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第九話:仮入部〜後編〜

お詫び

お詫び


作者の手違いにより違う話と置き換えてしましました。


本文とは違う話になってしまっていますがご了承ください。


早急に修復いたしますので今しばらくお待ちください。

 俺たちは2年2組の教室へ向かった。西城はテンションが今日はやけに高い。長瀬はいつもと変わらずニコニコだ。白石もいつもと変わらない。

 俺たちは教室の扉を開けて中に入った。前の席に一人男子生徒がいた。


「なんだ、そらだけか?」


西城が話しかけた。宙は黙ったまま首を横に振り、教室の後ろを指差した。そこにいたのはドレット頭の生徒だった。イヤホンを耳につけて目を閉じて音楽を聴いていた。


「先輩か?」


白石が宙に聞く。宙はまた首を横に振り、


「同じクラス」


と言った。口数の少ないやつだ。それにしても後ろに座ってるのはとんだヤンキーだ。


「お前と同じ、高校からここに来たやつみたいだな」


白石は俺の肩を叩いて席についた。俺は宙とやらに自己紹介をした。宙はコクンとうなずき、


浪翔なみしょうそら。よろしく」


ショートでさらさらの髪の毛が揺れている。俺は宙の横に座った。すると長瀬が、


「そうだ、仁君も宙に占って貰ったらいいんじゃない?」


長瀬が俺の方を見る。


「そうだな、一度やってみて貰ったらいいんじゃねぇか?」


西城も賛成した。俺は宙に「いいのか?」と聞いてみた。すると宙はまたコクリと頷き、ポケットからカードを取り出しシャッフルしている。おそらくタロットカードだろう。宙は何やらいろいろ順序を踏んでいる。そして一枚のカードを俺に渡した。


「正位置の魔術師」


宙はそう言った。そして続けて、


「物事の始まり、起源。創造を意味する」


宙が呟いた。その瞬間教室の扉が開いた。入ってきたのは眼鏡をかけた人だった。そのまま教卓へ行き、ゴホンと咳払いをして黒板に名前を書いた。実に達筆な字だ。


「え〜っと、みんなよく集まってくれたね。僕は部長の佐藤、ヨロシク。


本名は斉藤栄一。黒板の達筆の字が眩しく見える。


「今日は一応部活が休みだから僕しかいないんだけど、部員は2年生だけなんだ。僕を含めて5人。君たちが入ってくれれば試合できる人数になる」


佐藤先輩は嬉しそうにそう言った。

 その後も長々といろいろ説明してくれた。まだ公式試合は出たことがないらしい。俺たちが入れば初の公式戦になるのだろうか。


「ところでみんな、体操着は持ってきてるかな?」


俺は頷いた。西城も、「ウィーッス」と言って大きく手を上げた。


「そっちの君は持ってきてるかな?」


佐藤先輩がドレッド頭に聞くが、音楽を聴いていて聞こえていないらしい。すると西城が立ち上がりドレッド頭の前に立ち、イヤホンを無理やりとった。


「部長が話してんだ、ちゃんと聞けよ」


ずっと閉じていた目を開けて、西城を睨み付けた。西城も負けずと睨み付ける。


「あ、えっと、名前はなんていうのかな?」


一発触発の雰囲気を佐藤先輩がなんとか抑えた。ドレッド頭はイヤホンを鞄にしまい、


「六條。六條ろくじょう皐月さつきや」


六條皐月。皐月とは変わった名前だ。


「六條君は体操着持ってきてるかな?」


佐藤先輩が聞くと、


「今日は持ってきてないんで帰りますわ」


そう言って教室を出て行った。少し嫌な空気が流れたが、


「じゃあ、みんな着替えたら運動場に集合」


俺たちはそのまま更衣室へ向かった。西城はずっとイライラしている。俺達はそんな西城を宥めつつ、着替えを済ませ運動場へ向かった。運動場ではほかの部活も練習をしている。佐藤先輩が手を振って呼んでいる。俺達は足早に向かった。


「まずは基本的なキャッチボールから始めようか。あ、でもまづ少しアップしようか」


そう言って体操とグランドを5週走った。それからパス練習を始めるらしい。ボールに慣れることが大事らしい。西城は白石、長瀬と宙、そして俺は佐藤先輩とすることとなった。俺はボールを持った。美穂の家にあったのと同じ大きさ。以外に小さく、投げやすそうなボールだ。

俺は大きく振りかぶって投げた。ボールは変な回転をしながら佐藤先輩のところへ飛んでいった。


「ナイスコントロール。でも回転はそうじゃなくて・・・」


佐藤先輩がボールを投げた。ボールは綺麗な回転をして俺の方へ飛んできた。綺麗な回転だ。おそらく空気抵抗が一番少ない回転だろう。


「初めは難しいと思うけど、QB以外はあまり意味ないんだけどね」


俺は意識して投げてみた。するとさっきよりはマシな回転で飛んでいった。


「お、上手い上手い」


佐藤先輩が褒めてくれた。やはり褒められると嬉しい。先輩は少し後ろに下がって投げた。ボールは俺の頭上を越えて飛んでいった。ボールは不規則に転がっていく。後ろで謝っている先輩に頭を下げつつ、俺はボールを取りに行った。結構転がった。先輩までの距離は50メートルくらいの距離だ。野球ではこんな距離どうってことはない。俺はボールを握った。するとレースみたいな指を掛けるところがあった。俺はそこに指を掛け、思いっきり振りかぶって先輩の方へ投げた。するとボールは綺麗な回転で先輩の胸、ド真ん中ストレートの位置に届いた。意外と綺麗な回転だった。思いっきり振りかぶってもたかが50メートル。野球ならまだ伸びるだろうなと心の中で思いつつ、小走りに先輩の所へ向かった。すると先輩が、


「す、すごい!! 今のすごかったよ! あんなの見たことないよ!」


えらく興奮している。何をいったい興奮しているのだろうか?回転なら先輩のほうが綺麗だし、距離もたかが50メートルだ。


「へ〜、さすがは全国区のピッチャーだな」


西城が口を挿む。


「今のはすごいよ!あんな距離をこんなにも正確に投げる人なんて全国でもそういないよ!」


部長は興奮しっぱなしだ。俺は少し褒められたことが照れくさかった。


 その後も部長からいろいろな知識を教えてもらった。そして時間が来て今日は解散となった。俺達は着替えを済ませ、坂を上り家へと帰った。


「しっかしお前のあのパスはすごかったな」


白石が言う。


「うんうん、さすがは元全国区のピッチャー。さすがだね」


長瀬も褒める。


「お前QBに絶対向いてるって!!」


西城が俺の頭をクシャクシャに撫でる。俺はその手を振り解き家へと帰った。



 QB、俺に向いているポジション。



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