後序
本日、以下の三回分更新していますので、ご注意ください。
7. 義兄
8. そして、戯れの先へ
後序(← いまここ)
これまでの私は、こういう後書き的な物は書いてきませんでした。
アマチュアの拙い作品とはいえ、私も書き手の端くれ。メッセージは作中に込めるべきであり、蛇足と思えたからです。
しかし、私が文章を書き始める切っ掛けとなり、また私個人の極めてパーソナルな作品でもある今作にだけは、例外を認めても良いのかも知れない。
そんな春の夜の気まぐれから、いまこの蛇足を記しています。
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以下、作者が自身に区切りをつける為だけに記した、益体ない独り言です。
本編の雰囲気を損なう恐れもある為、そんなもの読みたくないという方はどうかブラウザを閉じてください。
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この物語は、後悔にまみれた私の懺悔であり、愛してあげられなかった命への鎮魂歌です。
去年(2016年)の7月初め、それまでろくに文章を書いたこともなかったのに、とある情景がふと脳裏に浮かんで、衝動に駆られるままにそれを言葉に記しました。
それが、本作の冒頭部分、プロローグです。
そこに登場する女性が誰なのか、私には明白でした。もう過去の物としたはずだったのに、私の中のどこか深い部分で彼女はひっそりと眠っていた様です。
プロローグを書き終えても衝動は一向に収まらず、記憶の中にある女性を投影した人物に「アスティ」という北欧系の名を与え、その後に続く物語を書き綴りました。
その後、個人的な事情から数ヶ月ものブランクを挟んだり、終盤に近付けば近付く程に「終わらせたくない」という作者の勝手な思いが募って、筆を鈍らせたりもしました。
実際の私達は作中の設定よりも遥かに若くて、不器用で世間知らずで、国際恋愛に絡む様々な障害を乗り越えるのに、互いへの愛情以外に何も持ち寄るものがありませんでした。
その結末から目を背けたくて、続きをなかなか書けないでいたのです。
しかし、朝夕の冷たい風の中にもどこか春を感じる季節になって、もうこの冬の物語に幕を引いて、二人を自由にしなくてはいけないと思う様になりました。
そんなこんなで、今夜ようやく完結を迎えることが出来た二人の物語。
私達が出来たこと、出来なかったことのどちらもが、ここには込められています。フィクションとノンフィクションの境界が何処にあるのか。それは読んでくれた皆様のご想像に委ねたいと思います。
さて、これまで本当に多くの方に読んでもらい、有り難い言葉をたくさん頂いてきました。
余りにも多数の方に励ましてもらったので、この場で個々に挙げることは控えさせて頂きますが、ここに改めて深く御礼申し上げたいと思います。
願わくば、この物語に触れてくれた方が、人を思うことの優しさをほんのちょびっとでも考えてくれたら、作者として望外の喜びです。
それでは、この辺でそろそろ筆を置きたいと思います。
お読み頂き、有り難うございました。
2017年3月18日
有月 晃




