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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆VS 放課後の道化師 編◆
92/228

scene1 ― 布施リュウ ― スペードの道化師

渡り廊下を抜けて

体育館の重たい扉を開ける。


人形操師(ドールマスター)布施(ふせ)リュウは

同じ生徒会の仲間で、拐われた1人

時任(ときとう)エイジを取り返すため

体育館へと踏み込んだ。


エイジは体育館の倉庫に身柄を押さえられている。


リュウは慎重に周りを確かめながら

体育館の中央へと進む。






『キミが相手?』


突然 子供っぽい声がした。

声がした方へ振り向くと、やはり道化師の格好をした

少年がそこに立っていた。


生徒会室に現れた『道化師の少年』とは少し違う。

メイクや服装が異なっていて

胸の飾りにスペードのマークの絵が描かれている。


別人なのか、分身なのか

判断は出来なかったがリュウは慌てなかった。



「こんにちわ、道化師さん」


リュウは普通に挨拶をする。


「時間がないので早く遊びましょうか」


『せっかちなんだね』


「相手をしてもらえるだけ ありがたいと思いなさい」



リュウは どこからともなく

お気に入りのアンティーク人形を抱えて

臨戦体勢に入っていた。


『どこから出したの?カワイイねー』


「ありがとうございます」



リュウは言葉とは裏腹に

スペードマークの道化師少年を(にら)んだ。


人形を抱えていない (から)の右指をパチンッと鳴らした。



抱き(かか)えるアンティーク人形と同様に どこからともなく

成人と同じ背格好の無機質なマネキンが およそ30体ほど

ぞろぞろと リュウの背後からやってきた。


『うわぁ、マネキンの軍隊だね』


道化師の少年は楽しそうに言う。


リュウが右手を少年に向けると

マネキンの軍は ガチャガチャと音を立てながら

少年に向かって攻めこんでいった。



少年は あっという間にマネキンの中に取り囲まれた。

マネキン達は少年を 押さえつけようと

重なりあう。


リュウは 安心しなかった。

こんなもので終わるはずがない。

リュウの中の経験がそう言っていた。


突然 数体のマネキンが ガラガラガラッと

壊れて崩れていった。


「……!?」


鋭く斬られた切断面がマネキンに出来ている。

斬られたマネキンは壊れて動かなくなった。



ガラガラガラッ



数体から あっという間に

マネキンの軍は全滅させられた。



リュウが道化師の少年を見ると

少年は 大きな剣を両手で握っていた。

最初は何も手にしていなかったのに。


「どこから出したのです?その剣は」


『キミの中からだよ』


「………?」


少年は理解できない事を言った。

そして剣を振り上げてリュウに迫ってきた。


明らかに重厚な剣を軽々と振り回す少年は

楽しそうに笑っていた。


リュウは紙一重で剣の攻撃をかわしていく。


リュウは また右指でパチンッと音を出した。


今度は 道化師の少年と同じくらいの背丈をした

日本調の からくり人形が 2体

斧を持って少年の背後から現れた。


リュウが出した からくり人形は道化師少年を交互に襲いかかる。


その隙にリュウは 少年から距離をとった。


少年の攻撃もさることながら

からくり人形の攻撃も まるで生きた人間のように

機敏に動いて攻め立てていく。



道化師少年は マネキンの軍を破壊した剣を消した。

代わりに 大振りの鎌を 出現させて

からくり人形達を一瞬で凪ぎ斬った。


「!!」


斬られた からくり人形も

ガラガラと 音を立てて崩れた。



「不思議………ですね」


リュウは少年を見て(つぶ)いた。


「あなたも わたくしと同じ、

供具現(きょうぐげん)』が出来るようですね」


『へぇ、「きょうぐげん」っていうんだね、これ』


「ええ、簡単ではないはずですが」



リュウの言った『供具現』とは

想像したモノを 物理的に具現化できる能力(チカラ)の事を言う。


自分の体と()に出来るモノを

覚悟した上で成立する能力(チカラ)であり


具現化したモノが壊れれば 自分の体の一部も壊れる。

当然の等価交換 能力である。


リュウが引き換えにしているのは「精神力」。

リュウにとって『人形』は自分の『生き甲斐』だと

理解しているので この能力(チカラ)を使う事に

躊躇(ちゅうちょ)も惜しみもなかった。


「ただ……同じ能力(チカラ)とは思えませんね」


リュウは 同じ能力(チカラ)を使う道化師少年に

疑問を抱いていた。


「何を「引き換え」にしているのですか?」


『何もしてないよ』


「それで成立する能力(チカラ)ではないはずです」


『だって、「キミの中」から出してるんだもん』


「!?」


『「キミの中の辛い記憶」をカタチにしてるんだよ』



少年は そう言うと 鎌を消して

今度は拳銃を引き出した。


「記憶……!?」


『これはキミが「10才の時」の記憶』


道化師少年は拳銃をリュウに向けて

引き金を引く。


『思い出させてあげるよ』


少年は撃った。

リュウは銃弾を肩にくらう。


「!!?」


リュウは肩に打たれた痛みよりも

脳の揺れに 驚いた。

右手で頭を押さえ、倒れないようになんとか地面を踏む。



突然揺れ始めた脳は

リュウの脳内で グラグラしながら

何かを映し出そうとしていた。


「なんですか、これは?」



道化師少年は ニコリと笑って言った。




歴史戒器(ヒストリーアルマ)


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