後悔と切望(2)
お祝いの前日。
買い物をスーパーで済ませ、帰宅を急ぐ。
結構な荷物になってしまった。
「…結構重そうだね。」
振り返るとアラタさんが笑いながら話しかける。
「まだ、仕事ですか?」
私が尋ねると、
「最後の配達が終わって、今から会社に帰るところ。」
アラタさんは私の持っている荷物を“半分。”と、言いながら重い方を持ってくれた。
「近くでしょ。車止めてくるね。」
少し早足で車に向かい、社用車を駐車場に停める。
「今日は1人?長谷川くんは仕事?」
アラタさんは当たり前のように話をする。
「付き合ってるの?彼はかなり前からリナのことが好きだよね…。リナが移動前の時も長谷川くんから連絡あって、そうなのかなぁ…って。」
私がうつ向くだけだったので、アラタさんは続けてそう言った。
「あの時はアラタさんにもご迷惑かけました。…ユウくんとは会ってご飯食べたりはしてます。でも、付き合っているわけではなくて。」
私はアラタさんの顔を見れず、うつ向いたままだった。
「でも、彼の気持ちは知ってるんでしょ?」
優しく問いかけられて、
「知っています。」
と小さく答えた。
歩いてもそんなにかからない距離で、すぐに家に着いてしまった。
「リナはどうしたいの?それが決まったら、いつでも応援するよ。リナと別れた僕が今さらだけど、それもまぁ、時効ってことで。大切にしたい存在なのは変わらないよ。」
アラタさんはいつも変わらない。
付き合っていたときも、別れてからも、今も、私がどうしたいのか決めるまで待ってくれる。
離れたのは私がツラかっただけで、アラタさんはそれを受け入れてくれただけなのに。
変わらず優しかった。
「泣かない。」
アラタさんは私の頭をクシャッと触り、笑っていた。
涙が溢れそうなのを精一杯我慢して、アラタさんと別れて家に入る。
私はまわりの人に恵まれている。
本当にそう思った。
食材を分けながら冷蔵庫に入れ、仕込みを始める。
“唐揚げとポテトサラダはマスト!”とヒナコが言っていたので、鶏肉に下味を付け揉み込んで冷蔵庫に入れた。
ジャガイモは皮のまま湯がいて、熱いうちに下味を付け潰して冷蔵庫に。
あとは、明日帰ってから頑張ろうとゆっくり片付けをしていた。
やっぱり、今は2人でいる時より呼吸が楽で、だけど、何かが欠けているようで歯がゆかった。
私はどうしたいのだろう。
答えを決めることが出来ない。
本当にズルいだけだ。
既にこの部屋にもユウくんの存在が当たり前で、欠けることは想像できなくなっている。
あの日以来、彼は口癖のように好きだと言っていたのに言わなくなっていた。
それでも時間の許す限り2人でいることを選択している。
どこからやり直せば、ちゃんと出来たんだろう。
結局、彼に触れられる度にあの記憶に縛られ続ける。
その度に私を気遣う彼を見て苦しいと思う。
頭ではわかっていても、反射的に引きずられる。




