TO BE THE NOVELIST〜アーキテクチャー・レクトル〜
甘美なる七色の国は、黄昏れより来たる滅びの神の軍勢に侵攻される。
女王は王国再建のために逃げ延びるが、衰弱する。
そこに、言葉を喋る光が現れ、それは自分をこの、小説投稿サイト「TO BE THE NOVELIEST」だと言う。
この光は、かつて《地球》に住んでいた《なろうユーザー》が自らの滅亡の瞬間、思いや祈りによって「TO BE THE NOVELIEST」を変化させたものだという。
そして《地球》が滅んだのは、自然律としての森羅万象はいつか滅びるという原理、すなわちそれが黄昏れより来たる滅びの神だというのだ。
それに対し「TO BE THE NOVELIEST」の光は、永遠性、そして美によって抵抗しようとする。
甘美なる七色の国の女王は、黄昏れより来たる滅びの神に対抗すべく、「TO BE THE NOVELIEST」の光に加わり、永遠性と美を探求してゆく。
私は侵攻された王国から命かながら逃げ延び、一人荒地を彷徨っていると、一つの光に出会いました。
それは喋ることができ、自分を、
「TO BE THE NOVELIST」
であると、言いました。
この小説は元々私が使っている言葉や文法ではなく、読者である貴方の言葉に翻訳してあります。
なぜならこれは、「TO BE THE NOVELIST」に掲載される作品であり、貴方に届けなければならない小説だからだ。
私は、甘美なる七色の国の女王である。
強大な力を持つ国、というわけではないが、豊かな資源と明朗な国民性によって、誇らしい国であった。
しかし、その我が国を、黄昏れより来たる滅びの神、の軍勢が、攻めてきた。奴らは我が国を植民地にしようとしたのだ。
我々は懸命に戦ったが、滅びの神の軍勢は強力だった。女王は国と共にその使命を終えるのが当然であろうが、私は生き延びてしまった。皆は、
「国の再建のためにどうか王だけでも生きて下さい。この甘美の七色の国とは、女王様に他ならないのです」
と言った。
私はその時、安堵を感じなかったと言えば嘘になる。
こうして私は国という背負うべきものを失い、流浪の身となった。滅びの軍勢に見つからぬよう忍びながら、当ての無い逃亡を続けた。しかし。この先に何があるというのか? 私が生きることを望んだ皆には口が裂けても言えぬが、私もあの時、王国と命を共にしたならば、どれほど満ち足りていたか。この寒さ、飢え、絶望。この貧しさとは、角も人の尊厳を踏みにじり賤しくさせるものか。そう荒地に突っ伏した時に私は、「TO BE THE NOVELIST」という光に出会ったのだ。
「大きな声でご挨拶っ!
おはようございまぁ〜す!
わいちゃんでぇ〜す!
今日はわいちゃんのなろうオフ会に来てくれてありがとね。女王様は、元気? 大変だったねぇ……」
私はまず、
「無礼を承知で問いたい。貴方は、あの光は、何者だ? 何かの怪しき術か?」
するとわいちゃんと申す者、
「あっ、えっとね……。
僕はガニミズム・わいばーんって、いうよ。
そしてあの光は、『TO BE THE NOVELIST』という、小説投稿サイトだよ。
………そうだね、それを話さなくちゃダメなのね。
僕は、女王様の住んでる甘美なる七色の国からもっとずっと遠い所、地球、という………国……かな? そうゆう所に住んでいたよ。
でも、僕達の地球は滅んじゃった。
