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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆大騒ぎ・2学期編◆
76/228

未来(さき)は見えなくても…


10月の晴れた秋風が屋上になびく。

晴れた陽気とかわってユエの表情は曇っていた。


「こんな事 今までなかったのに……」


未来を読む力を失ってしまったユエは落ち込んでいた。

その事を幼馴染みで親友のレミに まだ打ち明けていなかった。


話そうと決めてレミを探していたが レミより先にトールに会ったので

トールにも打ち明ける事にした。


「そうだったんだ……」


トールはユエの顔を見て 心配した。

だが、正直 トールにとって「未来が見えない」事の深刻さが

よくわからなくて なんて言えばいいのか困っていた。



ユエは トールに答えを期待しているつもりはなかった。


トールに悩みを打ち明けられたのは

トールも自分と一緒で 普通の人には見えないモノを見る力を

持っていると思ったから、そこに共通や共感を得られる……

そう思ったからだった。


だが、トールには見る力がなかった。


ユエは期待していなかったはずなのに少し寂しくなってしまった。



「ごめんなさい……変な話をして」


「変じゃないよ。

だって、武藤さんにとって「未来が読める」事が

当たり前だったんでしょ?

それが急に出来なくなったなら、悩むのは当然だと思う」


「………うん」


「その………やっぱり未来が見えないって不安……?」


「………すごく不安よ」


ユエは 自分に必要な未来だけを選んで 生きてきた。

それ以外は不必要だったから余計な事は一切してこなかった。


自分の感情を閉じ込めても

世間に生きていけると思ったのも

未来が読めるからだと思っていた。


だが、その(すべ)を無くしてしまった。


「前に……レミが「ホロスコープに頼らず自分の力を信じて」って

言ってくれた事があったわ。

その時は元気が出たんだけど……」


「……なんで見えなくなったのか詳しく思い出せる?」


「え……?」


「いつ そうなったか思い出せる?」



ユエはトールの言葉どおり思い当たる(ふし)を探った。


「最初に言った通りよ。

夏休みに生徒会の あの人と戦った時から……」


ユエは 『人形操師(ドールマスター)』の布施(ふせ)リュウと戦った際に

精神的なショックから自分の感情を解き放った。


思えば 感情を解き放った後から

未来が読めなくなっていた事に気付いた。


「あの時からだわ………」


感情を(おもて)に出す代わりに

ユエは未来を読む力を失った。


「あの時………」


トールは思い出して ちょっと照れた。

戦いが終わったユエはショックを受けたあまり

自分の胸で泣き出した。

ユエの体を抱きしめた………。



「あの時、武藤さん 急に強くなったよね」


「え……」


「あまり良い言い方できないけど

追い詰められて……強くなったっていうのかな」


確かにそうだった。ユエは感情を表に出した事で

星座を操る力が上がった。


「………未来を見る力の代わりに

星座を操る力が上がったって事かしら?」


「そうゆう事かもしれないね」


ユエは複雑な思いになった。

表情は曇らせたまま視線を下に落とした。



「僕は今の武藤さんの方がいいな」


トールは 励ましとかではなく

本心をユエに伝えた。


「初めて会った時は すごく……こう壁があって

話しかけにくい雰囲気だったから……

でも、今の武藤さんは

笑ったり怒ったり……話しやすくなったなって感じるよ」


「……………」


「僕はそっちの方が好きだな」


「…………!」


「ごめん、根本的な解決になってないよね……

未来を読めなくなって悩んでたのに……」


トールは気付いていない。

今、無意識に「好き」だと言った事に。

ユエはトールの言葉に頬を赤くした。


「………いいわ。未来が見えなくても」


「え?」


「きっと、もうその力に頼るなって事よね」


ユエは顔を上げて微笑んだ。


「クセだったから まだ慣れないけど

未来を気にしなくても過ごしていけるようになるわ。


ありがとう 樋村君」


「あっ……うん」


トールもユエの微笑んだ顔を見て笑い返した。




未来(さき)を見る事へのこだわりを捨てよう。

不安に(おちい)る事はあるかもしれない。

でも、不安に打ち勝てるモノを手に入れたから もう大丈夫。



今の自分を好きだと言ってくれる人がいる。



ユエの感情は 今までにないくらいの

喜びで満たされた。





―――――――




「んーッ!!」


「なんだよ、ゴリ……」


「あぁーもう!!」


「だから なんだよ!」


「トール君てば 紳士のクセにニブチンなんだからッ!」


「何言ってんだ、さっきから」



「女のカンよ!あぁーもう!!」

レミが一番スゴイと思う今日この頃

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