第一話
処女作です。
よろしくお願いします。
「うん、やりたいことがない。」
学生である響は将来のつくであろう職業について資料を見ながら独りごちる。
文明が発展しつつある中、6年前に突如としてダンジョンが出現した。
それと同時にレベルという概念が与えられた。
ダンジョンにはスライムやオークといったモンスターが存在し、倒すことによって経験値や素材を入手でき、研究の結果その素材は実生活に生かせるようになっていった。
そのため、ダンジョンに入ることでお金を稼げるようになり、今では小遣いが欲しい子供から生活費を補うための大人までがダンジョンに入るようなっていた。
中にはダンジョンの先を目指す物好きもいたが、文明開化の最中であるためダンジョンに本気になる風潮はなく、簡単な小遣い稼ぎや最低限のお金稼ぎの手段として立ち位置に落ち着いていた。
そんな中なんとか進学することができたにもかかわらず、やりたいことがなくただただ勉強をしていた響はぼーっとダンジョンについて考えていた。
「お金に困っているわけでもなければ仕事をしたいわけでもない。挙句趣味もほとんどないといえば、暇つぶしにダンジョンに入る以外にすることがないんだよなぁ」
進学ができた生徒は役人などになることができるいわゆるエリートであり、あこがれを持たれることが多いが、野心も物欲も枯れている響にとってはどうでもいいことだった。
そんなつまらない日常を過ごす中、響はふとレベルについて考えていた。
ダンジョン内のモンスターを倒すことによってレベルが上がることは最早常識となっているが、家畜やペット、挙句植物にもレベルがあることに違和感を持っていた。
「ダンジョン内のモンスターを倒すことによってレベルが上がるのに、家畜を持っていた知り合いのレベルはまともに上がらないし、植物に関してはなおのことよくわからん。」
気になったら理由を知りたがる性格の響はとりあえず思い浮かぶ疑問を整理する。
「レベルの上がる要因は現状わかっているのはモンスターを倒すこと、まあ成り立ちからそうなるのはわかるが、ほかに方法がないってのもちと信じがたい」
「モンスターを倒すことによって経験値が入るが、経験値とは何なんだ。経験値なんて抽象的な言葉だし、得られる経験値も人によってまばらだし」
「レベルを上げたい人はよりダンジョンの奥に進むが、その理由は結局モンスターから得られる経験値の効率ゆえなのか」
いくつか挙げてみたが考えて結果が出るようなものではないことも分かっていた。
「まぁ経験値に関して自分の経験が少ないんだし、考えようもないか」
そこで響はダンジョンに向かうことにし、友人に声をかけた。
「近くのダンジョンに行かないか?ちょっと気になることがいくつかあって」
「いいよぉ、暇やし勉強ばっかで気分転換したかったからねぇ」
「パス、僕は文官になる気しかないから生臭いとこは嫌い」
誘いに対して自由奔放な空也は承諾し、堅物な慎二は断った。
「了解、空也このまま行ける?」
「まぁええよぉ、ちょっと武器ほしいからいったん帰るけど」
「ならダンジョン前集合で、慎二には今度俺の仮設もってくから意見聞かせてね~」
「なんでそんなことを僕がするんだ、大体ダンジョンは…」
響は慎二の話を聞き流しながらダンジョンのことを考えていた。
「とりあえず試してみないとな」
「おい、聞いているのか?」
何か気になることがあったらコメントいただけると幸いです。