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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆異文化バトルコミュニケーション編◆
167/228

Ensect eater メイ・シンツー

インセクト イーター・『蟲喰い』

……そのまんまですね

レミは叫び声を上げ、後ずさりをした。


観戦側にいるハルマやトール達も驚いた顔でメイの手を見ている。


メイが取り出したモノ。


親指と人差し指の間に()ままれてカサカサと(うごめ)く『虫』

メイが手にしているのは蟷螂(カマキリ)だった。


メイは 虫を手にしていても表情ひとつ変えない。

それどころか、これからもっと とんでもない事をしでかす。


「ウソでしょ……ウソでしょ……」


レミは後ずさりしたままメイを見て口ずさんだ。

メイは虫を見ると口を開け、

そして……………………


「イヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」


レミは叫び声と共に 見てはいけないものを見てしまった。

ハルマも トールも アキトも ユエも

開いた口が塞がらず、怖いものを見てしまったような表情で固まった。


メイは蟷螂(カマキリ)を食べた。


食べた瞬間、メイの手の形が変わっていく。

ギザギザのノコギリのような腕に、手の方は鎌の形に変わっていく。


その変形の様子は アキトの体形変形にも似ていた。

だが、明らかに人の体から出るような皮膚の色をしていない。


メイの手は、腕から手先にかけて『蟷螂(カマキリ)』になっていた。


メイは 全員が驚いて固まっているのを眺めるとクスッと笑った。


「むっ……虫を食べて虫の力を使う能力者………!」


「うえっ、オレ無理」


ハルマは明らかに嫌な顔をした。


全員が驚き固まったのは、『虫』を食べるという行為にもだが

(しと)やかで容姿端麗のメイからは

とても想像ができない行為だったからだった。


「まずいわ………」


ユエが(つぶや)く。


「そりゃ……虫は美味(うま)くねえだろ」


「そーゆー意味じゃないわ」


ユエは ハルマのツッコミをすぐ返すと

冷や汗を流してレミの方を見た。


「レミは虫が苦手なのよ。大嫌いなの……」


「え!?」


レミは 顔が青ざめた状態のまま、その場で立ち尽くし

(ひざ)をカタカタ震わせている。


メイは そんな状態のレミを一目見ると、

またクスッと笑って駆け出した。


レミに向かって腕を高く振り上げる。


「イヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

来ないでーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」


レミは叫びながらメイに背を向けて逃げ始めた。


「おいゴリ!戦えよ!!戦意喪失は敗けになんぞ!!」


「わっ……わかってるわよ!!でもイヤァーーーーーーー!!!」


メイは両手の鎌の手をブンブン振り回し

逃げ走るレミの背後を攻撃する。

レミはギリギリでメイの攻撃をかわしながら泣いて逃げ惑う。


「レミー!落ち着いて!!『石』を食べるのよ!!」


レミは半乱狂の中、微かに聞こえたユエの言葉を拾って

手にしていたのを忘れていた『石』を急いで飲み込んだ。


レミが口にしたのは

体を頑丈に出来る『パイライト』だった。


メイの振りかざした鎌の手がレミの背中を引き裂いた。


「……!」


だが、メイの攻撃が当たる前にレミは『パイライト』を食べ、

体を硬くしていたので傷つかずに助かった。


メイが気を取られている隙に

レミは右フックを メイにくらわせ、そして再び距離を取って構えた。


メイは少しよろけたが ほぼノーダメージだった。


レミは 息を弾ませ、なんとか心を落ち着けようとする。

だが、虫嫌いのレミには肉体的な事よりも

精神的なダメージが大きかった。


すると、時間制限(タイムリミット)がきたのか

メイの腕が普通の状態に戻っていく。


メイは再び 缶を取り出した。



「イヤーーーーーーー!もうやめてーーーーー!!」


レミは頭を抱えてうろたえている。


「ダメだわ……あんなままじゃ、戦えないわ」


「相性が悪すぎるよ!」


観戦側にいるトールも レミの様子を見て冷や汗を流した。


「レミ!しっかりして!!

『虫』を食べられる前に攻めるのよ!!」


「っ!!そうね!!」


レミは メイがまだ缶から虫を取り出す前だと確認すると

気を取り直して走り出した。

飛び込んで右の(こぶし)でメイを突こうとする。


だが、レミと同レベルの格闘センスを持っている事を

すっかり忘れていたレミは

攻撃を受け流され、地面に倒れた。


レミが倒れている間にメイは次の『虫』を食べてしまった。


見た目に変化は見られない。


だが、目の辺りから 人間にはない()が連なって浮き出てくる。


「ひっ…!!」


レミは メイが『虫』を食べたことに気付いて

尻餅をついたまま後ずさりをした。


メイの口から キラキラした物が見える。


それが「糸」だとわかった瞬間、

レミはすぐに立ち上がって駆け足で逃げ出す。


メイは 口から出した「糸」を

レミに命中させようとして、(たま)のように何度も撃ち吐き出す。


「イヤァアァァァァ!!クモォーーーーーー!!」


レミの走った跡には 大型の蜘蛛の巣が掛けられたようになっていた。


逃げ惑うレミを見て メイはクスクス笑いながら

戦いを楽しんでいる。




「うーん、これはダメかな……?」


ツカサが逃げてばかりのレミを見て

軽くため息をついた。

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