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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆ VS 生徒会編◆
34/228

愛の温度

トールは左手の封印札を ほどいて

『青龍』を出した。


アキトが開けた床の穴や

激突したときにへこんだ壁や

アキトとエイジの体の傷を治していった。



「おっ……おーきに」


「うわぁ~キミってスゴイねぇ~」



アキトは 元のアキトに戻っていた。


左足の傷は治ったが

まだ座り込んでいるエイジの方に

アキトは行って一礼した。



「ありがとうございました」


「………なんや、ホントにエライ

人変わるなぁ お前。調子おかしなるわ」


「すみません」


「謝る必要ない。ワイが弱かっただけや」



エイジは さっきは悔し泣きで

声を荒げていたが、吹っ切れたようだった。


「ワイらは今年が最後や……」


エイジは話し出した。


「お前ら、最初に旧校舎(ここ)

バトル始めたの自分らやと思ってるだろ?」


「えっ?」


「ちゃうで。最初に始めたんはワイらや。生徒会長や」


ハルマもトールもアキトも

目を丸くした。



「3年前や。ワイはちょうど こっちに

引っ越してきたさかい、友達もおらんし

八曲奏師(ビート・エイター)』の力を持っとった。

おかしな力すぎて周りに隠さんといけんと

思ってたら、会長が声かけてきたんや。

『その力を使って遊ぼう』ってな」



トールはビックリした。

エイジが話した内容は、ほぼハルマが

とった行動と同じだった。



「会長は他にも仲間作って旧校舎(ここ)

集めて、皆で自分の力を見せあったんや。

おもろかったで、ホンマ……。

会長のおかげでワイは自分の力を

気にすることなく学校に通えたんや」



エイジは過去を懐かしむように語った。

側にいる影井イズミも静かに

エイジの言葉に耳を傾けていた。



「でもな……時が過ぎるんは早いな……

ワイら来年には卒業や……寂しなる」


エイジが下を向いて悲しんでいる。



「そんな時にお前らの存在を知った会長が

『遊ぼう』ゆうたんや。最後に思い出作ろうってな」



「じゃあ、オレらは会長の

思い出作りのために利用されたってわけかよ」


ハルマが噛みついた。


「そう受け取ってもらってええ。

『能力者』がたくさんいた方が良いって言う

会長の思いやからな」



トールは少し複雑な気持ちになった。

アキトは黙って話を聴いている。



「だから会長のために良い思い出を

残したかったんや。お前らに勝って

最後の高校生活に花を飾りたかった……」



エイジは再び悔し涙を流した。

その意味がアキトにはわかった。



アキトは胸に手を当てて

エイジを見つめた。



これが人を『愛』している時に感じるものだと。





「敗けは敗けや……強いなぁ お前」


「……ありがとうございます」


「次は『愛の(ラブソング)』歌える

ようになっとくわ、またやろな」


「あっ……ハイ!」



エイジは心地よく笑った。

アキトと握手をかわして

影井イズミと共に帰っていった。



――――――



「桐谷君……どうして

『愛の(ラブソング)』を歌ってほしいってお願いしたの?」


「えっ、あぁ……」



アキトはズボンのポケットに入れてる

レミからもらった『エンジェライト』を

トールに見せた。



「清水が言ってたんだ。俺に『穴』があるって。

それでこれをくれた」


「なんの石?」


「『エンジェライト』

石言葉は『胸に手を置いてみよ・それが愛の温度だ』」


「………!」


「俺に欠落してるモノを補ってくれた」



アキトは『エンジェライト』を

見つめてからポッケに戻した。



「まさか もう一人の俺が

あんな事言うなんて思ってなかったけどな」


アキトは苦笑いした。



「ねぇ、桐谷君、覚えてる?」


「何が?」


「後ろに回ってた時任さんの分身に

傷をつけたらどうなるかって聞いてたの」


「あぁ……あの時か」


「あれって、時任さんに

重たい傷を負わせないかどうか確認の

ために聞いてたんでしょ?」


「…………そうだったかな」


「そうだよ」



トールは笑って答えた。



「やっぱり桐谷君は優しいんだね」


「………………」


アキトは首を少しかしげた。

ちょっと照れくささも感じていた。



「なんかスッキリした」


「勝ったからね」



アキトは笑った。






先陣を切ったアキトの戦いは

勝利を納めた。




あと 4人。

まだまだ暑い夏が続く。

次回「ユエ VS リュウ」編

スタート

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