正確に言うと、今はもう、僕達の種族である人類、という生き物は滅んじゃった。それはね。戦争がいくつもいくつもあって、国同士が疑心暗鬼に経済がメチャクチャになって、SNSっていう人が人の心を失わせて操られてしまう怖い道具があって。人類はどんどん他人を傷つける暴力的になってそしてその生産活動のために資源をどんどん使って地球を激変させて。着実に滅びへと向かっていく最中にね。
僕は何も出来なかったのねん。僕は小説をモジモジ書くことしか、出来なかった……。
人類はね、第二次世界大戦っていう大きな戦争を、僕が産まれる前にしたんだけど、僕なんかは、
『どうして戦争なんて痛くて悲しいことは止むよ、みんな仲良くしよって、言えなかったのかな?』
って、思ってたんだけど、いざね、自分の身に降りかかってみると。言えなかったのね。
『TO BE THE NOVELIST』では、みんなの書いた楽しい小説が一杯! でも画面から目を逸らして現実を見ると戦争が、地球沸騰化による異常気象が、人と人との憎しみが、溢れ返っている。
『TO BE THE NOVELIST』には異世界を救う勇者がいっぱいいるのに、僕達の現実世界は救われないんだぁ。
僕は僕の肉体が滅びる瞬間、ポケットにいつも入れてるミニノートを握りしめ、
「僕は! 僕は何なんだっ!」
って叫びながら死にました。だから僕はガニミズム・わいばーん、わいちゃんとして、『TO BE THE NOVELIST』に小説を書き続けます。僕が何者であるかわからなかったからね。
でもみんなおやっ? 不思議だなって思う、何故人類が滅んだのに『TO BE THE NOVELIST』があるのかって。それは。
奇跡が、起きたんです。
人類が滅びる瞬間、沢山の沢山のなろうユーザーが、小説を書きました。
「僕は俺は私は、何なんだっ!」
って言いながら。そうしたら、みんなの思いが、エネルギーが、一つの空間になって、『TO BE THE NOVELIST』を一つの光に、精神情報概念態にしたんです! やっぱり! なろうの異世界転生の勇者は、みんなが考えた勇者は、やっぱり凄かったんだね! 僕はこの奇跡は市街劇のようだとも思ったし、原初の国家のようだとも思ったし、シュミラークルのようだとも思ったよ。正しいかはわからないけど。
『TO BE THE NOVELIST』という巨大なフィクションが、人類の滅亡後の世界でも生き続けて人の息吹を千年、一万年、百万年とつないでいくという、奇跡だよ。
そこで僕達は市街劇、原初の国家として、『TO BE THE NOVELIST』という光、精神情報概念態の中で何故僕達人類は滅びなければならなかったのか、というお芝居を始めたんだ。すると、それはこの世界の自然律として森羅万象には必ず滅びが訪れるということ、黄昏れより来たる滅びの神、がいるということがわかったんだ。だから僕達は永遠性を、そして美を、目指すために『なろう』という光、概念態を使ってみようかなって、ことにしたのね。
だって『なろう』には、みんなのワクワクが、ドキドキが、喜びが、感情が、思いが、祈りが、そして何よりみんなが一生懸命思い描いたオンリーワンの勇者が! いっぱいいっぱい星の数ほどいるだから!
それはそれは永遠に遺すべき物で、ずっとずっと美しい物だよ!! それは戦争や疑心暗鬼や悪い心や怖い道具や暴力や滅びになんか絶対負けない!
