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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆VS 放課後の道化師 編◆
95/228

scene1 ― 布施リュウ ― 精神がタフでないと「変態」なんてやっていけないのですよ

前半は過去の話で 後半に現実に戻ります

校舎の裏庭で、エイジとリュウが(にら)みあう。

触発寸前の 2人。

エイジは 今にも飛びかかってリュウを殴り倒したい気持ちだった。


リュウも気持ちの上では エイジと一緒だった。

もう一度 地べたに押さえ付けて

二度と立ち上がれないよう手足だって

もぎ取ってやりたいぐらいだった。


だが、リュウは自分を抑えた。



「貴方……わたくしが 変態 変態と言われて

いつまでも黙っていると思いますか?」


「なんや、ムカついてるなら かかってこいや!!」


リュウは ボロボロにされても まだ血気が引かないエイジを見て

あきれて フゥッとため息をついた。


「貴方と同類なんて死んでも御免です」


「ああ!?」


「精神がタフでないと「変態」なんてやっていけないのですよ」


「……!?」


「立ち上がれたのなら 帰ってください」



リュウは そう言ってエイジに背を向けて離れていった。


「な……なんやねん。

自分の事「変態(ヘンタイ)」って認めてんのか……?」


エイジは呆気(あっけ)に取られて裏庭に立ち尽くした。





リュウは校舎内に戻りながら

エイジに言われた言葉を何度も心に刻んでいった。


「変態で………何が悪いのです」


物心(ものごころ)ついた時から わかっていた。

自分の趣味に。快楽に。生き甲斐に。


だから同時に精神も鍛えなければならなかった。

周りになんと言われようと、偏見な目で見られようと。


自分を貫くために。


エイジから罵倒された言葉を何度も心に刻んでいった。


自分の精神を鍛えるために。


憎みながらもエイジに感謝した。


自分は また強くなれた、と。




――――――――……




『ホラ、こんなに出てきたよ』


「!!」


道化師少年の周りには様々な模様、形の(つるぎ)

槍、拳銃、ナイフ、弓矢、鎌、刀

とにかく武器と呼べる物が

重力を無視して浮かび上がっていた。


『スゴいね、これ、ぜーんぶ

キミの あの人に対する 辛い記憶だよ』


「………!!」


少年の周りに浮かぶ数えきれない武器は

全て リュウの記憶にあるエイジへの辛い憎しみ。

それが「武器」として形を成したモノ。



避ける事は出来ない。

リュウは 浮かぶ武器を見渡して悟った。



少年がリュウに向かって指を差す。

すると武器が一斉にリュウに向かって飛んできた。


拳銃は勝手に引き金を引き

鎌は持ち手がいなくても 自由に(くう)を切る。

弓矢からは勝手に矢が放たれ

剣、槍、刀、ナイフ はリュウの体に目掛けて

まっすぐ飛んでいく。





「……………」


リュウは お気に入りのアンティーク人形を消した。

そして目を(つむ)った。





最初にリュウの体を貫いたのは銃弾。

次に剣、ナイフ、そして矢。

槍は心臓を打ち抜いて、鎌は右肩から下へと振り落ちた。






普通の人間なら ものの15秒で

廃人になるだろうな






激しく揺れ動く脳に

痛み出す体の激痛と (えぐ)られていく精神の中で

リュウは 不思議と冷静にいられた。




――――これがエイジへの憎しみ………



思念は 体と精神へ 痛みに変わって伝わっていく。















『…………あれ?』


道化師少年は首をかしげた。


武器は全部 リュウの体を貫いた。

リュウは叫び声も上げずに壊れたと思った。



だが、リュウは立っていた。



何事もなかったかのように。




『なんで?なんで大丈夫なの?』


「……………………………」


『痛くなかったの?辛くなかったの?』


「……………………………」


『あの人の事 憎くなかったの?』


「……………………………」



困惑する少年を見て

リュウは笑った。




「これが わたくしの取り柄なのでね」


『?』




「精神がタフでないと「変態」なんてやっていけないのですよ」

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