後悔と切望(3)
帰宅中バスを降りてすぐ、ユウくんに連絡を入れた。
昼過ぎには帰って来ていて、1度自宅に寄り既に私の家で準備をしているとの事だった。
「一応、お米炊いてます。あと、ケーキ買って冷蔵庫に入れておきました。あと、何か準備出来ますか?」
声を聞くだけで切なくなった。
「キュウリと玉ねぎをスライサーで切って、玉ねぎは水にさらして、キュウリは塩を軽くふって塩揉みしておいて…そのくらいには家に着くと思う。」
認めれば楽になるのだろうか…それはわからない。
だんだんと時間が経つにつれ、覚悟が出来ないようになっている。
「おかえりなさい。」
家に着くと当たり前のように彼がいる。
「すぐに準備するね。」
私は荷物を置き、洗面所に向かい手を洗う。
鏡を見ると情けない顔で戸惑った。
意識をすると普通がわからなくなる。
どう接していたんだろう。
急いで彼のもとに行き、冷蔵庫から野菜とベーコンと卵などを取り出し、黙々と作業をする。
「ヒナコさんと鈴木さんは一緒に来られるんですか?」
彼は私が切り分けた材料を炒めながら、尋ねた。
「アラタさんはもうすぐじゃないかな?ヒナコは少し前に仕事が終わったって連絡があったから30分位したらかな?」
炒めたものを受け取り、お皿に広げ卵液を注ぎオーブンへ入れた。
ポテトサラダの調味料を合わせて、準備しておいた材料と混ぜる。
簡単にトマトを切り分けスライスした玉ねぎと調味料を合わせて冷蔵庫で寝かせる。
インターホンがなり、アラタさんが来て準備に加わる。
お皿などを出してもらい、唐揚げを揚げるだけになり、2人には座ってもらった。
米粉と片栗粉を混ぜ、鶏肉にまぶす。
油に鶏肉を入れると、油が音をたてる。
部屋中に美味しい匂いが広がった。
「長谷川くんは仕事は順調?」
アラタさんがユウくんに話しかける。
「忙しくしてます。まだ、学ぶところも多くて大変ですが、僕なりにやりがいはあります。」
彼は少しうつ向きながら答えた。
「そう、変わらず真面目なんだね。」
アラタさんは優しく穏やかに微笑んだ。
2人は日常のたわいのない話をしている。
バイト先だったカフェの事や休みは何をしているとか、そんな話をしている。
私はだいたい準備が終わり、洗い物をしようとすると、
「やりますよ。リナさんは盛り付けてテーブルに運んでください。」
ユウくんはキッチンに来て、そう言った。
「長谷川くんは、よくリナと会ってるの?」
アラタさんがリビングから尋ねた。
穏やかにしているが、少し先ほどとは違う雰囲気だった。
「はい、出来るだけ…。僕が会いたいので。」
洗い物の手を止めて、そう答えた。
アラタさんは“そう…。“と、短く呟き優しく笑った。
少しするとヒナコがいつものように明るい空気を運んで部屋に入ってくる。
少しの間あった緊張感が彼女の雰囲気で緩んだ。




