ハルマ VS アキト 2
◆登場人物◆
桐谷 アキト
15才・高1・男
身長180センチ やや細身の筋肉質
耳にかかるくらいの長さの髪を
後ろに流していて 爽やかな顔立ち
体型異常変形形成の能力を持ち
体の至る部分を変形させ
硬質化・軟質化することができる。
主に手を武器化する。
二重人格で、能力使用時はハルマと
同じぐらいの戦闘狂になる。
普段は サバサバしてる。
トールを おちょくるのが密かな楽しみ
アキトの能力が 明らかになった。
自分の体を自在に変形させる事ができ、
皮膚や骨を強化させて斬撃を可能にする
体を成形する。
だが、トールは初めの1撃目を思い出して
不思議に思った。
「……最初のカウンターは…?
あれは どうやったの…?」
思わず声に出して アキトに訪ねた。
最初のカウンター、
あの時 ハルマはアキトの右肩あたりを狙って殴った。
アキトは避けずに それをくらい
カウンターでハルマの右手を斬った。
アキトは 自分の両手を使わずに
どこからハルマの手に傷をつけたのか?
トールは その謎が解けなかった。
アキトは視線をトールに向けて答えた。
「あれか。あれは こうやったんだよ」
アキトは首を左に傾けて
自分の右アゴから右鎖骨が
見えるようにした。
ギギギ…と
アキトの右首筋から右のうなじに
あり得ない突起物が まるで生えるように
伸び出てきて 先の尖った刃物のような
形になっていった。
「!!!」
あまりの人間離れした異形に
アキトの微かな微笑みがさらに
不気味感を植え付けた。
「手だけじゃない。全身 思い通りにできる」
驚くのは異常変形だけではなく
それを見えない速さで瞬時にできる事もだ。
アキトは右首から出した突起を引っ込めて
左手も右手同様の指先を鋭く尖らせた
奇っ怪な「凶器」へと変えた。
ハルマは体のあちこちから血がにじんで
冷や汗だらけだったが
顔はニヤけていて この状況を楽しんでいた。
そしてアキトに向かって挑発した。
「そろそろ自分から動いたらどうだ?
まだまだ斬れるぜ?オレの体」
「そうだな…お前が のたうち回るまで
愉しませてもらうよ」
今度は アキトから ハルマに向かって走り出した。
鋭い10本の凶器と化した指が
ハルマの体に襲いかかる。
ハルマは高速移動でアキトの正面から消えて
すぐ背後をとったが アキトは気づいて
体を機敏に振り返らせ、その拍子に
ハルマの体を引っ掻いた。
ザシュッ!と
体に深く傷が入った音が響き
ハルマの右肩から血飛沫があがった。
アキトの攻撃は手を休めず
今度はハルマの顔に目掛けて手をかざした。
ハルマはギリギリで避けたが
左頬と左の額に斬撃をかすめて
そこからも血が飛んだ。
ハルマはアキトの攻撃に怯まず、
アキトの懐へと 潜り込み
アキトの みぞおちに手のひらを当て
バチンッ!と 電気を浴びせた。
電気のショックを くらったアキトは
少し体を鈍らせ 苦しそうな顔をした。
が、すぐに反撃に出てハルマの
背中に手を振り落とした。
ハルマの背中は斬撃をくらって
そこからも血が飛んだ。
屋上の地面は ハルマの血で
あちこちと 飛び散って赤くなっている。
一旦、距離をとった。
ハルマは先程の左の額に受けた傷から
血が流れて 左目に入ってしまい
視界が悪くなってしまった。
上半身は ほとんど斬撃を受けて
すでにシャツは真っ赤になり
流した血の量が多いためか 大量の冷や汗に
ゼェ ゼェ と苦しそうな呼吸をしていた。
それでも攻撃体勢で構えている。
アキトは そんなハルマの姿が
面白かったのか 不気味に微笑むと
両手の凶器ではなく 脚でハルマを蹴って
地面に転がした。
ハルマは立ち上がろうと したが
もう一発 アキトがハルマを蹴飛ばした。
二度も地面に叩きつけられ
さらに血の海が広がった。
トールは これ以上は危険だと感じた。
それにハルマが 酷い状態になっているのを
見てられなかったし
アキトにも 元に戻ってほしいと思った。
「もうそこまで!!」
トールが駆け足で2人の所へ行きかけた。
「まだだ!!」
ハルマが叫んだ。
「!?」
ハルマが トールを制止させた。
ハルマは起き上がろうと もがいているが
体が思うように動かず 地面を這いつくばっている。
アキトは ハルマの強がりを鼻で笑う。
そしてハルマに近づいて
ハルマの首元のシャツをつかんで
自分よりも高い位置に掲げた。
「…ッ……がっ」
ハルマは宙吊りになり 苦しそうな
うめきをあげた。
アキトは それを楽しそうに
見上げてる。
「桐谷君!!」
トールが アキトに向かって叫んだが
まるで聞こえないフリをした。
「ここまでしても楯突くなんて
本当に面白いな、お前」
「……ぐっ」
「もうすぐ4時だな…
降参しないなら、お前を気絶させなきゃならない」
アキトは とどめを刺すような
セリフを吐き 笑った。
「………あぁ……」
ハルマから微かに声が上がった。
「……もう………終わり…だな」
ハルマは笑った。
「何がおかしい?」
アキトが怪訝な顔に変わって
ハルマを睨んだ。
「………オレの……電気…の…正体…」
「……?」
「……何か…わかるか?」
「なんだと…?」
地面に飛び散った
ハルマの血が騒ぎ始めた。