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俺は、奇跡を信じない

あのあと、俺たちは日が昇るとセバスチャンの運転で山を下った。あんなに恐ろしいことがあった後だというのに、張りつめた気が抜けたのか俺は、深夜になるまで眠っていた。

夜になっても特にやることがない俺は、PCでレーシングゲームを始めた。

車を運転できない惰性で始めたゲームだが、心の中で少しは、楽しんでいる自分もいた。


「運転できなくても死ぬわけじゃないしな」


こんな想いはあった。でも今は違う、あの夜の出来事で車の怖さ、楽しさ感じた俺は、

やはり運転がしたい。そしてゲームのようにうまくなりたい。


そんなことを考えていると、画面の中の車はクラッシュしていた。


そうだ、車で人は死ぬんだ。でもそれでも運転がしたい。


そのためにも戦うんだ。あの悪霊と・・・


そのときふとおもった。俺は、運転へたくそじゃね。仮免許までは取れたが、基本操作しかできずそもそも40キロ以上だしたことのない俺がどうやって峠を攻めるんだよ。


そんなことを考えていると日が昇っていた。


ピンポーン。


玄関のチャイムが鳴る。誰だと思いカメラをみると天川だ。


玄関をあけると、天川がぶっきらぼうにこう言った。

「うちに来なさい。運転したいんでしょ」


こいつエスパーかなんかか。俺は、この女がすこしずつ恐ろしくなっていた。



セバスチャンは、昨日とは違い、ホンダのシビックに乗っている。しかもこのシビック中古市場でもなかなかな価格で売買されているタイプ。さすが金持ちだな。


「なあ、天川。お前んちってどこにあるんだよ」

「正確にいうと家ではなくて、畑よ。車が運転できる畑」

「そんな畑あるわけないだろ。」

「それがあるんですよ。阿比留様。」

セバスチャンはにこやかに話し始めた。

「天川家は。先祖代々多くの土地を所有されております。畑といっても一つではなく、その周辺の農道をアスファルトでちゃんとした道にしております。農道は公道ではないため、免許の取得の可否は大きな問題になりません。また天川家は政界ともつながりがあるため口封じも簡単なのですよ。それに天川家の土地は基本的には、幽霊はいません。なぜなら全て成仏させていますからね。」


天川家はなんとも力がある家系なんだ。改めて実感する。でもどうしてそんないいと子のお嬢様が俺なんかにかまっているのかわからないが、あまり聞いても表社会に戻れない可能性もあるからだまっていよう。


そうしてその畑もどき、公道もどきに着いた。周辺の広さは1キロはありそうな広い土地だ。まさに金持ちの土地。ただ71つ残念なのが、


「天川。幽霊めちゃくちゃいるわ」

「えっっ!」

「本当に力あるのかよ、天川家」

「セバスチャン。本当にいるの?」

「いえ、私にはまったく見えませんね。」

「これじゃあ、幽霊と人の見分けがつかないじゃねーか」

「いえ、阿比留様。人もいません。なぜならここは私有地。阿比留様に見えているのは

すべて幽霊ですので、当たっても問題ありません。」


それはいいのかよ。まあでも幽霊くらいにビビッててあの悪霊が倒せるともおもえない。

俺は覚悟を決めた。



久々の運転席。免許合宿以来だな。座席を合わせ、シートベルトを付けてバックミラーの調整。エンジンをかけると車の運転が始まるような気がして最高だ。

マニュアル車は難しい分、運転手の技術が問われる。俺もここから始まりだ。

1速に入れて、半クラッチでアクセルと合わせて進むと、ほんの小さいが風を感じることができた。


「阿比留様。停車されてどうされたんですか。」助手席に座るセバスチャンが不思議そうに

尋ねる。

「ごめん。セバスチャン。俺嬉しくて、運転できていることが、俺にはもう奇跡なんだよ」

そういうとセバスチャンは、懐からハンカチを取り出してくれた。


そんな姿を見ている、天川の目は申し訳なさと罪悪感をにじませるような目をしていた。

そして、服の袖をつかむ仕草はどこかでみたことあるように思えた。


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