後はデータ見て覚えて、マニュアルも見ておこう。いきなり攻撃武器とか出たら危険だしね。ナイフの爪も。今普通の爪だしなあ。
とりあえずこれで脱出の準備は整ったと思うんですが。
あ、脱出するつもりなんですね私、生存本能が復活したのかな?
ええと、鏡で自分の姿を拝見しておこうかなと。さすがに見たこと無い状態で外歩くのはなあ。鏡鏡…研究棟か女性の全身鏡か。あ、研究棟結構手つかずじゃんさ。
再度探した職員の部屋にはオイルマッチが置いてありました。古風すぎる。今時最低でも自己点火式火薬部分のみ燃焼のロングマッチだよ。大半はガスライター。まあ売れそうだし拾っておこう。揮発してないオイルもあった。拾っとこう。
それで、全身鏡はなかったんですが手鏡はあったので軽く吹いてお顔を拝見することに。どやー?
え、綺麗、かわいい、きれかわ。え、私まじで?え?まじで綺麗可愛い。すげえ、絶賛してる私どうしよう。
白くて先が赤目の桜色の大きなお耳
大きな瞳
ぱっちりしてる二重まぶた
整ってすっとしてる鼻
小さくてちょっと膨らんでる唇
ちょっと顎が長くないちょっと丸顔
顎周りはすっきり
白くて輝く綺麗な歯並び(バイオサイボーグなので犬歯を出すとか出来ましたが。)
すっごい整ってる顔してました………全国のみなさんごめんなさい
よし、娼婦だ、娼婦として生きよう。これだけあれば高級娼婦として生きられる。忌み子としては最高峰の生き方だ。ガラス踏んでもさほどの怪我しなかったし、乱暴されても耐えられるな。
よーし新生私、頑張るぞー!
でぐちがないです。でいりぐちはこわれてて、ひじょうぐちはつぶれてました。
うーん、電源を止めて換気扇から出る、研究してたんで排水溝太いからそこから、どこかにオリローくんみたいな非常出口がある。くらい?
換気扇は最後だなあ、排水溝を見つけるかオリロー君みたいな非常出口を見つけるかだね。そういえば高級研究員の部屋を見つけてない、博士の部屋も。そこが見つかれば専用脱出路がありそうだ。視力が向上してるし探し直すか。
食堂なんかの方はやっぱりない。ゴミくずは以前より多めに見つかったけど…安全ピンが何個かあったので仕入れておきました。結構役に立つので、スカートに付けておこう。
実験棟はあるだろうと思っていた排水溝はなかったのですが、ミイラになってるバイオサイボーグからトランジスタみたいな小さくて回路に差し込む端子を見つけたので拾っておいたよ。すっごいインプラントっぽい。ミイラは生の部分はなくなってケイ素の方が残っちゃってる感じだね、シリコンになってる所は柔らかいままだ。おっぱい。
メディカルセンターに一度立ち寄って、くまなく探してからインプラントらしき物体の調査です。めぼしい物はなかったのですが、スライドドアがあって調整機の端末を見つけました。よく見つけた!視覚上がったついでに目視力や洞察力などの知覚上がったのかな?
端末には何かを入れる装置が付いていて、インプラントやバイオカプセルとかを入れるのを容易に想像出来ました。端末操作をして開封させてインプラント入れて解析。本当にインプラントかな?
………………《超感覚追加》
インプラントだ。でも、うーん、何だろう?データにもないよ。端末も説明するようなデータが無い。
入れてみるか☆キツネの好奇心はかなり旺盛です。
演出カットして、超感覚がインストールされましたけど変化がない。ただ、データモニターには1つバーが出ておりました。名付けてないから未設定という名前なんですけど。
なんか出来るようになったその限界値か(ちなみに、スプリント可能時間予想値なんかがあるよ)、
非可逆的な破壊が起こる前までの身体の損傷度を表す耐久バー、まあオーバーパワー稼働限界時間とかHPですね、そういう類いの耐久力系を表すのかもしれませんねこれ。
うーん放置だな。目星も付けられない。
まあここ未発見だったし調べよう。パンツとブラ落ちてないかなあ。針一本おちてないなあ。
半開きのドアがあるね、通れるかな、…引っかかってしまう。この手の扉こじ開けられるかなあ…周辺に非常開閉装置もないしやってみよう。さっきいって思い出したけどオーバーパワーも使ってみよう。
ふんぬうううううううううあああああああ!
う、動いた!色々と取り込んだ成果がでた!チェックチェック!今どれくらいの筋力?
女性が一番力が出る時期の少々鍛えた女性並みだって!うひょおおお!すごい上がった!
これにオーバーパワープラスで重い電気扉が開くとか!凄いバイオサイボーグ!凄い!
