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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆ VS 生徒会編◆
62/228

真実

ソウタは身を起こして

自分の両手の手のひらを広げて眺めていた。


「傷が消えてる……ここも 2階も……樋村くんか 」


ソウタはトールが傷や壊した所を

元に戻している事に気付いた。



「ハルマん!」 「赤嶺……」


救急処置を終えたレミ達が

まだ目を覚まさないハルマに声をかけている。


顔色を見ると 赤らみが少し出ていた。

心臓も普通に鼓動しているのを確認して

とりあえず 3人は一安心した。




カン カン カン……


トールが屋上から全員がいる

1階のロビーに降りてきた。


「樋村!良かった、お前のおかげで……」


「みんな、ちゃんと隠れないと!

外から見られたらマズイよ!!」


「大丈夫だ」


ソウタが起きていた事にトールは今 気がついた。


「もう『空間』を張ってある。

ここの事は誰にも気付かれないよ」


それを聞いてトールは安心した。


ソウタは一息ついて

トール達 4人に笑顔を見せた。


「まったく、凄いな。君達は」


「もうええんやないか?話しても」


「え……?」


「そうね」


ソウタに続き エナ、エイジ、リュウも笑顔を見せた。

(イズミは常に笑顔)



「今回の勝負はね、全部 会長の指示でやったのよ」


「………えッ」


「くじ引きも 仕組みや。

初めからワイらは戦う相手を決めとった」


「な………」


「勝負も最初は手を抜けと言われてました。

最終的には皆さん本気になりましたけどね」


「ごめんねー、みんなー」


「何よ、それ……」


真実を告げられ 開いた口が塞がらないトール達 4人。


「なんでそんな事を?」


トールが冷静に問う。


「君たちの存在を知って、遊びたいって思ったのは本当さ。

でも、君たちはまだ不完全だった」


「不完全……?」


「そう、能力(チカラ)を持っていても

十分に発揮できないでいる。そんな状態だった」


ソウタは立ち上がった。


「そんな状態で、君達と会っても為にならないと思ってね。

それで、わざと君達に敵対心を抱かせる事にした。

その方がみんな真剣になるだろ?」


「じゃあ、初めから……」


「対戦相手にもちゃんと意味があったんだが

気付いてくれたかい?」


「え……いや」



「桐谷アキト君。

君には足りない感情があるだろう?

だから、うちの中で一番「純粋な愛」に

熱いエイジを君に当てた」


「♪イェーイ♪」


「武藤ユエさん。

貴女は感情が(とぼ)しかった。

だから少々、感情を沸かせるためにリュウを選んだんだが

……ちょっとやりずぎだったな」


「申し訳ありません」


「清水レミさん。

貴女にいたっては、情に大変 熱い方だったので

ぜひイズミと話をしていただきたかったのです」


「えーッ!何それッ!?」


「貴女は十分強いのでね」


「え……ま、まあね!!」


「樋村くんは エナと同じで

『誰かのため』に力を発揮しやすい。

思いの強さで戦ってもらおうとエナに頼んだんだ」


「ルールに救われたわ。

まぁ、ルールが無くても私は敗けないけど」



4人は自分達の戦った時を思い出した。


アキトはエイジの『会長を心から慕う』思いを見て

自分に無かったモノに気付いた。


ユエは リュウに迫られた時のショックで

奥底に眠らせていた感情を目覚めさせた。


レミは、イズミの心を救い、

トールは ハルマを思い 覚悟を決めた事で

能力(チカラ)の限界まで戦えた。




全て最初からソウタの意思で

4人に『必要なモノ』を気付かせ

強くなってもらうために仕組んだ

対決だった。




真相を知った4人は 心から何かが抜けたような

脱力感におそわれた。


「すまなかったね」


ソウタは、4人の為とはいえ

騙して戦わせていたことに謝った。


「君たちと遊びたかったのも本当さ。

俺たちは今年で卒業だから」


「受験や勉強で……もう旧校舎(ここ)に集まるのは難しくてね」


「最後に思い出作れて良かったですね、会長」


「まぁ、なんや。

『バトル倶楽部』の引き継ぎ式みたいなもんやな。

楽しかったで、ホンマに♪」


「みんな~ありがと~」



トール達は互いに目を合わせ

この対決が 自分達の力の底上げをしてくれていた事と

『バトル倶楽部』の先輩たちの門出を送るような事をしていたと

わかって少し苦い笑い方をした。



「ハルマ君にも伝えておいてくれ」


ソウタは眠っているハルマに目を向けた。


「『また遊ぼう』って」








こうしてトール、ハルマ、アキト、ユエ、レミの

初めての夏休みが終わりを告げた。



それぞれに新しい力を

気付かせてくれた有意義な一時(ひととき)だったと

口にしなくても心で感じられた

長いようで短かい 1か月だった。


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