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第四話

慎二と別れ、響は帰り際にダンジョンでの検証について考えていた。


空也をはじめ、慎二以外の友人とは今日顔を合わせていないため、検証するにしても一人ですることになる。一人では経験値量の確認が難しいため今日はおとなしくしていようと考えていると、帰路の途中にある裏道で白猫を見かけた。


「こんなとこに白猫…?」


野良猫はよく見かける裏道であったが白猫を見たのは初めてだった。

響は雪を思い出しまた勝手に出かけたのかなと思い、できる限り刺激しないようにゆっくりと白猫の後を追いかけることにした。


白猫は周囲に気を付けつつもしっかりした足取りで歩き続けていたので、道に迷わないように周りを確認しながら後を追い、白猫が止まったところで響ははっとした。


「ダンジョン…?」


響が開いた口が塞がらず立ち尽くしている時に足元から「にゃ~」と鳴き声が聞こえた。

足元を確認すると追いかけてきた白猫が座っており、しゃがんで確認すると案の定白猫の正体は雪であった。


「お前、何でここに来たんだ…?」


雪は無言でじっと響の目を見つめ続ける。


「ダンジョンに入りたいのか…?」


「にゃ」


短く普段通りだったが確かに意志のこもった声で雪が鳴き、響は雪の意図を明確に感じ取れてしまった。

響は考えを巡らせる。当然だが雪を危険な目に合わせるわけにはいかない。しかしもし連れて行かなかったら今後どんな行動をするのかわからない。


こうなったら連れていくしかないとして連れていく手法について考えなければならない。単純に考えれば動物用ケージなどがあるが、ダンジョンに動物用ケージをもって入るのは怪しまれるしそもそも雪が入ってくれるかわからない。


「よし、一人じゃ無理だな、あいつを連れていくか」


猫を連れてダンジョンに入りたいといって一緒に入ってくれるそうな友人は一人しかいない。いつもの空也に頼み込んで雪を連れて行くほかない。


「雪、また今度連れてはいるから今日は帰ろう」


「……にゃ」


雪が不満をはらんだかのような視線を向けながらしぶしぶ鳴いた。


「空也、今度猫連れてダンジョン入りたいんだけど、いいか?」


次の日、学校が終わった後に空也を探し無理を承知で用件を伝えた。


「何それ面白そうやん、やろや」


二つ返事での承諾だった。予想よりもあっさり過ぎて逆に言葉の出ない響に対して空也が続ける。


「前行ってた気になっていること絡みやろ?どうせ深入りもせんやろし問題ないやろ」


響は空也の察しの良さに舌を巻きつつ、感謝を述べダンジョンに入る予定を決める。すり合わせを行い明日ダンジョンに潜ることに決め、この日は解散した。


帰宅すると玄関に雪がいた。


「明日ダンジョンに行くから今日は家でゆっくりしていてくれ」


「にゃ」


納得したかのような返事を残し今のほうに向かった愛猫を見送り、その後は特に何事もなく休むことができた。

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