ごほん、ではすり抜けて奥の部屋に。ここは試作バイオサイボーグの死骸がホルマリン漬けになってるのか。サーマル反応無いから確実に死んでるね。こういうところで遺伝子やケイ素の配合率をぐにょぐにょこねた結果が私って訳か。みんな、私は生き延びるからね。
くまなく探したらここには核融合電池が3つも落ちてました!おっほー!私は純粋なヒトじゃないのでこういうエネルギーでもからだ動かせるんですよー!早速取り付けましょう!えーと、……マニュアルかもん。私この身体全然知らない。私の身体なのに。
右胸に取り付ける板があるようです!オープン!あああああパーカーが!!!オッパイ載せてる板が開いて裂けたあああああああ!!!!え、あちょ、え?あーとりあえずソケット分だけ取り付けよう…2つつきました。余裕があるからもうちょっと拡張出来そう。
どどどどうしようパーカー。裁縫セット裁縫セット…
パーカーの代わりにボロボロなシーツをさらしのように巻いて、下にはいてる民族スカートと合わせてボロボロな民族になった私は引き返して研究スペースへ。途中に実験用ピンセットのセットと実験用のるつぼばさみがあったので、ほぼ自意識がないサイボーグ時代のかすかな夢だった「手から出る十徳ツール」を実現させてみようと取得しておいた。多分この身体出来そうなんだよね。それでなくても脱出後はある程度サバイバル生活だ、使えそうな品は拾っておかないと。
研究室及び研究スペースに到着。広い、そして研究道具と工具が一杯ある。この場で作ってたりしたんだろうな、私は侵入させてもらえなかったけど。
うーん道具と工具全部欲しい。物欲が探索欲に勝っているが欲しい。でも意味ない物を持っていても仕方ないよね、レザーリュックは女性物だから重量に弱そうだし、あんまり入らない。吟味しなければ…
今必要なのは町、しかも人間の町にたどり着くまでのサバイバルセットだ…水の濾過器、焚き火用具、寝床…裁縫と救急道具があれば尚よし…
これはハサミか…事務用じゃ意味が無いな、実験用か工具のグリップ式のハサミがあれば、生枝や落ちてる枝を切って棒や焚き火に加工出来るな…切断ならノコギリの方が便利だけど精密に切れるというのも大事だ…候補に入れておこう。
お、小型チェーンソー。この回転する刃を自分でもって枝をゴシゴシするとちゃんと切れるんだよね、記憶にはそういう山の行動道具が存在してる。うーん刃が欲しいけど解体工具がないね。
ああ棒砥石がある。これはゲットだ。シースナイフ研ぐのに使うし町に行けば売れる。棒の素材は亀裂進展済みナノ多結晶スティショバイトセラミックだろう、ダイヤモンドの次に硬くてダイヤモンドより靱性がある。研げない物はない。四角形を貼り付けてあって両面で荒さが違う。包丁研ぎの時も大活躍だ。高く売れるなーこれ。うふうふふ
お、念願のグリップ式ハサミだ!げっとー!良いやつだ。
これはさっきのチェーンソーの替え刃!ついてる!脱出しないと行けないのについてる!ワイヤーとかあるしさっさと自力チェーンソー作っておこう。
おおおおおこれはチタンか何かの肩紐付きツールボックス!ロック機能付き!中身は多分使いみちないから側だけもらっておこう。ロック解除出来るかな、ロックかかってないや。中身はー…ミニルーター、細かい所を削ったり加工するやつの本体とドリルのオールセットか。手工芸するならよだれが出る品だわ。これ売りたいね。ハンドドリルでいいのかな、それも入ってる。SRでちゃった?SSRは洋服。
消耗品以外はこっちに移し替えておこうっと。専用ボックスじゃなかったみたいで余裕あるから入るね。あ、ロック設定しておこう。ぽちぽちっと。
チェーンソーがあるんだし木材系もあるんだろーってことでアタリをつけたら出てきました、折りたたみのノコギリ。刃渡りが20cm無いとてもコンパクト野郎なので拾っておきます、積載増えたからね。
こう色々とあって紡績はないのか…バイオサイボーグだもんねえ…
後作業服と実験服もない。反射ベストも作業用使い捨てマスクもない。意図的かなーこれ!!!!
安全ベルトだけありましたわ。ネジ式のワイヤーチェーンをかましてシースナイフぶら下げた。利き手が左なんで左にね。
そういえば右についた武器明らかに暗殺用だから、後ろからだと動脈の位置が反対なんで出来るなら左手に付けるか違う種類に…って私は娼婦になるんだ、どうでもいいいじゃないか。
これで9割方見終わったなあ。実験物はあんまり手に入らんかったけど、バーナー用風防と組み立て式五徳に新品のビーカー取得したんで上出来。道中2~3回煮炊きできるでしょう。キムワイさんはあったけど著作権で出てきません。
情報端末は全て壊れてて、ここの情報隠蔽だけは上手くいったみたい。後は博士か所長の机なんだけど…
…
…
おや、ここに差し込む穴が隠されてるぞ。ぷすっとな、………ログがありましたけど、博士は逃げたようですね。罪状は推測ですが非合法な開発と生産、反社会組織への販売などですね。特に大量の子供を拉致して大量生産したのがまずかったみたいです。拉致か、博士がいないと今の私はいないので複雑ですね。忌み子なので将来はあんまり変わりませんけれども。
腐れ台詞やこの文章を見た物へ、なんていうログはないですね。情報ではこの後ろに非常出口があるようです。散々探し尽くしましたし、見る所はない。外に出ますか。
非常出口を開放し、扉を開け、外の風景を見ると
古い時代の兵士の格好をした男が二人巡回していて、既存とは違う技術原理で作られたであろう金属の施設かなにかの中にでた。
え?
新作ゲームが待ち遠しくて、心を落ち着かせるために書いてみました。
SFが入っているのでどうしても説明が多くなります。
物語が動くところまで読んでほしいので本日一気に3話出します。
よろしくおねがいします。