Perfect Legshooter パウロ・アミーニア
パーフェクト レグシューター・『完技神脚』
造語です。
ハルマは パウロに蹴られた右手を見た。
まだ赤くなっている。
「これのせいだな。オレの手 蹴った時になんかしたんだろ?」
「???」
パウロは ハルマが何を言っているかわからず、頭をかしげた。
それでもまだ笑顔でリフティングを続けている。
「まっ、いいや。
おーい!来いよ ホラ!!カモンカモン!!」
ハルマは パウロに向かって手招きして挑発した。
パウロは挑発されてるとはわからず
ハルマに「カモン」と言われて
ニカッと笑ってボールを蹴った。
さっきよりも 勢いがあるボールは
一直線にハルマへ飛んでいく。
「オラァァッ!!」
ハルマは 右手に電流をまとわせたパンチを
飛んできたボールにヒットさせた。
ボールは ボンッ!!と爆発して 破片が地面に散る。
「Oh!!」
ボールを破壊されたパウロは嘆かわしい顔をした。
「へっ!ザマーミロ!!」
「ハルマ最悪!」
「うっせー!どっちの味方だコラ!!」
ハルマとトールが言い合ってると、
パウロはハルマに背中を向けて屋上から出ていく。
「あっ!?おい、ツカサ!あいつ逃げたぞ!オレの勝ちだ!」
「違うよ。パウロ君は自分が戦いやすい所に行ったのさ」
「なに!?」
「ほら、追いかけないと引き分けで終わらせるよ?」
「クソッ!」
ハルマは パウロの後を追って屋上を出ていく。
そしてツカサやトール達、留学生達も屋上を後にした。
「あんにゃろー、どこいった!?」
ハルマは3階、2階と駆けまわり1階へ降りてきた。
1階の下駄箱があるロビーに近付く。
昨年の夏休み、生徒会戦でソウタと戦った場所にまた来た。
ハルマにとっては懐かしい所である。
ちょうどロビーに来たところでパウロを見つけた。
パウロの周りにはサッカーボールやバレーボール、ソフトボールなど
使い古して使われなくなったボール類が入っているカゴが置かれていた。
「アイツ!最初っから準備してやがったな!!」
ハルマは全身に電気をまとわせる。
パウロはボールを 5つ地面に落として蹴り構えた。
「何個 蹴ってこよーが関係ねぇ!!」
ハルマはパウロに向かって駆け出した。
パウロもボールを蹴る。
「!!」
ハルマはボールの異変に気付いた。さっきとは違い、スピードがある。
避けても逃げられないなら壊すしかない。
ハルマは またボールを壊そうと
最初に近付いてきた1個目のボールを殴った。
「イッッ!!?」
ボールは 壊れてバラバラになった。
だがハルマの拳からは血が出ている。
通常のボールを殴った時に受ける衝撃ではなかった。
「イッテッ……なんだよありゃ……
鉄球かよッ!!」
ハルマが右手を押さえていると
2、3個目のボールが跳んできていた。
ハルマは「ヤベッ」と小言を挟んでボールを避ける。
ボールは廊下の壁にぶつかると
ハルマの方へ自動的に軌道修正をして跳んでいく。
壁にぶつかったのに威力が落ちていない。
続けて4、5個目のボールも蹴られた。
「チクショーーーーッ!!」
ハルマは4つの鉄球並の硬さを得たボールに追いかけられる。
咄嗟に両手に自身の電気で作った電気球を出し
向かってくるボールに投げた。
ハルマに近かった2つのボールが
電気球にヒットして ハルマに当たらずに壊れた。
「よっしゃ!」
続けて4、5個目のボールも同じように壊した。
「Wow~!!」
パウロは ハルマの電気球を称賛しパチパチと拍手をした。
パウロは純粋に称賛しているが
ハルマは それどころではなかった。
パウロのところには まだたくさんのボールがある。
殴って壊せば手が持たないし
電気球で壊せば いずれ血が足りなくなって自分が倒れる。
ハルマはパウロにボールを蹴られる前に
パウロの側にあるボールを壊してしまおうと考えた。
だが、パウロも ハルマの考えを読んだのか
次は 適当な数のボールを 一気に地面に転がした。
15~20個はある。
パウロは間を置かずに ボールを勢いよく蹴り飛ばしていく。
「どーしろってんだチクショーーーーッ!!」
ハルマは再び叫びながらあちこちに逃げ回った。
2階にかけ上がり使われなくなった教室に急いで入ってドアを閉め
扉を両手で押さえた。
ガンッ
ガンッガンッ
ガッガガガガガッッッ
ボールが次々とハルマの押さえている扉にぶつかってくる。
「くっ……クソッ!止まれ!!
止まれってんだーーーーーーーッ!!!」
ハルマは両手から電気を思いきり放出させた。
扉が壊れ、ボールも破裂して粉々になっていく。
汗だくで息切れをしているハルマ。
今、自分に向かってきていたボールの群は全部破壊した。
その気の緩みが 後続して蹴ってきたボールに気付かず
ハルマの顔面にボールが直撃した。
ハルマは そのまま仰向けに倒れる。
「Gooooooooooooal!!Ya~ha~♪」
パウロの歓喜の歌声が微かに響いてくる。
ハルマは仰向けになりながら
パウロの歌声に 怒りを抱いた。