命
親が高齢な為に、ほぼ毎週日曜は実家に行く。
先週の日曜も実家に行った。
勝手に入ると、誰もいない。
…が、勝手口の方から物音がする。
いったん外に出て、勝手口に行くと、親が何かを叩いていた。
『何してる…』言いかけて驚いた。
親は、 30㎝くらいの細いヘビを叩いて殺していた。
私は虫は苦手だが、ヘビや爬虫類は大丈夫。
『子ヘビだよ。殺さないで用水路にでも流したら?』
と話すと
『家に入られると困るから。家を建てた頃に、ヘビが入ってきて、大騒ぎになったからな』
弱って動けなくなったヘビ。
微かに尾を動かしている。
そのヘビの頭を叩く親。
気持ちがざわざわしてきて、見ていられなくて、家の中に入った。
私が先に、ヘビに気付いていたら、逃がしてやる事も出来たかもしれない。
何の罪もないヘビが殺された。
罪もない虫を殺してしまう事とは、矛盾してるのは理解している。
私は、ヘビに感情移入してしまっていた。
『痛い』『何で叩かれるの?』『死にたくない』
感情移入しやすい私の、厄介な癖でもある。
仏壇の前に座り、祖母等を拝むふりをして、ヘビに謝った。
そうして、祖母が唱えていた御経を、覚えてるだけ唱えた。
毎朝、ブロイラーの鶏を積んだトラックともすれ違う。
鶏が動いてるのが分かる時がある。
この時も、気持ちがざわざわする。
私たちは、人間以外の命をもらって生きている。
(臓器移植は、人間からの命だけど)
菜食主義を言うつもりは無い。
何を食べようと、人それぞれ。地域性もある。
それで生活してる人もいる。
大事な命は無駄にしたくない。
無差別に動物を殺したり、ましてや人間が人間を殺したり。
命は、再生しない。
産まれて数時間で亡くなる命もある。
命を大切にしたい。
食べる時も感謝したい。
消え行く命を見たくない。