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しょっぴんぐ

私はお兄ちゃんが大好きだ、愛してるといってもいい。

物心ついたときからお兄ちゃんのことが好きだった。

なぜ?、と聞かれると困ってしまう。

誰かを好きになるのに細かく感情の説明をしろと言われても困るだろう、そういうことだ。

兄妹で好きになるのはおかしい?言わせておけばいいのだ。

ただ、お兄ちゃんが私が「大好き」と言った時に、ちょっとだけ困ったような悲しそうな顔をするのには心が痛む。

お兄ちゃんを思う心なら誰にも負けない自信がある。

だけどお兄ちゃんが私をどう思っているのかを考えるのは少し怖い。

今日はお兄ちゃんとデートだ、一緒に買い物に行くだけだが私の気分と定義は完全にデートだ。

お兄ちゃんが服を選んでくれと私にお願いしてきたので、思いっきりダサいのを選んでおいた。

私以外がお兄ちゃんを評価する必要なんて無いのだから、私以外に見せる服なんてダサいほうがいい。

ショッピングモールを手を繋いで歩いているとお兄ちゃんが、

「選んでくれてありがとう、なんか欲しいもの会ったら買ったげるよ」

ダサいものを選んだのにきっちりお礼を貰うのは少々心苦しいが、この提案を逃す手はない。

おもちゃ屋に直行して、おもちゃの指輪をねだった、ちょうど指輪がテーマのヒーロー物をやっていたので、在庫は十分あった。

「ほんとに困難でいいのか?」

お兄ちゃんはもちろん疑ったが私は、

「絶対コレ!」

と押し通した。

今日は実に幸せな一日だった、ベッドに入る前に飾りの無駄に大きい指輪を薬指にはめてニヤニヤできた。

私はこんな日常が続いてくれるのを願っている。

特別は要らない、当たり前の日常ほど大切なものはない。

そして指輪を机の引き出しの奥に入れ、鍵をかけて、私は気分良く眠りについた。

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