レミVSイズミ 2 ~共通~
少し残酷描写あります。
◇◇◇◇◇◇◇
今から10年前の秋に起きた事件。
ある夫婦が麻薬所持と児童虐待の
疑いで逮捕された。
夫婦の部屋に入った警官隊と救急隊員は
いるはずの子供を保護しようと探したが
見つからなかった。
辺りを懸命に捜索していると押入れの中から
旅行用のスーツケースが出てきた。
ケースのフタを開けると
中から衰弱した夫婦の子供が見つかった。
子供はすぐ病院に運ばれ一命を取りとめた。
回復した子供の診断に訪れた精神科医が
診断後 深刻な顔をして言った。
「笑っていた」
精神科医は子供が話した言葉を
恐る恐る繰り返した。
『あの中で友達ができたよ。
だから こわくなかったよ。
お母さんのお腹にいる時って
あんなかんじだったのかな?
友達のことをいろいろ知ったんだ。
だから こわくなかったよ。』
◇◇◇◇◇◇◇
「イズミは……生き延びるために
『闇』と同化することで自分を守ったの」
美作エナの話に誰もが黙って聞いていた。
「しばらくして、イズミは 1回だけ事件を起こしたわ」
「……事件?」
「中学の時、イズミをイジメていた
男子生徒 2人を『不明』の世界に引きずりこんだのよ。
その 2人は廃人寸前まで陥ったって聞いたわ」
「そんな!それじゃあレミは…!」
「……大丈夫よ」
不安の表情を隠せないユエは
美作エナに近付いていた。
「線を越えたりはしないわ。
私も会長も 側でイズミを見てきたから」
……それなら、なぜ貴女がここにいるんですか?
トールはそう思った。
もしもの事が起きた事態に備えて
美作エナは ここにいるんじゃないか……と。
トールは不安な気持ちを
ハルマにもユエにも言わず 一人で抱え込む事にした。
『アメジスト』の効果が消えかける。
レミは瞑想を解いて目を開けた。
「影井!聞こえてるわよね!?」
レミの声は静かな暗闇の中に響かず
自分の耳に返ってきているようで変な感じがした。
「人をこんな所に連れてきて何をしたいのよ!
恐怖感を味わわせたいわけ!?
自分が経験したことを他人に
わからせるつもりでやってるとでもいうの!?
そうじゃなきゃ こんな暗闇の世界 創れないもんね!」
レミは構わず どこかにいるイズミに訴えた。
「…………違う
アンタ……さみしいだけでしょ?」
レミはポーチに手を伸ばした。
「さみしいのはアンタだけじゃないのよ」
レミは 自分の体験した過去を思い出していた。
「アンタに これやるわ」
レミはポーチから取り出した
白く輝く宝石に近い天然石を
手のひらに乗せたあと下に落とした。
天然石は音を立てず
静かに暗闇の中へ消えていった。
偶然にも
同じ体験をして能力に
目覚めた少女の記憶が暗闇に広がっていく。




