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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆異文化バトルコミュニケーション編◆
161/228

交流戦開始

留学生達が来てから3日目。


トールとユエのいる2年A組に

クリフがやってきた。


何人かの女子生徒が黄色い声を上げる。

クリフは教師の横で

笑顔を作ってクラス全員に挨拶をした。


「今日カラこのclassの仲間になりマス。よろしくオネガイシマス」


教室内は生徒達の拍手で鳴り響いた。


留学生の5人は2学年の5クラスにそれぞれ入る事になっていた。


アキトとレミのいる C組には

ブラジル人のパウロ・アミーニアが、

ハルマのいる F組にはテッド・フォスカーが入る。


トールは クリフが自分達とすでに顔見知りになってて

能力の事を周りに話さないか心配になっていた。

ユエも そう思っていたらしく、少し不安げな様子でクリフを見ていた。


クリフは 日本語を話せるだけあって

あっという間にクラスに馴染んでいた。



その日の昼休み。



ハルマがご機嫌で多目的ルームに来て

トール達 4人の昼食の輪の中に入っていた。

ハルマは今まで自分は不良生徒だから

優等生側のトール達とは関わりのないフリをしてきたが

あまりの(はぶ)かれザマに我慢が出来なくなった。

トールはハルマを見つめて(ののし)る。


「この さみしがり屋」


「う、うっせー!」


「まぁもういいけど」


トールが 軽くため息をつくとレミが明るい声で話し出した。


「そういえばさぁ、ウチのクラスに来たパウロ君、

めっちゃ面白いよ!!

日本語は片言なんだけど、そこがまたイイっていうかさ」


「ああ、すごいウケてたな」


アキトとレミのクラスに来たブラジル人のパウロは

陽気な性格と明るさと ひょうきんな動きで

クラスの笑いを取っていた。


「へぇー」


「クリフ君は女子に囲まれてるんじゃないの?」


「ええ、授業が終わると休み時間の度に

女子達が集まってるわ」


「ハルマのクラスは?確かテッド君だよね。どんな感じ?」


「オレ教室にいなかったから知らん」


「……………あっそう」


「正直、俺たちの事もっと意識されるかと思ってたけど

全然大丈夫だったな」


アキトとレミもトール達と同じく

自分達の事を うっかり周りに話してしまうのでは、と

心配になっていた。

だが留学生達の方も自分達の身の振り方を把握していて

お互い能力者仲間である共通点を隠していた。


「心配する必要ないわね」


「それよりも来週の火曜日、誰が最初に戦うかが気になるな」


今回のバトルは 誰がいつ戦うのかは知らされておらず、

当日にならなければわからない。


「どーせ『実際じゃ誰がいつどこで戦う事になるのか選べないんだ』って

言いてぇんだろ」


「そうだね。より実戦的に考えてるんだろうけど」


「でも……なんかおかしくない?」


「おかしい?」


トールは 最近 薄々と感じる疑問を

みんなの前で口にした。


「『あの組織』が現れて来ないのは良いことだけど……

交流戦とかやってていいのかな。

それに、こんだけ能力者が集まってたら

『あの組織』だって気づくんじゃないかな……って」


まず、自分達の通っている学校に

能力者が集まってくる事 自体もおかしいと思っていた。

その中にはハルマや薄野(すすきの)ソウタのように

能力者である者を見破る力を持っている人もいる。


『ウォンバッド』には 能力者を見破る力を持つ人間がいないのか。

いれば、ハルマはとっくに見つかっているはず。

だが、高校に通い始めて1年経つが何ともない。

いなければいないで 自分達にとっては良いのだが

不可解だらけな事ばかりだった。


「確か、薄野(すすきの)先輩がこの市全体を守ってるんでしょ?

だから大丈夫なんじゃない?」


「………そうなのかな」


考え込むトールにユエは話しかけた。


「まだ実際に遭った事もないし

話ばかり聞かされてるから信憑性に欠けてるのよね?」


「うん、そうだね………」


「私、今度 兄さんに問い詰めてみるわ」


「えっ大丈夫なの?」


「わからないけど、伊丹村(いたむら)先生じゃ絶対に口を割らないから

兄さんに言わせてみせる」


「………な、なんかユエちゃんたくましくなったね」


「またツカサ泣かせるのか?」


「もうッそんなんじゃないわ!」


ユエは 少しむくれながらハルマをにらんだ。

そうこう話しているうちに昼休みが終わった。




――――――――




そして一週間が経ち、火曜日の放課後。

ハルマ達 5人と留学生達 5人とツカサが屋上に集まった。


「よし、それじゃさっそく始めよう。

ちなみに対戦は 1週に1組ずつしかやらないから

呼ばれなかった組は観戦に回るからね」



ツカサの説明を聞いて、全員が心臓をドキドキさせて緊張していた。


最初の先陣を切るのは どの組なのか…………



ツカサは胸のポケットから

縦に細長い形をしたカードを 1枚手に取り出してカードを見た。


5人からはそのカードに何が描いてあるかは見えない。



そしてツカサは 声を出した。




「最初の対戦はハルマ君!」


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