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記憶の拘束(1)

ヒナコから出産祝いのお礼と送ったスタイを着けた赤ちゃんの写真が送られてきた。


本当に幸せそうで嬉しかった。


私も部署内で後輩ができ、忙しくしている。

少しだけ残業が続き、夜遅くなることが多くなった。


ユウも変わらず忙しく出張が度々あった。

少しだけ時間が取れず、会えなかったが連絡はしていた。


梅雨に入った頃で雨が強く降っていた。

4月から商品開発事業部に配属した一つ後輩の松田さんとその日も残り、リリースする商品の資料の修正とその商品の各地域での店舗講習会スケジュールを調整していた。


「移動して来たばっかりなのに、連日残業でごめんね。今日は雨も強いし、ひどくならないうちにそろそろ帰ろうか。」

松田さんに帰るようにお願いをして、私もそのあと一段落して会社を出た。


遅かったので会社を出る前にユウに連絡した。

今日は出張から昼には帰って来ていて、お土産を渡しに行くと言っていた。


「今からバスに乗るから40分位したら帰るね。」

バス停でバスが来るのを待った。

雨に濡れているせいか、車内の空調が寒かった。

急いでバスを降り、足早に家に向かう。

いつものスーパーを横目にユウに会いたくて急ぐ。


もうすぐ家に着くというところ。

細い横道に入ったところで肩を掴まれ、ビルとビルの間に引きずり込まれた。


「久しぶり、リナ。リナのせいで人生ボロボロだよ。どうするんだ?」

エイタだった。


「会社調べて、後を付けたけど全然気がつかないから。仕方ないから、こっちから話してやってるんだよ。」

声が出なかった。


「雨に濡れて、下着透けてるじゃん。相変わらずいやらしい女だなぁ…。昔も抵抗しなかったし、案外リナも気持ち良かったのか?」

エイタの顔が近づいてくる。

気持ちが悪かった。

だんだん壁際に追い込まれ、逃げ場がなくなる。

隙間から人影が見える。


「…やめて。」

何とか声を絞り出した。


「うるさい。」

エイタは私の頬を叩いた。

そして、無理やりキスをして胸を掴まれた。

乱暴にブラウスを引っ張られ、逃げようとしたら服が破けた。

はだけた服の間にエイタは顔を埋めた。

私の肌にエイタの舌の感触が広がった。

スカートをまくし上げられ、太ももを撫でられた。


「やめて。」

何度も訴えた。


「お前も人生ボロボロになって償えよ。」

エイタは耳元でそう言った。


私のスマホが鳴った。

何度もコールが続き、切れてはまた、鳴った。


「うるさいなぁ…。」

エイタが一瞬私の落としたカバンを見た。


「助けて。」

私は何度も叫んだ。


人影が増えていき、ざわついている。


「どうしました?」

男の人の声が聞こえ、エイタは私を置いて逃げた。

誰かが“逃げたぞ。”と言っていた。


飲食店の制服を着た女性が私に近寄った。

「大丈夫?羽織るもの持って来るね。警察呼ぶ?」

と聞かれた。


薄手のカーディガンを肩にかけられた。


「自分で警察に行きます。大丈夫です。」

何とか震える足を動かし、その女性に支えられながら細い路地を出る。


人混みの中にユウが見えた。


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