陰陽童子・樋村トール 2
◆登場人物◆
樋村 トール
15才・高1・男
身長160センチ・小柄
目が大きく幼顔
頭が良く成績は上の方
産まれた時から強い霊力を持っていたため
四匹の妖怪に取り憑かれてしまう
自身が霊能力者になることで
四匹の妖怪を操る力を身につけた
赤嶺ハルマにより
のちに『陰陽童子』とあだ名をつけられる
「ちょっと待って」
「あ?」
「この教室じゃ狭いから広い所に移動しよう」
「おぉ、やる気になったか。いーねー」
(ふざけんな、この馬鹿。
仕掛けたのはそっちじゃんか)
「屋上にすっか」
(どこでもいい。
とりあえずコイツをなんとかしなきゃ。
学校生活がおかしくなる)
2人は旧校舎の屋上へ出た。
天気は晴れ。少し風が強い。
旧校舎の屋上は光の当たらない影のところはコケが生え
ところどころに亀裂がある。
「お前、名前は?」
「……樋村」
「霊能力者なのか?」
「……そう」
「へー」
(よくわからないけど、コイツは
僕に能力を使わせてケンカしたいわけだ。
さっきの変な火花に尋常じゃないスピード…
コイツもおかしな能力を持ってる)
「僕が勝ったらもう来ないで」
「わかった」
(こうなったら二度と戦いたいなんて
思わないぐらいやっちゃうしかないな)
「なんだそれ?」
「……封印」
樋村トールは自分に取り憑いた四匹の妖怪を
右腕に二匹、左腕に二匹
封印している。
腕には封印の文字が書かれた
長い札を包帯のようにグルグルと
巻き付けている。
樋村トールはこの妖怪達の
力を借りて特殊能力を使う
霊能力者だった。
右手首側の札の先を指でちぎって
札を腕の3分の1くらいまでほどいた。
右手からユラユラと
白色の気が出てくる。
「…すげぇな」
「一応、手加減してあげる」
「あ?」
「死なれると困るから」
右腕から出てた白色の気が
トールの右腕全体を覆って形を成していく。
「『白虎の手』」
右腕は白色の隆々とした獣の手に変わる。
トールは相手の感想を聞く前に
飛び出して右手を振りかざした。
「おっと」
トールの攻撃を紙一重でかわす。
この攻防戦が幾度か繰り返えされ
トールは苛立ち始めた。
(コイツ…全部僕の動きを見切ってる。
白虎を呼び寄せた時は身体の動きが速くなるのに。
しかも笑ってるし)
トールは攻撃をやめた。
「おいおい、なんだよ。
当たらねーからって諦めたか?」
「………むかつく。なんなの?……君は」
「オレは 赤嶺 ハルマ」
バチンッ
ハルマの体から赤い火花が飛び散る。
「血潮雷電だ」