がっこう
「兄さん、大好きです」
「俺も好きだぞ、自慢の妹だ」
私の一世一代の告白は空振りに終わった。
どうやらあくまでも兄妹らしい。
私はそれ以上を望んでいるが、踏み込むのは少々怖い。
翌日、兄さんと一緒に登校中、訊いてみた。
「兄さん、好きな人はいるの?」
「今のとこお前かな」
こういうことを平気で言うから、兄さんにも困ったものだ。
この心地よさに甘えてしまいそうになる、でも、いつか……。
「結婚できませんよ?」
「まあな」
一線を踏み越えるのはいつだって勇気が要る、
それが正しいことなのかは、私にはわからない。
ただ、間違っていたとしても、その先へ生きたいと私は思うのだ。
「兄さん、今日は一緒に帰りましょう」
「いいぞ」
このままではいつか離れてしまう、それは嫌だ。
たとえ今の関係が壊れるとしても、一歩踏み出したい。
その日の授業は殆ど耳に入ってこなかった。
そして帰宅するため、兄さんを待っていた私は心臓が飛び出しそうだった。
「お待たせ」
「待ちましたよ」
兄さんが来た。
私は意を決して訊いた。
「兄さん、私のことどういう意味で好きなんですか」
「一人の女の子としてが半分、あとは妹として」
あっさり兄さんは私を好きなことを認めた、女の子として認めてくれた……。
「半分ですか、納得いきませんね」
「兄妹だからな、割り切れんよ」
今はこれで良しとしよう。
きっといつか、兄さんにとっての一番になってみせる。
そのために今はこの関係を続けよう、私は諦めが悪いんだ。
兄さんが私を好きにさせたから悪いんだ、責任を取ってもらおう。
「兄さん、大好きです!」
そう言って私達は帰途についた。




