表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冬の戯れ  作者: 有月 晃
Primer Capítulo / 第一章
3/52

2. 翡翠色の瞳

2008.04.03 18:07



 彼女と向かい合って立つ。


 小さな頭部とのバランスからかなりの長身に感じられたが、実際にはオレよりも少し小柄だった。172〜3センチといったところだろうか。

 額にかかった髪を搔き上げて、こちらに視線を合わせてくる。夕陽が眩しいのか、かざした手の下で光る瞳は翡翠ひすい色だった。


 後方から、車のドアが閉じる音。振り返ると、さっきのタクシーが別の乗客を乗せて、さっさとロータリーを出ていくところだった。


 残されたのはオレと、目の前でさらに困った表情をしている彼女だけ。


「アノ……」


 手の平を胸に当てて、彼女が話し始める。


「ワタシ……ガイコクジン……」

「それは見ればわかるよ」


 日本語を予習してきたらしい。たどたどしい発音だが、安易に英語を使わずに、丁寧に言葉を紡ごうという姿勢に好感を覚えて、思わず口許が緩む。


 自分の日本語が通じて緊張が解けたのか、彼女の肩からも少し力が抜けた様に見えた。


「ワタシ、イク、コノアドレス」

「うん。タクシーに乗ろうとしてたよね?」

「タクシー、イカナイ。ナゼ?」


 彼女が差し出したメモを見ると、駅からそう遠くはない住所が記されていた。


 近距離だから乗車拒否されたのか、それとも住所がアルファベット表記だから嫌がられたのか… いずれによせ、理由はもう確かめられない。


「Please、タスケテ、ワタシ」


 この状況で断るのは至難の業だろう。


 心の中でこっそり溜息を吐きながら、ろくに言葉も掛けないままオレは歩き出した。

 スマホとPCの両方が同時に絶不調とか。なぜですか……


 短いけど、今日はここまでにさせてください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