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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆ VS 生徒会編◆
58/228

ハルマVSソウタ ~暴走~

瓦礫の山が 崩れ始めた。


「ハルマ!」


2階から床を破って突き落とされた

ハルマは体中 砂ぼこりでまみれて

腕や顔に傷を幾つか傷をつけていた。


傷よりも下に落ちた衝撃で

体がヨロヨロとふらつき、気力だけで

なんとか立ち上がったように見える。


「………」


「戦えるよな?」


瓦礫から黙って立ち上がったハルマに

ソウタは容赦ない言葉を浴びせた。


「トール、離れてろ」


「!」


「巻き込まれるぞ」


ハルマはトールに言葉だけかけた。

目はソウタを捕らえていて睨み付けている。


トールは 下がって離れた。

ちょうどアキトと エイジとリュウが降りてきて

その場でハルマとソウタを見守る事にした。


1階は 2階と 3階とくらべて

少し通路が広く、ロビーや展示スペースなどの空間があった。

廊下で戦うより広くて動きやすい所に見える。


ハルマが 1歩踏み出すと

ハルマが被っていた瓦礫や破片が

宙に浮かび上がった。


「!!」


ハルマはソウタの空間『半径6メートル』内に

すでに入っていた。


浮かび上がった瓦礫がハルマめがけて

ぶつかってくる。


数えきれない(つぶて)が次々とハルマを襲う。


「さっきの仕返しだ」


ソウタは笑顔で 瓦礫に襲われるハルマを見る。



頭、背中、肩、脚、腹……

生きた鳥のように瓦礫が動きまわりハルマを攻撃する。



バチッ!



ハルマから赤い火花が散った。

そして赤いの電流を体にまとい

あまりの勢いで天井を突き抜けるほどの

電流の柱がハルマの体から昇った。


アキトと戦った時の あの雷のような柱がハルマを包んで

まとわりついていた瓦礫を粉砕した。


その威力だけで理解できる。

ハルマは今までにない怒りで我を忘れている。



「良い顔だ」


ソウタは怒りに満ちあふれるハルマを褒めた。


次の時にはハルマはソウタに殴りかかっていた。

もの凄い速さで 誰もハルマの姿を捕らえられなかった。

それはソウタも一緒で 右の頬にハルマの拳をくらった。


体勢を戻させる隙を与えないほど

ハルマは殴打を打ち続けた。


「会長!!!」


今度はエイジ達が叫ぶ番になった。

ハルマの連打をくらってソウタは

壁に倒れかかった。


ハルマの攻撃は止まない。

右ストレートが壁をぶち破る。

ソウタはハルマの手から ようやく逃れ

今度は自分が手を前に出した。

ハルマの体に触れる。


「!!」


ハルマの体から電気が引いて出なくなった。


「チクショッ……てめぇ!!」


ソウタは空間を『右手』だけに戻していた。

狭い空間は自分の思い通りにしやすい。

『右手』だけにしたことでハルマの体に触れた瞬間

ハルマの電撃を封じ込めてしまった。


「普通の体はどうだい?」


「離せッ!!離せッ!!」


ハルマは電撃と同時に体の自由も

封じられている。


「君は「普通の人間」に憧れた事があるか?」


「!?」


「なんの能力(チカラ)も持たない「普通の人間」に」


ソウタは右手でハルマを掴んだまま話を続けた。


「生まれた時から この体だったんだろ?

大変だっただろうね。

恨んだり、憎んだり、辛かっただろう?」


「………!」


ハルマは自分の過去を思い出していく。


辛かったなんてモノじゃない。

自分は「存在」すら許されなかった。


思い出したくない過去が脳裏に甦る。


「俺は逆だった。普通の人間なんて嫌だった。

毎日が退屈で、こんな世の中に自分を埋めたくなかった」


ソウタは ハルマを見つめた。


「自分の世界を創りたい。そう強く願い続けた。

そしたら この能力(チカラ)に目覚めたんだ」


2人の会話はトール達にも響いて聞こえていた。


「それから、エナやイズミ達みたいな

同じ能力者に出会ったんだ。

でも、みんな自分の能力(チカラ)を隠したがったんだよ。

周りから見たら「異質」だからね。

すごい能力(チカラ)を持ってるのに、どうして(さげす)まれなければならない?

おかしいと思わないか?」


ソウタはハルマから視線を離さず

ずっとハルマを見続けて訴えかけた。


「それを感じて思ったんだ。

『能力者が蔑まれない世の中を創ろう』って。


そうすれば、イズミのように他人を巻き込む事件を

起こす事がなくなるし、イズミの心も救えるだろう?

エナもエイジもリュウも 悪人や犯罪者を倒せる力を持ってるんだ。

世界に出て活躍できるだろう?

蔑まれる理由なんて どこにあると思う?」



エイジとリュウはソウタの言葉に

目を潤ませていた。



「君も一緒だ、ハルマ君」


「……!」


「君も俺が創る『世界』に来てくれたら

二度と辛い思いはしなくて済む。

もちろん、君の友達も」



ハルマは心が揺らいでいた。


自分の過去を思い出して暗闇に迷い込んだ。

そしてソウタの言葉が暗闇を照らした。

まるでずっと永く閉じ込められていた牢屋から

脱出できたような 高揚感。



『自分らしく生きていける世界が欲しい』



ハルマの夢が ソウタの掲げる理想に

混ざり始めようとしていた。





ザッ ザッ ザッ ………



「樋村? お、おい!」


トールがハルマとソウタの方へ歩いていった。


「なんや、トモダチ助けに行ったんか?」


「そしたら敗けですよ?」


「戻れよ 樋村!」






「……?」


ソウタが 近付いてきたトールに気付いた。


ハルマがトールを見る。

ハルマの目が少し潤んでいた。


「仲間を助けたら反則になるよ」


ソウタは トールに諭した。


「知ってますよ」


トールは目が少し怒っている。


「……トール………?」


ハルマは力なくトールの名前を呟いた。




「『助け』じゃなければ手を出してもいいんですよね?」


その言葉を言った瞬間だった。








ゴッ!!!


トールはハルマの顔を思いきり殴った。


「ッ!!??」



ソウタでさえ 目を丸くして驚いた。




トールの突然の奇行。




ハルマを殴った音が 木霊(こだま)した。

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