第二話
ダンジョン前に集合した響は空也の装いを見てため息をついた。
「今日は一段と武器が多いな」
「そぉか?いつも通りのつもりなんだけどなぁ」
空也が腰に長刀と短刀一対、背中に弓を携えさらっと返した。
「三種も持ってくるのは久々に見たな、あいかわらず器用なこって」
「そっちも今日は二本もっとるやん」
空也に言い返され、弓と片手剣を持っていた響は若干言葉に詰まる。
「試したいことがいろいろあるんだよ」
「何かそんなこといっとったな、何がしたいん?」
「後で話すよ」
軽く流しつつダンジョンに入るように促す。発生したダンジョンは縦に伸び、上に登っていく形式のであり、登っていくことでモンスターの種類が変わり、より大きく強いモンスターが出てくるものであった。
ダンジョンに入って少し進んだところ二人はスライム3匹と遭遇した。
「一匹だけこっちに回してくれ、あとは好きにしていいから」
「はいよぉ」
返事より先に一匹を弓で仕留めていた空也が返事と同時に長刀を抜いて突っ込んでいった。
「相変わらずだな、さてどう倒そうかな」
スライムと対峙しながら楽な倒し方を考える。めんどくさがりな響は普段から一番自分が疲れない方法や自分が動かない方法を考えているため、戦闘はいつもゆっくりサラっと終わる。
「まあスライムだし、適当でいいか」
ゆっくり歩いてスライムに近づく響に対してスライムは飛びついてくる。ぶつかる直前に体をそらしてよけると同時に剣を振ってとどめを刺す。
「相変わらず地味やねぇ」
「いいんだよこれで」
軽口をたたきつつ粘液を少し回収し先に進む空也に響は尋ねた。
「今のスライムからの経験値はどのくらいだった?」
「ん-?50とかやけど、自分も倒してたんやからなんとなくわかるやろ?」
「それはそうなんだけど、経験値が固定なのか考えたことなかったからさ」
「あー、さっき言ってた気になってることに関係するんか」
察したように言葉をこぼす空也はさっきよりも明確に経験値について答えた。
「そっちは?」
「45だった、ってことは固定値じゃないんだな」
「ぽいなぁ、まあいろいろ試してみよか、何で経験値が変動するかわからんし」
「そうだな、先に進もうか」
ダンジョンに入ってから時間がたち、スライム25匹とスケルトン15体、オーク10匹、ゴーレム2体を討伐し、響たちは持ち帰る荷物の整理をしながら経験値について話し合いをしていた。
「経験値のもらえる量に関してはある程度の法則性がありそうだな」
「せやな、モンスターの種類や戦い方によって変わりそうな雰囲気があったわ」
響たちはいくつかの戦いにおいて条件を決めてそれによって得られる経験値がどのように変化するのかを検証していた。
検証から経験値には戦闘に参加することで得られる基礎経験値と戦闘行動によって得られる戦闘経験値があると考え、その後は基礎経験値の獲得条件や戦闘経験値の得られる戦い方について試していた。
「基礎経験値は戦う敵に依存、戦い方に関しては攻撃や回避、防御とかで敵に依存するわけではなさそう、といったところかねぇ」
「もう少し検証したいところではあるが時間的にも帰らないとだな」
ダンジョンを出たころにはすっかり日も暮れ、二人はそれぞれの帰路についた。
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