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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆異文化バトルコミュニケーション編◆
157/228

旅人、戻る

昼休みに突如 ハルマとユエが対立し

バトル勃発になろうとした寸前で

屋上に 謎の人物が現れた。


顔はカラス帽に隠されわからず

身なりはボロボロのマントを羽織っていて

充分に怪しかった。


5人は不審者だと同時に『ウォンバッド』の襲来かと思って身構えた。



「………うぅっ」


謎の人物が うめき出す。

そして次の瞬間



「ユッ……ユエーーーーーーーーーーーーーーー!!!」



ユエの名前を叫んで

ユエに飛び付き抱き締めた。

その反動で謎の人物が被っていたカラス帽が

地面に落ちて顔が見えた。


突然の出来事で全員が固まり

ユエは謎の人物に抱き締められ身動きが取れない。


だが、ユエを呼ぶ声で

ユエは当然だが、レミとハルマも ようやく気付いた。


「兄さん!?」


「ツカサ(にい)!!?」


「おまッ……ツカサか!!」


謎の人物の正体はユエの実兄・武藤ツカサだった。


「武藤さんのお兄さん!?」


トールとアキトは 初めて見るユエの兄を見て驚いた。


レミから ツカサはイケメンだと聞いていたが

今の身なりからは とても感じられなかった。


ボロボロのマントに

ボサボサの髪の毛、無精髭(ぶしょうひげ)が生えていて

顔は土や(すす)にまみれていた。


目元だけ見たら くっきりした二重に ややつり目がちで

ユエにそっくりなのはわかった。


「兄さん!!心配してたのよ!!」


「ユエ……!会いたかったよ!ごめんな」


二人は抱き合い、6年ぶりの再会を果たした。

感動の再会で レミは涙腺が弛んで涙ぐんでいる。


その脇でハルマ、トール、アキトは呆気(あっけ)に取られていた。


「ツカサ(にぃ)!!」


「……!?レミちゃんか!?おぉ、大きくなったね!!」


「ツカサ(にぃ)ーーー!!」


「…………………………どうしよう、この状況………」


「落ち着くまで待つしかないだろ」


「おい、コラ!ツカサァッ!!」


トールとアキトは 空気を読んで引っ込んでいたが

ハルマは憤慨してユエとツカサの再会に割って入った。


「邪魔しないでよハルマん!!」


「こっちのセリフだ バカッ!!バトルの邪魔しやがって!!」


「え、バトル?あれっ ハルマ君!!」


「今頃かよ!コノヤロウ!!」


ツカサは ユエから手を離し、全員を見た。


「さっちゃんから聞いたよ!君たちがハルマ君を守る親衛隊だろ?」


「し、親衛隊!?」


「さっちゃん…………」


「でもさ、俺、知らなかったんだよ!

ユエが『スクリーマー』に入ってたなんて!!

さっちゃんてば酷いよね!!

だから慌てて帰ってきたんだけど……」


ツカサは『スクリーマー』の一員で

能力者を探すのと『ウォンバッド』の情報を探るため

「旅の占星術師」と名乗って旅をしていた。


「帰る途中でスリに遭っちゃって 無一文になってさ………

仕方なくヒッチハイクで日本まで帰ってきたんだよー」


「兄さん、どこへ行ってたの?」


「ブラジル」


「えぇ!?」


伊丹村(いたむら)先生に言って お金頼めばよかったじゃん!!」


「できないよ、そんなの!さっちゃんコワイじゃんか!」


ツカサは 2月の(なか)ばにサキと連絡を取り

日本に帰ってくる予定だったが

お金を盗られ、約1ヶ月半かけてヒッチハイクをして帰ってきた。


「まさかハルマ君と友達になってたなんて………」


「ッ!そうだ!バトルの途中だったんだ!!

お前が割り込んだせいで……!!」


「おいおい、俺の大事な妹に何するんだ」


ツカサは再びユエを抱き締めた。


「兄さん!離して!私が勝たないと

赤嶺君が留学生達をバトル倶楽部に

引き入れようとしちゃうのよ!」


「バトル倶楽部?

なんの事か知らないけど、留学生には会ったのかい?

俺が日本(こっち)に来るように進めたんだ」


「え!?」


ツカサは 留学生の5人を

スカウトして日本に来させていた事を明かした。


「ハルマ君と歳も一緒だし、戦力になりそうだと思ってさ、

皆にはハルマ君の事 話してるよ」


「そ、それじゃあ、まさか……」


「近いうちに顔合わせするよう

セッティングするつもりなんだけど」


「に、兄さん!」


「ッしゃあーー!!」


ユエは がっかりし、ハルマはガッツポーズをした。


「だから ケンカなんてやめてくれよ、なぁ?」


ユエは ツカサに なだめられて しぶしぶ納得するしかなかった。


ちょうどその時、昼休みの終わりを告げるチャイムが聞こえてきた。


ハルマ達 5人は昼休み中だったことをすっかり忘れていた。

慌ただしく走りだし 屋上から出ていこうとする。

ユエは振り向いて ツカサを見た。


「兄さん、またどこか行ってしまうの?」


「もうしばらくは日本(ここ)にいるよ」


ツカサは留まる事をユエに伝えるとニッコリ笑って手を振った。

ユエも安心して笑い、屋上から出ていった。



こうして『スクリーマー』の一員

武藤ツカサが これから起こる戦線に加わる事になった。

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