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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆集う仲間 編◆
9/228

勧誘

ここで時間軸が第1話のところに戻ります。


季節は春が終わり

6月のジメジメした梅雨へと入っていった。



入学してから 2カ月。

ハルマとトールの関係は あくまで

旧校舎の屋上で互いの能力を

ぶつけ合う「戦友」であって

新校舎では まったく無関係のフリをする

形をとっていた。



毎週 火曜日の午後と成り行きで決まり

雨の日は中止。



「つまんねーなぁー」


「…じゃあ帰ろうよ」



今日は6月 2週目の火曜日で

一日中 降り続くような雨だった。


決闘は中止だったが

ハルマに呼び出されて トールは旧校舎へ行き

2人は なるべく外から様子を見られない

3階の奥の教室に居座った。



「いやー、オレ考えたんだよね」


「何を?」


「『陰陽童子』」


「……は?」


「お前の能力の名前」


「いらない」


「なんで!?あった方がキマリがあっていいだろ!」


「なに、そのキマリって。ってか『陰陽……童子』?」


「霊能力者だろ、お前」


「……あぁ、それで陰陽ね……で、童子って」


「お前、子供っぽい顔してるから」





「帰る」


「オォイ!ちょっと待てって!!」



ハルマが身を挺して

トールの帰宅を阻止する。



「そんな事のために呼んだの?くだらないから帰る」


「ちがうって!この前 話したやつ!

アレをちゃんとお前に伝えようと思って」


「アレ?」



ハルマは トールと自分以外に

能力者がこの学校にいる事を話していた。

そして勧誘すると。



「……それってさ、僕の時もだけど

どーやって探したの?」


「だからよ……あー……なんていうの?

気配っていうか…ニオイっていうか」


「この野生児」


「とにかく『感覚』なんだよなぁ」


「はぁ…なるほど。勘みたいな感じね」


トールは とりあえず理解した。


「何人いるの?」


「確信あるのが1人。半信半疑が2人」


「えっ! 3人もいるの!?この学校!」



思えば この広い世界で2人の

特殊能力者が同じ高校にいる……。

集まる所には集まるものなのだろうか。


トールは 不思議に思った。


「で、確信ある奴に話しかけようと思う」


「………わかった。で、誰なの?」


「名前は知らねぇ。でも1年」


「……ホントに?」



まさか同じ学年に 3人もいるなんて。

トールは驚いて目を見開いた。


「じゃあ、声かけてきなよ」


「………いや、頼みがあるんだ」


「……まさか……女子?」


「いや、男」


ハルマの顔が妙に ひきつっている。



「……実はさ」





~翌日~




2人は体育館の裏にいて

男子バスケ部が部活動をしている光景を

こっそり見ていた。



この学校の男子バスケ部は実力もあり

イケメン揃いで有名で

女子から黄色い歓声を浴びる存在だった。


今日も大勢の女子が体育館の端の

スペースを占領し賑やかだった。


「………スゴいね」


「………スゴいだろ?」



ハルマが狙っている生徒は

女子に囲まれやすいので とても声をかけに行けない……

と、いう理由だった。


「確かに君みたいな不良生徒が

近寄ったら女子にバッシングされそうだもんね」


「うるせぇ」


「で、どの人?」


「あー、あれ!アイツ!黒のゼッケン8の」


「………え」


トールは固まった。


「名前知ってる奴か?」


「知ってるも なにも…同じ委員…」




トールは同じ風紀委員で

必ず顔を合わせる その男子生徒を

信じられないというくらい

まじまじと見た。



かなりの長身で、少し耳にかかる

長さの髪の毛を後頭部に流していて

爽やかなスポーツマン。

シュートが決まると女子の黄色い歓声があがる。

委員会でも、そこそこ発言力があり

信頼されている その男子生徒の名は……




「E組の 桐谷 アキト君 」

挿絵(By みてみん)

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