冒険者ギルド大慌て
数日後冒険者ギルド閉庁後…
「王都から問い合わせ来てるから心当たりのある職員が居たら来てくれないか?」
ギルドの書信係が受付付近に来て言う。
「赤髪の女性長身でハルバードを持った戦士」
デルタの横に座る職員が肘でデルタをつつく。
「青髪の女性小柄でメイド服を着た剣士」
「デルタの担当じゃない?」
「まだワンチャン違うかもしれないじゃないですか…」
「ローブを着た子供の魔法使い」
「…」
「この3人パーティに心当たり…」
バン
「あーもう!私が担当です!」
デルタは机を叩きながら立ち上がる。
「ソルトレイク様は何やったんですか!王都に行ったなら一言言ってくれたらいいのに…」
「悪い事じゃ無いんだ」
「いい事でも残業の臭いがプンプンしてますよ!」
「そこは諦めてギルドマスターの所に行こうか」
コンコン
「どうぞ」
「王都よりソルトレイク様と思われる問い合わせがありました。担当者も連れて来ましたので対応お願い致します」
「わかった。何があった?」
「2日前王都でダンジョンより魔物氾濫中の森にてワイバーンを大きなメタルニードルで殴り殺して収納。その後ダンジョン方面へ移動。夕方魔物氾濫が収束。話を聞きたいそうです」
「よし!デルタ対応するぞ!Sランクの冒険者証を2つもってこい」
「え?どういう…」
「早くしろ。領主館に行くぞ」
「はい…やっぱり残業か…デートが…」
2人は走って領主館に移動する…
「ギルドマスター何で冒険者証を持って行くんですか?」
「10日前Sランクになっているからだ」
「10日前って手続きどうするんですか!?」
「俺が処理し忘れただけだ。始末書書けば問題無い」
「何で10日前なんですか?」
「魔物氾濫の件でSランクになれば王都の冒険者ギルドに取られかねん…」
「ソルトレイク様は次期領主様の奥様なんですから王都の冒険者にはなりませんよ!」
「それとメダリスト王国の対策もある」
領主館に到着し…
「夜分すまないがミラ・ソルトレイク様にお目通りお願いしたい」
「先触れの無い訪問は取次致しかねますなぁ」
「俺は冒険者ギルドのギルドマスターだ!急ぎなんだ!」
「騒がしいのぉ…ワゴンではないかどうしたんじゃ?」
「ミラ様にお目通りをお願いしていたのです」
「ミラがどうした?しばらく前に戻って来とるが…」
「おそらくですが王都で魔物の氾濫を止めました。大至急Sランクになってもらいます」
「ほぅ…ではワシも動いてみるかの…とりあえずミラの話を聞こうぞ」
応接室にミラが呼ばれ…
「ミラ様王都でワイバーン撲殺しましたか?」
「あれ?もしかしてマズかったか?」
「ワイバーンを倒す自体は構いません。出来れば王都の冒険者ギルドに顔を出してからにして頂けると助かります。その後魔物の氾濫が治まったので話を聞きたいと王都のギルドから連絡来ております」
「あちゃー…」
「その反応はやはり何かご存知ですね?」
「知ってると言うか…ボス部屋までは行ったけど…」
ミラは経緯を説明すると…
「ワゴン他言無用の話じゃったの…」
「そうですね…デルタも他言無用だぞ…」
「分かってます!」
「なんか悪い事しちまったな…」
「起きてしまった事は仕方ないわい。イースの頼みでは断れんかったじゃろ?」
「あぁ。イースは可愛い妹だからな」
「ではこんなんでどうじゃ?ミラはイースに頼まれて貴族の責務として魔物氾濫を解決しに行った。ダンジョンを制圧しダンジョンマスターを倒して魔物氾濫を収束させた。完璧じゃろ?」
「貴族の責務と言われては冒険者ギルドを通して無い件は何も言えませんね…メダリスト王国対策は如何なさいますか?」
「ワシが何とかするわい」
「とりあえずミラ様冒険者証をSランクのものと交換して下さい。アヴィもだ」
「Sランクなんか貰って良いのか?」
「Sランクじゃないと困るんだ。冒険者ギルドは国を跨ぐ組織ですから国の言うことを聞く必要はありませんが貴重なSランクでないと国に逆らうのが難しくなるのです」
「?」
「国から騎士になれという命令が下るのじゃがSランクは貴重じゃからの冒険者ギルドも全力で抵抗するのじゃよ」
「あたい騎士になんなきゃなんねーのか!?」
「ミラは錬金術師じゃろ?騎士にならんで済むようにワシとワゴンで守ってやるわい」
「じいちゃんありがとう!」
「ミラはしょうもない戦争なんぞに行かさんぞ!ラテの子供産んでもらわんといかんからの」
「じいちゃん…」
顔を赤くして恥ずかしがるミラであった。