↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/81

記憶の拘束(4)

髪の毛をタオルで拭きながらリビングに戻る。


「ユウ、お風呂空いたよ。お先に。」

うつ向きながらドライヤーをそのままかける。


「リナ、ドライヤー貸して。」

彼は私の髪を優しく扱う。

まるで優しく頭を撫でるように、髪を乾かす。


「しんどかったら、頼って。」

優しい彼の声がドライヤーの音に混じる。

ただ、早くユウに会いたかっただけなのに。

彼の前では泣きたくないのに…。


「ちゃんと泣いて。1人で泣かないで。」

彼の言葉が合図のように、涙が溢れた。

私は子供のようにしゃくりあげながら、泣き続けた。


彼は人の気持ちに敏感だ。

子供の頃にいろんなまわりの人を見ていたのだろう。

特に人が傷ついているのはわかる。

大事な人なら自分の事のように感じて、自分の不甲斐なさや何か出来ないのかと責めてしまう。

そんな彼を見て、また苦しくなる。


早く終わりを見つけなくては。

私が昔の記憶にとらわれて、これ以上彼を傷つけないように。


「大丈夫。ちゃんといるからね。」

彼は私の手を握りながら、泣き止むまでそばにいた。


私はベッドに潜り込んだ。

少しすると、彼が静かにベッドに入る。

キシッとベッドの音の後に優しい体温が今日は背中にある。

私は彼の顔を確認したくて、身体を動かし向き合った。


「ユウ、いつもありがとう。おやすみ。」

私は目を閉じた。

すぐには寝れず、彼の呼吸を感じる。

少しずつ穏やかになり、彼が眠ったことを確認する。


これからどうなるかはわからない。

すぐに解決するのか、それとも先になるのか。

エイタがどこにいるのかも不安だったし、また同じことが繰り返されるかもしれない。

ただ、会社もある。

外に出ないわけにはいかない。

幸い体の傷は隠せる場所が多く、頬も腫れが軽いため明日にはメイクで隠せる。

何とか明日からの日常を取り繕わなくてはならない。

大事な人が傷つかないように。


あまり眠れず、朝になった。

比較的食欲があってびっくりした。

朝ごはんをしっかり食べよう、そう思った。


「…いい匂いがするね。」

彼は眠そうな顔で洗面所に向かいながら、朝ごはんの確認をする。


「なかなか買い物に行けなくて、玉子と牛乳があったからフレンチトーストにしたよ。」

朝から甘い匂いがする。

なんとなく大丈夫な気がする。


スープを入れていたら、


「コーヒー入れるね。」

と、彼は冷凍庫からコーヒー豆を取り出し、お湯を注ぐ。


コーヒーの良い香りがまた安心する。

いつもと同じ朝が来た。

彼はまた手を合わせてから食事をする。

たわいのない話といつもの朝の情報番組。


「今日、仕事終わったら連絡して。一緒に帰ろう。」

食べ終えた食器を彼はキッチンに運びながら、私に言った。


「リナ、食器洗っとくから準備して。」


私は自分の食器をキッチンに運んで、洗面所に移動する。

歯磨きをして、髪を整える。

私が終わると入れ違いにユウが洗面所に入る。

リビングに行き、メイクをしていく。

コントロールカラーで腫れているところの赤みを隠していく。


1度深呼吸をしてメイクを再開する。

服を着替える頃にはテレビからは占いが始まり、2人で急いで玄関に向かう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。