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後悔と切望(4)

ヒナコは終始楽しくしていた。


「ヒナコちゃんはいつ引っ越すの?手伝うことがあったら気軽に言って。休みわりと暇だしね。」

アラタさんはいつも穏やかだ。


「引っ越しは今月末の土曜日にリョウや両親も来てくれるんですよ。リョウもきっと会いたいと思うのでぜひ。休み暇って…アラタさんは彼女とかいないんですか?」

ヒナコは無邪気に尋ねた。


少し酔っているのか普段いろんな配慮をする彼女が少し切り込んだ質問をした。


「ずいぶんいないね。残念な話だけど。」

と、笑いながらアラタさんは答え、ヒナコに水をすすめる。


「優しいし、カッコいいのにもったいない。リョウも女だったらアラタさんと付き合いたいって言ってます。」

受け取った水をひとくち飲んで、ヒナコはそう言った。


「リナさんと付き合っていたのは6年前くらいですよね。その間、彼女はいなかったんですか?」

ユウくんは少し余裕がなさそうだった。


「一時期、1人いたよ。でも、別れた。それも前の事かな?」

アラタさんは笑っていたが冷静に考えている感じで、


「そんなに気になる?長谷川くん、僕はリナの事は大事だけど、心配するような感じではないよ。彼女の意思を見守るくらいは友人として付き合っていきたいと思う。」

そう続けた。


「私もぉ…。」

と、ヒナコが私に抱きついてへばっている。

ふにゃふにゃして、笑っていた。


「アラタさんより私の方がリナと長いし…。」

そう言って、ヒナコは私に寄りかかって意識が途切れた。


「忙しくしているから、疲れて酔いが回りやすかったかな?毛布持ってくるね。」

私はヒナコを横たわらせ頭にクッションをおいて、一旦、リビングを出た。


少しいたたまれない空気から避難する。

洗面所の横にある収納から毛布を取り出し、リビングに戻る一瞬、洗面所にある鏡に私が映った。

明かりがつかない少し暗い鏡に、苦しそうな顔が見えた。

一息ついて、リビングに入る。


「長谷川くんはどうしたいの?」

アラタさんは笑っていなかった。


「どうしたいのかはわからなくなっています。でも、僕が好きなんです。リナさんの事を。」

ユウくんはアラタさんの目を見て、つらそうに笑った。


私は何も言わず、ヒナコに毛布を掛けた。


「リナ、そろそろ片付けしよう。あと、ヒナコちゃんを送るからタクシーを呼んどくね。」

アラタさんはそう言って、お皿を片付け始めた。


静かな部屋にカチャカチャと食器の音がした。

手早くキッチンのシンクに食器を置いた。


「残り、少し持って帰ってください。あまり残ってないですが。」

私は料理の少し残った物を容器に移し、紙袋に入れた。


黙々と片付けていると、タクシーが来たようでアラタさんがヒナコを起こし、支えながら部屋を出ようとした。


「リナ、ちゃんと答えがでると良いね。どんな結果でも、僕やヒナコちゃんもいることを忘れないで。」

アラタさんはそう言って、笑って手を振っていた。




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