表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆異文化バトルコミュニケーション編◆
164/228

ハルマ VS パウロ 2 ~ハルマ、自業自得~

「あっ」


ハルマとパウロを追っている途中でアキトが立ち止まった。


「桐谷君、どうしたの?」


立ち止まったアキトを見てトールも止まった。

アキトはトールにだけ聞こえるように耳打ちする。


「このまま1階に行って外に出たら先輩の花壇がある。

もし先輩がいたら俺達の事バレるとマズイし

武藤の兄さんに先輩の事知られたら……」


「そっか!」


若林モモは 能力者だが性格上、戦闘向きではないので

バトル倶楽部の事も能力者の組織の話も内緒にしている。

ツカサにモモの事がバレたら

絶対にサキへ報告されてしまう。


「俺、花壇行ってくる。先輩いたら ちょっと外に連れ出すから」


「わかった。ツカサさんには上手く言っておくよ」


そう言ってアキトは違うルートから旧校舎を出ていった。




――――――




その頃、ハルマはパウロの蹴ったボールが顔面に当たり

仰向けに倒れていた。

ハルマに当たったボールは その場で転がって

通常のボールに戻っていた。


ハルマは顔面に攻撃が当たったものの、意識はあり

パウロが後続の攻撃をしないで

歌っている事に 屈辱を感じて怒りを溜めていた。


「ッ……」


ハルマは顔を押さえながら起き上がる。

鼻から鼻血を出し、左目がやや腫れて目が見えず

口を切って口の端からも血が出ていた。


鼻血と口の血をぬぐって

ハルマは走り出した。


追ってきたボールの群から逃げるため、2階の教室にいたが

ハルマは再び1階のパウロがいるロビーに戻る。


ハルマの姿に気付いたパウロは

また地面にボールを たくさん転がして蹴り構えた。


ハルマは高速移動でパウロの前から姿を消す。


パウロは目でハルマを追わずボールを蹴った。

蹴った方向とは違う方向へボールが飛んでいく。

ハルマは高速移動を繰り返しながらボールを避けるが

ボールは ハルマを追いかける。

ボールを見ればハルマの位置がわかるので

パウロは休まずにボールを蹴っていった。


すでに数十個以上のボールがロビーの中央で

右往左往に飛び交って、不思議な光景になっていた。


ロビーを飛び回っていたボールが

パウロに向かって飛んでいく。


それは高速移動をしているハルマがパウロに向かっているという事。


パウロは ボールをひとつだけ地面に落とし

勢いよくボールを蹴飛ばした。


今まで蹴り放ったボールの中で

一番威力のあるボールが真っ直ぐ飛んでいく。


ハルマを追っていたボールの群と

パウロが力を込めて放ったボールがぶつかり

その衝撃でボールは全て空中で破裂した。


衝撃音が凄かったのでパウロは耳をふさいで

パラパラと散っていくボールの破片に目を向ける。


ハルマの姿がない。


パウロは ボールがぶつかり合う寸前で

ハルマが離脱に成功した事に気付く。


すぐに 次のボールを取り出そうと

ボールの入っているカゴへ目を向けた時だった。


赤い閃光が走り、ボールが入ったカゴは

一瞬にして飛び散った。

それと同時にハルマが姿を現した。


「Oh my god!!」


「へっ、これでもうお前に武器はねえ!」


ハルマは 勝ち誇った顔をしてニヤッと笑った。


「おっと、パウロ君がピンチだ」


戦う2人追い付いて観戦していたツカサが言った。


パウロの武器であるボールは全て破壊され、パウロは打つ手がない。

と、思われた。


「だが、ハルマ君はまだ気付いてないな」




ハルマは意地悪く笑い、

右手にサッカーボールと同じくらいの電気球を作った。


「ボールがないなら コイツをやるぜッ!!」


ハルマは電気球をパウロに向けて思いきり投げた。


「Oh~~ーーーーーーー!!」


パウロは ハルマの電気球を見て叫ぶ。

ハルマは勝ったと思った。


「Thank You!!」


「はっ?」


パウロはニカッと笑って

ハルマの放った電気球を右足でキャッチした。

普通なら当たればその場で炸裂するはずの電気球は

パウロの右足でポンポンとボールのように跳ねる。


ハルマは何が起きたのか理解できない顔で

ただただ自分の電気球がリフティングされている光景を眺めている。


それを見ていた観戦側のトールも

ビックリしてツカサにたずねた。


「あれはどういう事なんですか!?」


「君たちもハルマ君もパウロ君の能力(チカラ)

『ボールを操る』ものだと思っているだろう?そうじゃないのさ」


ツカサは パウロの右足に向かって指をさす。


「パウロ君の能力(チカラ)は『右足』で蹴ったモノを『(たま)』として

操る能力(チカラ)なんだよ。

最初に標的を右足のキックで『マーキング』に成功させるんだ。

その後『右足で触れた物』は全部パウロ君の物になる。

それはボール以外の物も『(たま)』となるんだ」


「それじゃ……ハルマが投げた自分の電気球は……」


「パウロ君が『右足』で触れたから

あれはもうパウロ君の物になったんだよ」




ツカサの解説が聞こえない位置にいるハルマは

まだ呆然(ぼうぜん)としていた。


「な、なんで……!?」


勝った、と思ったらそうならなかった。


パウロがハルマの電気球を高く蹴りあげた。

そしてパウロは蹴る構えをする。


「ウソだろッ!!」


ハルマの思いとは裏腹に

パウロは電気球を蹴り飛ばし、電気球はハルマに向かって飛んでいく。


「ノォーーーーーーーーーーッッッ!!!」


ハルマは叫びながら

自分の放った技に追いかけられることになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