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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆集う仲間 編◆
19/228

トール VS ユエ

◆登場人物◆


武藤(むとう) ユエ


15才・高1・女

身長155センチ 小柄


黒髪のストレートヘア

二重まぶたで ややつり目


稀代の占星術師一家の娘。

持ち歩いている『紫色の本』は

ホロスコープ表で 自分や身の回りの

近い未来を占っている。


12星座の力を具現化して戦う事ができる。

満月の夜が一番 能力を発揮しやすい。


『人』や『出来事』を

惑星に例えて話すので 理解に時間がかかる。

向けられた光の弓矢に

トールは すぐさま反応した。


キュンッ と心地よい音で放たれた矢の軌道をよんで

右に跳んで回避した。


ユエは トールに照準を合わせ

2・3 発と続けて 矢を射る。


光の矢は無制限に出現できる…

そう推測したトールは立ち止まらず

ユエの周囲を動き続ける事にした。


ユエも 自分の懐にトールを入れないよう

光の矢を放ち続ける。



「『サジタリウス』…って射手座の事か」


アキトが ユエの光の弓矢と

『星座使い』と言った事を思い出して理解した。


「あの女もトールと似てんな」



妖怪の力を呼び寄せて戦うトールと

星座の力を使って戦うユエの

オカルト対決……と、ハルマは思った。



トールは ユエの周囲を走り続けていたが

さすがに これ以上、体力を削れないと思って

左腕の封印札をほどいた。


緑色の楕円形の壁を 自分の前に出現させた。

『玄武』と呼んでいる妖怪の力を借りた盾だ。


ハルマと戦った時のようなトールの

全体を囲んだ大きな盾ではなく

真正面の攻撃だけを防ぐ 小さめの盾だが

ユエの光の矢を防いだ。


トールは少し息を切らして次の作戦を考える。



「あっ!オイ!トールー!」


ハルマが声をかけた。



「お前だけに 特別ルール!」


「はぁ!?」


「『玄武』でずっと防御体勢になるの無し!」


「ふざけんな!!」



ハルマの即興ルールに怒るトール。

気が付くとユエの 弓矢の攻撃が止んでいた。




「あなた」


ユエが アキトに向かって言った。


「…ん?俺?」


「あなた、誕生日はいつ?」


「え…9月9日」


「そう、『ヴァルゴ』ね」



トールはすぐわかった。

今度はアキトの『星座』を使って攻撃してくる。



「『ヴァルゴ』って何!?桐谷君!! 何座!?」



トールは星座を知ることで

なんとか次のユエの行動を読もうと思った。



「…乙女座」


「おっ………おとめ座!? えぇ!?」



トールは まったく予想のつきにくい星座を言われ

戸惑うしかなかった。



ユエの手から弓矢は消えていた。

トールは盾の陰からユエを見て様子を伺った。


立ったまま動かない……。

屋上は 今や満月の月明かりだけになり

お互いの立ち位置がなんとかわかる状態だった。



ユエの足の下から黒い影が伸びているように見えた。


「…えっ!?」


トールは影をよく見た。

影の出た先を見ると……ユエの髪の毛だった。


「髪の毛っ……うわー!!」



ユエは髪の毛が異常に伸びて

それらは意志を持った生き物のように

うねって動いていた。


それに気づいた時には トールは

左足首をユエの髪の毛に捕まれて

地面を引きずられた。




「…ありゃ 乙女座っていうか『メデューサ』だな」


「『メデューサ』だな」


ハルマとアキトがのんびりと観戦する。



「ちょッ………いッ…た……ッ!ッ!!」


トールは左足の自由を奪われ

地面を引きずり回される。

ユエは攻撃を髪の毛にゆだねて

立ったまま動いていない。


トールは やりたくなかったが

意を決して右手の封印を解いて

『白虎』の手を出した。


「…ッ ごめんなさい!!!」


そう言って左足に絡んだユエの髪を

白虎の爪で切った。


引きずられた反動で地面を転がったが

なんとか動く髪の毛から逃れたトールは

立ち上がった。


髪の毛が再びトールに向かって攻めてきた。

まるで大蛇が襲いかかってきているかのようで

トールは白虎の手で 何度も斬りかかり

防戦一方だった。




「あなた」


ユエが ハルマに声をかけた。


「誕生日はいつ?」


「オ…オレか…」


妙に緊張するハルマ。

トールの様子を見て、申し訳なさそうに

ポツリと言った。


「…8月…1日」


「そう、『レオ』ね」



トールを襲ってた髪の毛が引いた。


「……『レオ』って、まさか…」



名前だけで大体 予想がついた。


ユエの体が煌めくオーラに包まれ

まばゆい光を放つ『獅子』へと変貌した。


「ウソでしょ…!」


走り続けたり 引きずられたりで

精神的にもやられてたトールに

追い討ちをかけるかのように

獅子が突進してきた。



トールは片手の白虎の手で

なんとか 1撃目は受け流したが

2撃目の攻撃は全身で受けてしまい

激しく背中を打って仰向けで倒れた。


「……気絶…したか?」


アキトが様子を見に行こうとした。


「…いや、大丈夫だよ。トールは」


ハルマは確信を持って応えた。

ハルマはトールの力強さを知っていた。





ユエは獅子の姿から元の姿に戻った。


「素敵な右手だったわ…」



ユエは遠くを見つめるような目で

トールの白虎の手を思い出して

うっとりしている。



「もう一度、見させていただける?」



ユエは仰向けに倒れて動かないトールに

話しかけた。




トールは倒れたまま夜空を見て

煌々と輝く満月を眺めていた。




「ごめん…できないかも…」





月明かりが旧校舎の屋上を照らす。






「女性を傷つけるなんてやっぱり出来ないよ…」


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