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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆見えない敵 編◆
125/228

新たな事実

「ハルマと関わりのある能力者を全員連れてこい」


トールは伊丹村(いたむら)サキから

この言葉を受け、悩んでいた。


自宅の部屋に引きこもり

ケータイを片手に握って意味なく動かしていた。


先日、アキトには全てを打ち明けた。

少なからず、アキトも『ウォンバッド』に関わりがありそうで

伊丹村(いたむら)サキが主治医になり

目の届く所に置かれる事になったから全て話すことが出来た。


問題はユエとレミ、

それと生徒会の能力者 5人と若林モモ。


まず、モモは絶対巻き込まないと決めた。

モモは『植物』の力を借りて操る能力(チカラ)を持ってるが

その能力(チカラ)に目覚めてからまだ日が浅い。

それに『バトル倶楽部』の事も内緒にしている。

さらにモモは ハルマが苦手だから

一度も会話を交わしたことがない。


関わりの一番薄い能力者だから黙っていたいとトールは思った。

何より、モモを慕うアキトが モモを巻き込んだら絶対 激怒する。


トールは次を考えた。


生徒会の 5人。

薄野(すすきの)ソウタ、美作(みまさか)エナ

布施(ふせ)リュウ、時任(ときとう)エイジ、影井(かげい)イズミの 5人で

ハルマと戦った事があるのは会長の薄野(すすきの)ソウタだけで

会話も一番多く交わしている。

他の 4人はソウタと比べたら関わりは薄い。


ただ実力のある能力者達ではある。

巻き込みたくはないと思いながらも

頼りたいという気持ちもある。




トールはケータイを置いてため息を深くついた。


自分ひとりが関わればいいだけの話だと思っていたのに

他の仲間まで巻き込む形になってしまった。


トールは ハルマの事実を知った事に後悔はしていない。

だが、自分が勝手に決めた事なのに

何も知らされていない仲間達まで巻き込んでしまう事を

見抜けなかった自分に自責の念を抱いた。



「『引き返せなくなる』って…………

こーゆー事だったんだ……………。

自分の事だけだと思ってた…………。

馬鹿だな、僕は……………」



トールは独り言を(つぶや)き自責の念を深く刻んだ。



そして、再びケータイを手に取り

ケータイの電話帳を開く。


トールの中で打ち明ける事を決めた

3人の能力者に それぞれ連絡を入れた。




――――――――――



翌日。



「トールくーん!!」


病院の入り口前でレミとユエが立っていた。

レミは一度、白神ユウヤの対面のために

病院に訪れた事があるので ユエを連れて迷わずに来た。


トールは薄野(すすきの)ソウタと共に病院へ来て

レミとユエに合流した。


「ごめんね。突然呼び出して………」


「いいわよー。どうせヒマだったし!」


レミは いつもの調子で明るく笑う。

となりでユエが トールを見つめていた。


「何かあったの?樋村君」


トールの浮かない顔を見て ユエは心配した。


「………うん……」


トールは うつ向いて 何から話せばいいのかわからず黙りこんだ。

トールの様子を見たソウタが トールの背中をポンッと叩いて

爽やかに笑いかけた。


「樋村くん、君のせいじゃない」


実は ソウタは 昨日のトールとの電話で

トールから話を全て聞いた。

ソウタがいろいろ質問をしてきたので

トールは正直に答え、伊丹村(いたむら)サキに会う前に

全て話してしまった。


それでもソウタは いつもどおり爽やかに笑っている。


これで何も知らないのはレミとユエだけ。


ソウタは落ち込むトールの背中を支え

レミとユエと共に病院内へ入った。




―――――――――




伊丹村(いたむら)サキとの初対面を交わす 3人。

威圧感に気圧(けお)されたレミとユエは緊張して固まっている。


そして 3人に伊丹村(いたむら)サキから

改めてハルマの事や『ウォンバッド』の話を聞かされた。


レミとユエは 顔を見合わせて黙っていた。



「ごめん、2人とも………」


トールは レミとユエに謝った。


「ちょ……トール君が謝る事じゃないじゃん!」


レミは顔は笑っているが 若干 口元が引きつっている。


「何も知らないで巻き込まれるより良かったわ」


ユエは冷静に答えた。

ふと、伊丹村(いたむら)サキの視線が ユエに移りジッと睨んだ。


「あの…………何か?」


ユエが サキに(にら)まれて

おずおずと 質問をする。


「お前…………まさか、ツカサの妹か?」


「!!………兄をご存知なんですか!?」


「えっ!?お兄さん!?」


トールが驚いて聞き返した。


「やっぱり。その髪色に その目付き。そっくりだな」


「あの、兄とは どうゆう関係なんですか?」



「ツカサは我々の仲間の一人だ」




次々と明らかになる事実に

トールは頭を整理するのに精一杯になる。



ユエに兄がいた。

その兄が伊丹村(いたむら)サキと知り合いで

しかも『ウォンバッド』に対立する組織の一員だった。



そしてユエは 兄がその組織にいることを知らなかった。

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