拐われた 5人
ソウタの口から とんでもない言葉が出た。
「人質って………どーゆー事ですか!?」
トールがソウタに問いただす。
アキト、レミも ソウタの言葉が信じられないという顔で
黙って立ち尽くした。
「………説明したい。一緒に来てくれ」
ソウタは そう言って3人とエナとリュウと一緒に
生徒会室へと向かった。
その途中で 教室や職員室の前を通った。
他の生徒達や教員達は
その場で強制的な眠りに就かされて倒れている。
トールも アキトも レミも
周りを見て不安な顔を隠せないでいる。
「大丈夫だ。みんな眠っているだけだよ。それ以外に何もない」
ソウタが確信を持って言う。
トールはソウタの その言葉に不信感を抱いた。
「なぜ、それがわかるんですか?」
「……………」
「………何か知ってるんですね……?」
ソウタは 答えないまま生徒会室の扉の前まで
全員を連れてきた。
だが、扉をまだ開けようとしなかった。
エナとリュウはソウタと一緒で事情を知っている。
ソウタと同じ険しい顔つきだった。
ソウタはトール、アキト、レミに
向かって話した。
「今から この扉を開けるが何もしないでほしい」
「!?」
「なんですか………それ」
「何もするなって、なんなのよ!」
「落ち着けないのはわかる。だが今は従うんだ」
3人は ソウタの初めて見る険しい顔と
怒りに震える声を感じて黙った。
「いいね?君たちの力を借りたいんだ。頼む………」
ソウタは 3人の目をしっかり見つめた。
3人に重い覚悟を託してしまう。
目が そう訴えていた。
ソウタが全員に背を向け生徒会室の扉を開けた。
全員が生徒会室へと入る。
「…………誰?」
レミが声を出した。
生徒会室に ありえない人間が1人いる。
格好は道化師。
顔はメイクで素顔が判別できない。
だが背格好からして
自分達と同じくらいの年代の少年のような人間が
ソウタの席の机の上に座って待ち構えていた。
『待ってたよ』
道化師の少年が喋り出した。
メイクで顔は笑っている。
「何よ、あんた!」
レミが 声をあげたのを見て エナがレミの肩を掴んで
「やめなさい」と言った。
『君たちがハルマ君の友達だね』
「!!」
トールが ハッとした。
今まで眠ってしまった生徒達ばかり気を捕られていて
ハルマが いまだに姿を現さない事に今 気付いた。
「ハルマは!?」
『ぼくと一緒にいるよ』
「どーゆー事……!?」
道化師の少年は ハルマと一緒にいると言うが
ハルマの姿はどこにもない。
トールは 言われた意味が理解出来なかった。
『かくれんぼだよ。見つけてごらん』
道化師の少年はクリンッと首を
横にかしげて笑った。
『独りじゃ可哀想だから
お友達も一緒に隠れてもらったよ』
「お友達!?」
「まさか……………」
トール達の予想は当たっていた。
ソウタは 3人が気付いたのを確認して
ポケットから 白いカードを5枚出して見せた。
「『隠された』のはイズミとエイジ……
それと武藤ユエさんに モモちゃん……そしてハルマ君だ」
ソウタの言葉を聞いた瞬間
レミは道化師の少年に向かって走り出していた。
右手の拳を振り上げて 少年の顔をめがけて殴りかかった。
だが少年はいなくなっていた。
レミは攻撃が空振り、勢いで前に倒れて
机をなぎ倒して転んだ。
転んだレミの所にエナが向かっていった。
「何もするなと言ったでしょう!?」
「あいつ!ユエちゃんを拐ったのよ!?
なんで黙ってなきゃいけないのよ!!」
レミは顔を真っ赤にして怒っている。
反対にアキトは 茫然自失としていた。
言葉すら失っている。
トールは 理解できない状況をなんとか飲み込もうと
懸命に頭と感情を働かせていた。
だが、冷静にはなれなかった。
「……君は……何がしたいの?
無関係の人達を巻き込んで………
僕たちの仲間を拐って……………」
『遊んでほしいだけだよ』
消えていた道化師の少年は
トール達から離れた別の席の机に座って笑っていた。
『話は全部 そこの人にしてあるから
わかったら遊びにおいで』
そう言うと少年はフッと、消えた。
レミが怒りを抑えきれず、ソウタ達に怒鳴った。
「なんで誰も あいつを倒さないのよ!!
仲間が拐われて なんで」
「無事に取り返したいからに決まっているでしょ!!」
レミの怒りにエナが応えた。
エナも怒りを抑えられずにいた。
「落ち着いてください、2人とも」
リュウが レミとエナの間に割って入る。
トールは アキトを見た。
まだ茫然としている。
ソウタが一呼吸して話し出した。
「いいかい、聞いてくれ。
隠された5人の内、4人は俺の能力で
所在がわかっているんだ」
「!!」
「だが……簡単には取り返せない」
ソウタはトール達 全員に
道化師の少年が伝えた『かくれんぼのルール』の説明を始めた。




