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放課後バトル倶楽部  作者: 斉藤玲子
◆VS 放課後の道化師 編◆
106/228

scene4 ― トール・ソウタ ― ハルマと道化師の『繋がり』

薄野(すすきの)ソウタは黒いファイルを手にして

近くにあった机の上にファイルを置いた。


ファイルの厚さは 2センチ(ほど)。初めのページを開くと

3年生の 女子生徒の名前と顔写真が入った

ページから始まった。



「ここに来れない生徒って……」


「不登校や休学している生徒の事さ」


ソウタが手に取ったファイルは

この学校の生徒で、現在 なんらかの理由で

登校していない生徒の詳細が書かれた物だった。



「なんでわかるんですか?」


学校(ここ)に実体を残しているなら俺の能力(チカラ)で居場所がわかる。

だが、ヤツは学校(ここ)にはいない。

なのに学校の事を知っている」



ソウタは ファイルのページを

一枚 一枚 しっかりと眺めながらトールに話した。


「ヤツの実体は別の所にいて

『思念』だけで 全員を眠らせて、番人を操っている」


「そんな能力者がなんで……!?」


「学校に対する(うら)みとかではないな。

それなら俺達だって当に寝ている」


「……!」


「不思議なのは ヤツはなぜ 俺達の事を知っているか、だ。」


「確かに………」


トールは ソウタの言葉を聞いて

自分の頭でも推測できることを考えた。


すると、ソウタが信じられない言葉を言う。



「今、学校(ここ)にいなくて 俺達の事を知っているのは

一人しかいない」


「…………ハルマ!?」


「あぁ、ハルマ君は道化師と なんらかの『繋がり』がある」


「そんな!ハルマは そんな事するヤツじゃないですよ!」


不良で 粗暴で 自分勝手だが

関係ない人間を巻き込んでまで

事態を騒がす男ではない。

トールは そう思ってソウタに抗議した。


「………とにかく、ヤツと ハルマ君を見つけないと

この事態は解決できない。

このファイルの中にいる生徒で

少しでもハルマ君と『繋がり』が見える人を挙げていくんだ」


「は、はい」


と、返事はしたがハルマと『繋がり』がある生徒の存在すら

思い浮かばなかった。


基本的に授業はサボり、部活や委員会にも所属していない。

トールとはクラスも離れていて

普段、ハルマが 自分達以外の人間と

話している姿を見たことがない。


ただでさえ そんな状態なのに

登校していない生徒からハルマと『繋がり』がある生徒を

調べるのは かなり難しいと トールは感じた。



「樋村くん、ハルマ君の事で何か知っている事はないか?」


「ハルマの事で…………」


ハルマとの関係は お互い能力者同士で

旧校舎の屋上で能力をぶつけ合うだけの戦友。

トールはハルマの事は深く知らなかった。


ハルマの過去を一度だけ

微かに聞いたが、すぐに終わってしまった。


「ハルマは……自分が学校(ここ)

入学するまでの記憶が曖昧(あいまい)みたいなんです」


「何?」


「子供の時の記憶は覚えてるみたいでした。

でも、そこから高校に入学するまでの

記憶が 飛び飛びみたいで………」


「記憶障害か何かなのか?」


「聞いたことはないですが……」


「病院に通ってたりするのか?」


「え、いや、わからないです……

ハルマのヤツ、自分の事 話さないから……」


「…………可能性はあるな」


「え?」


ソウタは 真剣な目でファイルから

ある項目を探し始めた。


「現在、病院に入院していて休学中の生徒を見つけよう」




微かな情報から望みを賭けて

該当する生徒を調べ始めた。





すると、ソウタの手があるページで止まった。




「いたぞ!」



二人は そのページの生徒の名簿を読み出した。

※ハルマの過去については『センチメンタル・ボーイ』参照

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