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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆異文化バトルコミュニケーション編◆
193/228

トール VS クリフ 3

クリフは怒りを爆発させて

自身の能力(チカラ)を激しくふるい始めた。


クリフはトールと同様

体の中に『Monster』と呼んでいるモノを宿らせている。

それらはクリフの意思で

『Monster』の力を借り、使用する事ができる。


クリフは『火蜥蜴(サラマンダー)』の名前を呼び

自分の体と その周囲を炎の(オーラ)で囲んだ。


トールは腕を顔の前に上げ、熱気から顔を守る。

熱で息苦しさを感じ、肌からは汗が吹き出す。


クリフの方を見ると

右腕に『火蜥蜴(サラマンダー)』と思われる

トカゲの形をした黒い物体が絡み付いていた。

目の色がクリフと同じ真っ赤になっている。


「君を消してシマエバイイ!そうすれいいンダ!!」


トールに対する怒りが『火蜥蜴(サラマンダー)』の力の(かて)となり

クリフの体から炎が上がる。


沸き上がった炎はトールの元へと勢いよく(ほとばし)る。


最初の攻撃とは速さも威力も格段に上がり

トールは右の上半身にダメージをくらう。


制服は焼け落ち 右肩から顔にかけて炎が引火する。

クリフは 炎が引火して燃えていくトールを見て笑い声を上げた。


「君にボクを(せい)する事ハできマセン!!」


クリフの能力(チカラ)により

トールは炎に身を巻かれる。


クリフは勝利を確信し、笑顔を歪ませながら

燃えていくトールを見る。



「―――――!?」



クリフは 何か(・・)に気付いて笑うのをやめた。

目を丸くさせ、ある一点を見つめる。


トールのいる周辺の炎が

自分の意思とは違う動きを始め、クリフは目を見張った。


炎はユラユラと揺れながら

大きな鳥の翼を形取りはじめ

トールの周りを燃やしていた炎を吸収しはじめる。


その炎の形をした翼はトールの背中から生え

トールの目にはこれまでにない『闇』を宿していた。


クリフは 炎の翼を背中に従え

無表情に見つめてくるトールの目を見て鳥肌を立たせた。



「……………………………終わり?」


トールは小さな声で囁きながら

『朱雀』の強大な力をクリフに見せつける。


クリフは自分の『火蜥蜴(サラマンダー)』の炎よりも

遥かに強い力を持ったモノがいるとは考えた事がなく

信じられない、と後退りをしはじめた。


トールは 見るからに脅えて後退りをするクリフに

容赦なく追い討ちをかける。


翼を前に出して風を起こすと

クリフの周辺の気流を乱し

風圧で足を捕られたクリフは地面に転んだ。


急いで起き上がろうとするクリフに向けて

トールは翼から炎を撃ち出していく。


炎の雨を降らせ、クリフは転がるように避け

トールから離れていく。


クリフは『火蜥蜴(サラマンダー)』を消すと

瞳の色を真っ青に変えて別の『Monster』を召喚した。


「『水妖女(ウンディーネ)』!!」


水妖女(ウンディーネ)』の名を呼ぶとクリフの周辺から

水が沸きだし、その水でトールの炎を打ち消していく。


「…………………………」


トールは黙ったまま 打ち出した炎が消されていくのを見る。


クリフは「効果あった」と思い

そのまま水の勢いを加速させて周りを水浸しにしていく。


「これデもう君の炎はボクには通じナイ」


水の壁を張り、周りは水気(みずけ)に帯びて炎の勢いは低くなる。

クリフは脅えて流した汗を拭って反撃に出ようとした。


だが、トールは右手を一度だけ凪ぎ払うように動かすと

『朱雀』の炎が 水気(みずけ)を蒸発させていく。


「ッ!?」


クリフは形勢逆転したと思っていたが

トールに一瞬で吹き飛ばされる。


召喚した『水妖女(ウンディーネ)』は『朱雀』の火炎で

蒸発して消えていった。


「そ……………そンナ」


再び脅えて汗を流すクリフ。


「……………………………終わり?」


圧倒的な力をさらに押し付け

歯向かう気持ちすら根こそぎ焼き尽くしてやろうと

トールの黒ずんだ瞳がクリフを見据える。


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