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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆異文化バトルコミュニケーション編◆
166/228

レミ VS メイ

ハルマとパウロの対決の次の日。


「パウロ君の様子、どう?」


トールは パウロと同じクラスになっている

アキトとレミに様子を尋ねた。


ハルマの電撃をくらって敗けたパウロが

今、どんな状態で過ごしているかが気になった。


「ああ、さっき雷に打たれて倒れるフリして

みんなの笑いを取ってたな」


「え!?それ、大丈夫なの!?」


「平気よ!みんなは何の事かわかってないし

パウロ君も昨日の事、気にしてないみたい」


「そっか……それならいいんだけど」


トールは胸を撫で下ろした。


「来週は誰があたるかな……」


留学生とのバトルは始まったばかりで

トールもアキトもレミも 対決はこれからだった。


「あたしの相手になるメイさんなんだけど………

なんか あたしと同じニオイがするのよねー」


「ニオイ?」


「うん。…………物理的にじゃなくてよ?」


「それくらいわかるよ、清水」


「なんか ハルマと同じような事を言うね」


「あ、やっぱ今のナシにして」


レミは ハルマと同じようだと言われて

慌てて自分の発言を却下した。




――――――――




~ 翌週 火曜日・放課後 ~


天気は良く、小春日和の陽気の中

旧校舎の屋上に ハルマやトール達5人と

留学生達5人と ツカサが集まった。


ツカサが真ん中に立って話し出す。


「やあ、今日もみんな集まれて良かった。

それじゃあ、さっそく始めようかな」


ツカサは胸ポケットに手を入れる。

スッと1枚のタロットカードが引かれた。

緊張の瞬間である。


「おっと、このカードは レミちゃんだ」


「あたし!?」


レミとトール達は ツカサの引いたカードを見た。

2頭の牛が車を引き

車の上に人間が立って車と牛を従えている荒々しい絵だった。


「これは『戦車』ね」


ユエが カードを見て『戦車』のカードを言い当てた。


「えぇ~、あたし女の子なのに『戦車』なの?

『女帝』とか、もっとピッタリのカードがあるじゃん」


レミは自分が荒々しい『戦車』のカードを示され

納得がいかずに頬を膨らませた。


「『女帝』は、さっちゃん(サキ)だよ」


「…………………………そうね」


レミは納得して ふてくされるのをやめた。


「レミ、頑張って」


「うん、ありがとう!!」


レミは ユエからエールを贈られ、屋上の真ん中に歩いていった。

レミの対戦相手で中国から来た女子留学生、メイ・シンツーも

レミに続いて屋上の真ん中に移動する。


黒髪のポニーテールが ゆらゆらと揺れ、

透き通るような白い肌に、しなやかな歩き方は

誰の目から見ても美しく見えた。


色恋に興味のないハルマでさえ

メイの歩き方には 少し見とれていた。


「えーと、こーゆーの何て言うんだっけ?

つ………つ………」


「月とスッポン?」


「それだっ!」


「ちょっと!!聞こえてるわよ!!トール君までヒドイッ!!」


「ちっちがうよ!僕はハルマに言わされただけだから!!」


「でも言ったのはトールだぜ?」


トールは ハルマのお尻を思いきり蹴飛ばした。

それを見ていたメイがクスクスと笑う。



そしてレミはメイと 向かい合って握手をした。

メイはレミに対してもニッコリと笑って握手をした。


「ヨロシクネ」


「あら、よろしく」


メイが日本語で挨拶をしてきたので

レミは 少し親近感が沸いた。


ツカサから「始め」の合図があると

まず、二人は距離を取って構え始めた。


レミがメイを 凝視する。

メイの構え方に隙がない。


レミはジリっと足を踏み込んで構え方を変えた。


その瞬間にメイがレミに向かって飛び込んでくる。


メイが右手の(こぶし)を突くと

レミは左手で受け流して (ふところ)の空いた

メイの鳩尾(みぞおち)を突こうとする。

だが、メイに読まれていてメイは右膝蹴りをレミにかます。

レミの突きはメイの右膝に(はば)まれ打ちしくじるが

レミは姿勢を下にして メイの(すね)を狙って下段蹴りをする。

メイは跳ねてレミの下段蹴りを避け、距離を取って下がった。

レミも体勢を起こし、再び構え直した。


「すごい……清水さんの動きに付いていけてるなんて」


「それどころか反撃までしてるわ……!」


レミとメイの動きにトール達は息を飲んだ。

留学生の方は歓声が沸いている。


メイはまだまだ本領を見せていないと、余裕の顔付きでレミを見る。

レミも同じく自分の能力(チカラ)をまだ使っていない。


「参ったわね……やっぱり格闘家(ファイター)だったか」


レミはメイと戦う前から そんな予感を感じ取っていた。


「ってことは、やっぱり能力(チカラ)は別にあるって事よね」


レミは右腰に下げている天然石を入れたポーチに手を入れた。


するとメイも ポケットから小さい缶を取り出して(フタ)を開ける。


お互いに自分の能力(チカラ)(みなもと)になるモノを手にした。


レミは天然石。

そしてメイは……………。



「!? なにアレッ………」



レミはメイが手にしているモノを見て変な顔をした。

その正体がわかった途端、レミは顔が青ざめる。


「イヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」


レミの叫び声が屋上中に響き渡った。

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