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第30話 帰還――揃わない認識

学園に戻ると、空気はいつも通りだった。


 門をくぐり、石畳を踏む。行き交う生徒の声。遠くで響く訓練の音。


 さっきまでの森とは、まるで別の場所のようだった。


「遅かったな」


 ユークが手を上げていた。その隣にラグもいる。


「何してたんだよ」


 言いかけて、ユークの視線が止まる。レインの様子を見て、表情が変わった。


「……おい、大丈夫か」


「ああ。問題ない」


「ほんとかよ」


 ラグも横から覗き込む。


「何かあった?」


「襲われた」


 空気が止まる。


「……は? どこで」「外」「誰に」「分からない」


 ユークが言葉を失う。横でイリスが口を開く。


「魔器。使ってた」


「騎士団の?」「服が違った」


 ユークは一度黙る。考えている。でも答えは出ない。


 そのとき、クラウスの声が入った。


「単独行動だったのか」


 いつからいたのか分からない。いつも通りの落ち着いた様子。


「一人だった」


「魔器を所持し単独で行動。騎士団ではない装い。正規の所属ではない可能性が高い」


「そんなのが外にいるのか……」


「可能性の話だ。確定情報は少ない。行動原理も不明だ」


 ユークが息を吐いた。怒りではない。飲み込めていない感覚。


「……とりあえず今日は一人で動くなよ。何かあったらすぐ言え」


 強くはない。だが、はっきりしている。


 レインは一瞬だけ間を置いてから、


「ああ」


 短く返した。


 それで十分だった。


 誰からともなく歩き出す。校舎へ向かう。


 レインはふと、校舎の上階に視線を上げた。窓が並んでいる。人影はない。誰もいない。


 そのはずだった。


 視線を外して、そのまま歩く。


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