だって奇跡だから。
『なろう』ユーザーの思い、祈りだから。
なろう小説のキラキラ、美だから。
それこそが、原初の国家、光だよ。
だからこうやって、僕は、『TO BE THE NOVELIST』という光は、人類の滅亡後もなろうユーザーを求めて、永遠を、美を求めて、黄昏れより来たる滅びの神に抗っているんだ。彼らは強い、何故ならそのものズバリ世界であり、性質そのものだからだ。それに対して永遠は、美は、あまりにも華奢なのね。でも僕は『僕は何なんだっ!』って言いながら今日も小説を書く。僕はそれをポスト・ヒューマン文学と言う。それが物語るという活動の、人としての宿命だと思っているから」
それを聞いた私は、すまないがわいちゃん殿、私は貴方が何を言っているのかまったくわからない。
「うにゃにゃー。そっかー。でもきっと、いつか女王様にもわかる時が来るよ! じゃあこれは僕から女王様にプレゼント! 創作者の希望、非暴力闘争武器、イマジンコンダクトライバー! これがあればいつも『TO BE THE NOVELIST』の光の中に来れるからね!」
やはり私にはこの、「TO BE THE NOVELIST」とは計りかねるものであったが、しかしこの超常さとは黄昏れより来たる滅びの神に対抗し得るものではないか、とも肌感覚で感じたので、今ここにイマジンコンダクトライバーで文字をしたためる。
TO BE THE NOVELIST
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僕は砂漠に座り込むと、一人で砂の城を作り始める。
この微粒子は受け入れることも反駁することもなく、一定の規則性を保ちながら動き続けるだけであった。
教祖によると、男は労働により、女は思慕により、自身の肉体と精神を差し出すことが、より高位な人間に至るための鍛錬になる。
しかし、そのような考えを馳せることは不要であった。ただ、求めていたのである。
それは、旧友の成功を聞いてほくそ笑む、弛んだ皮膚の男のような面持があった。
学校に着いたとき午前の授業がもうじき終わる頃だったので、僕は午後の授業から受けることにした。
彼女から発せられる言葉は誤謬とは関係なくとても弱く、それをコンプレックスと捉えていた。
自分についての会話が後ろで行われていたとしても、興味を示すことなどない。
すると、急激に体温が上がり、沸騰した血は体を小刻みに震わせた。
自身の体内から禍々しい、異様で不気味な鉄塊にも見える代物を取り出し、おもいきり振り回した。
本格的にことが動き出しそうだ、と、影は青年に語りかける。
僕の体はかすかに汗で湿っていた。
それは彼女が意図して作り上げたものではなく、平常の細事が積もりに積もってできた、泥土鋳造のようなものであり、彼女の意思で壊すことのできる容易なものではなかった。
確かに彼女は、落ち着きなく半永久的に騒ぐものかと思えば突然と萎み込んでしまう火花のような性格であったが、彼女の行動には必ず、彼女なりの理由が存在し、今回の休学にはそれが感じられなかった。
そこには、不純なものたちが化学反応的な関係の中で生じたある種の神秘性を内包していた。
そのために、対立するこの二つのバランスが崩れ、最良をつかみ損ねることが多々あった。
その場から飛び上がった彼女は、蛍光色と奇妙な鋳造で装飾されたメリーゴーランドの上に腰を下ろし人間達を観察し始めた。
今、彼女が僕の問題に対して、深く入り込んでゆくだけの意欲が生まれることは、自らの行動は決して相手を変えることができないという絶望にも似た楽天主義が大きく影響しているかもしれない。
僕らにとっては、周りのもの、自身に接触してくるものなどどうでもよかったのである。
僕はこの空間に、この世界にいることで始めて、至上の美しさを得ることができるのである。
今、僕の目の前にあるものは、唐草文様を彷彿とさせるような彫り物が施された重苦しいドアである。
彼女はただ、外界へと棘をむけているだけなのだ。
一目惚れだと言って求愛され、言われるがままに付き合い始めた。
それは、確固たる形を持った世界の中で、彼女のみが通り抜け、多様に変貌することを意味していた。
自身の身体を舐めるようにして滑りながら表皮を蝕んでゆくあの感覚がどうしても受け入れがたかった。
今、この状況を理解するために必要な情報量と時間は、彼女のキャパシティを大きく超えていた。
そこには狂気じみた叫び声をあげる、成熟前の豚共がいる。
彼女は感極まった時に泣くことはあったが、それは体と心との過剰な相互作用で起きるものであって、今回のようにまだ見ぬ誰かへの救済を求める行為など、普段の彼女からすれば起こすはずがなかった。
僕は口グセで、人々は自らの行動を自らの意志で行わなければならないと言っていた。
僕らには関係を脅迫観念のように維持させようとするバケモノじみた鎖のようなものはなかった。
彼女は自らの体幹の内からごうごうと燃える炎の熱量によって眼下のビル郡が一瞬にして溶解してゆく幻を見た。
そう、今動いている私はただの人形であって私ではない、そう思ううちに、彼女はどんどん特異的な思念を肥大化させていった。
三つの影は我々以上に、我々を欲していたのである。
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「うふふー。僕達のなろう小説、みんなに届くかなー!」