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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆異文化バトルコミュニケーション編◆
170/228

レミ VS メイ 4 ~レミ、一矢報いる~

飛蝗(バッタ)」の力を得たメイの脚が 再び地面を蹴る。

その勢いで廊下の床は めくれる。


メイは 捨て身とも言える体当りでレミにぶつかった。


レミは両手をクロスさせて上半身を守ったが

メイの体当りで吹き飛ばされ、廊下の端の壁まで転がった。


「~~~ッ!イッタ…………」


レミは 体当りの衝撃で

立ち上がるのにフラフラと体をよろけさせた。

メイも レミに体当りしたダメージで

肩を押さえ、痛そうな顔をしている。


レミの「トルマリン(電気石)」の力を直にくらった影響か

さっきまでは余裕で笑っていたメイは真剣になっていた。


レミはまだ、仲間をバカにされた分を返していない。

よろける体を足で踏ん張って支え

ポーチに手を入れ「石」を取り出した。


取り出したのは 2個目の「パイライト(黄鉄鉱)」だった。

冬休みの修行で、レミは「パイライト」が

自分と相性が良いということを知り、他の石より多めに持っていた。

さらに他の石よりも持続時間を長くすることに成功した。


最初に食べた時は レミは虫への恐怖で心を乱し

「パイライト」との同化に集中できず、すぐに効果を切らしたが

今回は気持ちを持ち直して

「パイライト」の力をからだ中にみなぎらせた。


メイは体勢を立て直し、また踏み込んでレミにぶつかってきた。


「!?」


レミは 吹き飛ばされず、その場で踏ん張り

メイの体を受け止めた。

「パイライト」の頑丈な体を得たレミは

受け止めたメイの腕を両手で担ぎ

そのまま一本背負いをしてメイを地面に叩き付けた。


メイは 思いきり背中から地面に叩き付けられたのと

レミの頑丈な体に押し潰されたのとで

二重の衝撃をくらい、そのまま起き上がる事は不可能になった。


「っっしゃあーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


レミは メイを叩き伏せた事に歓喜して叫んだ。


両手を高く上げて顔を上に向ける。


「ーーーーん?」


レミの頭上から何かが落ちてくる。


メイが「虫」を入れていた缶だった。

メイを投げた拍子に缶だけ上に舞い上がっていた事に気づかなかった。


缶がレミに落ちてくると同時に

缶のフタがポンッと開いた。


缶に入れられていた 様々な虫が

レミの頭上から雨のようにポタポタと落ちる。


「ーーーーッッッイャアーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


レミの頭から肩にかけて

虫という虫がこびりつき、レミはパニックになった。


「アァァァーーーーーーーーーーーーーあっ」



バタンッッ




―――――――――




「いた!見つけた!」


観戦側のハルマ達と留学生達とツカサが

レミとメイを見付けた。

メイが吐き出した蜘蛛の糸が思っていたほど通路を塞いでいたため

除去しながら 進むのに時間がかかってしまった。


「レミッ!!」


ユエはレミの姿に気が付くと、すぐにレミの元へ駆け付けた。

レミは白目を向いて気絶している。


メイの元へはクリフが駆け付けて

メイの体を抱き起こした。


「No……気絶してマスネ」


ツカサはレミとメイを見て、アゴをさすって困った顔をした。


「参ったな……どっちが先に気絶したんだろ」


「ちゃんと審判しろよ!ツカサ」


ツカサは2人がどっちが先に倒れたか確認できなかったので

しばらく うつむいた後、判断を下した。


「今回の勝負は引き分けにしよう」


「マジかよ!!」


ツカサは 頭をかきながら

レミとメイを見て 息をついた。


「……ったく、何やってんだよ ゴリ」


ハルマは 気絶しているレミを見てため息をついた。


「そんな事言わないで、赤嶺君。レミは 頑張って戦ったのよ。

泣き叫ぶくらい嫌いな「虫」の使い手と立ち向かって

引き分けに持ち込んだだけでも凄いわ」


ユエはレミを抱き締めた。


「よくあんな状態から戦えたな、清水」


「………何かあったのかな?」


トールとアキトは 逃げ腰だったレミが

立ち向かえた事に不思議に思った。




結局、気絶してしまい 勝負は引き分けになってしまったが

自分のせいで仲間がバカにされた分の一矢を報いる事は出来た。


ハルマ、トール、アキトは

レミが戦えた理由(ワケ)を この時は知る事はなかったが

ユエだけは 自分や仲間のために戦ったのだろうと

親友のレミの思いを汲み取っていた。



『フローライト(蛍石)』という天然石がありますが

レミはこの石だけは食べないと決めているそうです。

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