トール VS ハルマ 2
◆トールの能力◆
右腕に『白虎』と『朱雀』
左腕に『玄武』と『青龍』
白虎…攻撃が主体
玄武…防御が主体
青龍…回復が主体
朱雀…???
力の使い方は様々。
話が進むに連れて
いろいろ出てきます。
ガランガラン…
パラパラ…
ハルマのとんでもない行動で
屋上には大きな穴があき
飛び散った破片があちこちに落ちている。
トールは態勢を崩され方膝を立てて
あいた穴を見つめていた。
「ハァッ…ハッハハハ」
ハルマが息を切らしながら笑い出した。
「オレの勝ちぃぃぃぃぃ!!!」
「はぁ!!!?」
トールはもう怒りやら驚きやらで
ハルマに悪態をついた。
「なんで!!てか、コレ!!
どーするつもりだこの状況!!!」
「お前を動かしたから」
「え!?」
「だってお前、勝負の前に
『ここを動かない』って言ったろ?」
「…!?」
「動いたじゃん」
「!!」
「オレの勝ち♪」
ぶちんっ
「こ ッ の ッ 馬鹿!!!」
トールは考える間もなく
右腕の封印札を振りほどき
白虎の手に変えてハルマに殴りかかった。
今だかつて『人』に対して
こんなに怒ったのは初めてだった。
猛りながら猛攻撃をする。
「ちょっ、まて、待てって、コラ
殺す気か、てめ!!」
「あぁ死ね今すぐ死ね!!死ね死ね死ね!!」
「こわっ!!」
~10分後~
2人はボロボロの状態で息を切らし
座って、へばっていた。
決着がつかなかった。
「……………もう嫌ッ」
トールが嘆いた。
「…………ハハッ」
「笑うな!!」
「そう怒んなよ」
「お前、自分が何したかわかってんの!?
戦闘狂にも程があるだろ!!」
(ぶん殴りたい
体がいうことをきくなら
コイツをぶん殴ったあと
この屋上から突き落としてやりたい)
「あぁ~…必死だったからな、スマン」
「必死って…そんな、何に」
「お前に勝ちたくて」
相変わらずニヤけた顔が消えないハルマ。
ハルマはおそらく誉め言葉のつもりで
言ったのだろうが
トールには聞こえなかった。
トールは立ち上がって
大きく穴のあいた場所に歩いていった
「どいて」
座り込んでたハルマを一蹴する。
右腕の白虎を消す。
そして左手の封印札をほどくと
今度は青色の気が
トールの左腕をまとって立ち昇る。
「『青龍の鱗』」
青色の気が花びらのような形になってヒラヒラと舞い
地面に付着すると穴や破片が元の形に戻っていった。
2人が派手に戦った跡は何事もなかった状態へ戻った。
「おおー!!」
魔法のような光景を見たハルマは
感激の声をあげた。
「お前スゲーな!!
これならどんだけ暴れても」
ゴッ!!
ハルマがしゃべりきらない内に
トールがハルマの顔面を殴った。
これにはハルマも反応が鈍って
まともにくらって後ろに倒れた。
「僕のチカラはこんな事のためにあるんじゃない!!」
本当なら白虎の手で切り裂いて
やりたかったが間に合わなかった。
それに疲れて殴るのが限界だった。
「はぁっ……もう金輪際関わらないで!!」
トールはハルマの顔を見ないで
屋上から出ようとした。
「………あー、じゃあなんの為に
あるんだ?お前のチカラは」
ハルマは仰向けに倒れたまま
トールに話しかけた。
「……」
この前も聞かれた。
自分の能力をどう思っているか。
「……知らない、そんな事」
トールは高校に入学するまで
ひたすら自分に取り憑いた妖怪たちを
抑えるため戦っていた。
普通の生活なんて出来なかったし
理解してくれる人もいなかった。
この能力を使えるようになった時
どう使っていこうかなど考える事が
出来なかった。
だって理解してくれる人がいないから。
自分は『ごく普通の』人間で
『ごく普通の』生活を送らないといけなかった。
この腕を隠して。
「『利用してやろう』って思わなかったのか?」
ハルマが体を起こした。
トールに顔面を殴られて
鼻血を流している。
「……利用?」
「だってオレ達、こんな能力持ったせいで
普通の人間じゃいられなくなったんだぜ?
悔しいとか思わなかったか?」
(悔しい……か。
確かに恨んだことはある。
こんな能力がなければっ……て)
「振り回されてたまるかって思わなかったか?」
「……」
「オレは思ったね。ムカついて
何度も自分の体を傷付けた。
そんな事したって消えないってわかっても」
「……」
「だったら開き直って『利用』してやる!
ってオレは思ったんだ」
「……それが決闘?」
「そう!オレ達みたいに
能力の使い道がわからなくて手に余らすぐらいなら
ぶつけ合っちまえばいいって!!」
(はぁ…なるほど。馬鹿の考えらしい)
「で、手始めに僕を狙ったわけね」
「ちげーよ、お前が良かったんだよ」
「……なんで?」
「『強い』と思ったから」
「……?」
「単純な力だけじゃなくて精神力とか、心とか」
(……強い……僕が?)
「能力者の気持ちがわかる能力者に
出会いたかったんだ」
(あぁ……そうか……)
(コイツも 独り だったんだ……
理解してもらえない力を抱えて
生きていくしかない生活をしてたんだ)
「お前が良かったんだよ……」
(あーもう……)
(なんでこの馬鹿が僕の 理解者 なんだ)
(離れられないじゃないか)