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第28話 強襲――闇からの干渉

 郊外の空気は静かだった。


 だが。


(……いる)


 レインは足を止めた。背後でリュシアとイリスも同じように動きを止める。


「さっきから、変じゃない?」


 リュシアが周囲を見回す。木々の間、岩陰、道の脇。何もいない。


「うん」


 イリスは一点を見ている。林の奥。光が届きにくい場所。


「いるよね」


 次の瞬間、低い声が暗がりから落ちた。


「――『ロックショット』」


 地面が弾ける。視界の外から飛び出した岩塊が一直線に迫る。


(見える)


 横に動く。


 だが足が止まった。その場に固定される。


「っ……!」


 回避が遅れる。岩が肩を掠め、体を弾き飛ばす。


(……避けた。動いていた。それでも"動けなかった")


 ズレていない。逸れていない。そのまま当たった。


「……違う」


 イリスが低く言う。視線はまだ林の奥に向いている。


「位置、固定されてる」


 木々の隙間から、影が徐々に輪郭を持ちはじめた。


 そこに、人が立っていた。無表情。感情の薄い目。腰のホルダーに収められた石が淡く光っている。


「……対象確認。無属性。……異常個体」


 男はすぐに詠唱に入る。


「――『グラウンドクラッシュ』」


 足元から衝撃が走る。地面が割れる。逃げようとした瞬間、また固定される。


(位置が、動かせない。ズレる前に、止められている)


「――『ロックランス』」


 地面から突き上がる岩の槍。一直線。


(今度は避けない)


 意識を集中する。固定される"前"。その瞬間。


(そこだ)


 空間に手を伸ばす。ある。位置が確定する直前、そこを掴む。引く。弓を引くように張り詰めさせて、弾く。


 空気が震える。岩の槍の軌道がわずかに逸れた。頬を掠めて通過する。


(通った。固定を外せる。完全じゃないが、間に合う)


 レインは踏み込む。距離を詰め、拳を振る。確かな手応え。男の体が半歩後ろに下がる。だが表情は変わらない。腰の石が強く光る。


(深追いはしない)


 即座に距離を取る。男は数秒レインを見た。評価するように。


「……確認完了」


 短く言った。


「――『サンドプレッシャー』」


 砂が巻き上がる。視界が一瞬で遮られる。数秒後、砂が落ちると、そこには誰もいなかった。


 静寂。風だけが残る。


「……今の、何」


 誰かが呟く。答えはない。


(……見られてただけじゃない。あれは干渉だ。明確に、こちらに触れてきた)


 レインは林の奥を見た。もう何もない。でも確実に残っている。


 "狙われた"という事実だけが。

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