倶楽部創立
~プロローグ~
都内に健在する至って普通の高等学校。
その高校は新しく建てられたばかりで
そのすぐ隣の敷地に旧校舎がまだ残されていた。
午後3時、授業が終わる。
生徒達が校舎から出たり部活動を始める頃
2人の生徒が新校舎から誰にも見つからないようこっそりと
旧校舎に入っていく。
旧校舎に侵入した2人は
まっすぐ屋上へ行った。
「よっしゃ、先週の続きからな」
「続き?決着ついたでしょ。僕の勝ちだよ」
「ついてねぇよ!オレがいつ気絶した!?」
「したじゃん、覚えてないだけだよ。気絶しちゃったんだもん」
「してねぇ!」
「したよ」
「ふざけんな!!」
『オレ』の方の生徒の体から
真っ赤な電気がほとばしる。
「めんどくせぇ!今日勝てば良いだけの話だ、やるぞ!!」
『僕』の方の生徒がフゥっと溜め息をつく。
ブレザーの袖を巻くりあげ 奇妙な文字で書かれた札で
グルグルに巻かれた腕を出し奇妙なオーラを放ち出した。
「結局いつもと変わらないじゃん」
2人は距離を取って構え始めた。
合図は互いの視線が決める。
ビュンっと風が吹いた瞬間
2人はぶつかり合った。
キーン コーン カーン コーン
新校舎から4時を知らせる鐘が鳴った。
2人は身体中アザだらけで仰向けに倒れていた。
「………今日は引き分けだな」
「………うん、それでいいよ」
「やっぱ強ぇな」
「そっちこそ」
『オレ』の方が体を起こした。
「なぁ、考えがあるんだけど」
「なに?」
『僕』の方も体を起こした。
「倶楽部作ろうぜ」
「クラブ?」
「あぁ、『バトル倶楽部』」
「……本気で言ってるの?」
『僕』は怪訝な顔で『オレ』を見る。
「僕たち以外にこんな事できる人たちなんかいないよ」
「いるから言ってるんだ」
『オレ』がニヤッと笑う。
「みんな隠してんだよ、普通じゃないから」
「なんでわかるの?」
「それは…アレだ。えーと、ルイは…ルイは」
「類は友を呼ぶ?」
「それだ!」
「勉強しなよ」
「うっせーな、とにかくそれだ。オレにはわかるんだよ。
チカラ隠してるヤツの気配が!」
「それで?」
「それで、そいつらを勧誘すんの」
『オレ』が楽しそうに話し出す。
「今はオレとお前しかいないけど仲間増やして、
ここでみんなで競いあうんだよ」
「顧問は?」
「いるわけねーだろ、裏の倶楽部活動だから」
「まぁ……そうなるよね」
「お前とやりあうのも楽しいけど、他の奴らも呼んでやりあおうぜ。
ちゃんとルールとかも決めて……」
「じゃあ僕がルール作るから、仲間集めはそっちがやってよ」
「決まりだな!」
こうして2人が立ち上げた
裏のクラブ活動『バトル倶楽部』が
様々な波乱を巻き起こしていく。