ミラ20歳
新年になって数日…
「ばあちゃんが!?」
ビーが危篤になったと聞いてミラはすぐにビーの家に駆け付ける。
「ばあちゃん!」
「ミラかい…話がある…人払いを…」
「あんまり喋っちゃ…」
「早くしてくれ…もう長くはもたないんだよ…」
「分かった。みんな2人きりにしてほしい」
一緒に駆け付けたメンバーと医者達が部屋から出る。
「ミラ…手を握っとくれ…」
「あぁ」
ミラがビーの手を握るとビーの手が光り何かがミラの中に入ってきた。
「ばあちゃん今のは!?」
「ミラにあたしのスキルをやったのさ」
「はぁ!?スキルってあげたり出来ないだろ!?」
「普通はね…あたしは異世界人なんだよ」
「魔王軍のゾーマが異世界人って言ってたな…イースは異世界転生者って…」
「おや…お前さんの周りには何人も居るんだねぇ…普通は信用してもらえないんだけどねぇ…あたしは砂漠の国に召喚された勇者だったのさ」
「ばあちゃん勇者だったのかよ!」
「国王にドラゴン倒せって言われて…砂漠に放り出されたんだよ…」
「ひでーな…」
「砂漠を彷徨って死にかけた時に会ったのさ…ドラゴンと…」
「倒したのか?」
「いや…お嬢さんこんな所で寝ていたら死んでしまいますよ?街まで送りましょうか?ってね…ドラゴン優しかったんだ…」
「うんうん」
「あたしはドラゴンに惚れちまってね…ドラゴンと一緒に砂漠で暮らしていたんだ…」
「今ドラゴンは?」
「討伐隊からあたしを守って死んじまったよ…」
「なんてこと…」
「討伐隊から逃げて…海を渡り…さまよい歩いていたら…冒険者だったコンパーノに拾われて…一緒に旅をして…領地に住ませてもらったのさ…」
「そんな事があったんだ…」
「あぁ…異世界から来たあたしを快く保護してくれるコンパーノは…大した男だよ…」
「ばあちゃん異世界人とスキルをあげるのは関係あるのか?」
「こっちの世界に転移する時に女神様に会ってスキル貰うのさ」
「うん、それで?」
「ローレル様は面倒くさがりでな…欲しいスキルを沢山言うとめんどくさいから自分で作れってスキルを作るスキルが貰えるのさ…」
「女神様が面倒くさがりってイメージ台無しじゃねぇか…」
「だから最後の力を振り絞ってスキルを渡すスキル作ったのさ…残念なのはスキル作成が渡せんかったことじゃな…」
「なんであたいに!?」
「あたしはドラゴンと愛し合ってたババアだよ…結婚も出産もしとらん…だがね…コンパーノはあたしに娘を可愛がる機会を与えてくれた…」
「ばあちゃん…」
「あたしの跡取り娘はミラなんだよ…お迎えが来たみたいだね…ミラ…強く生きるんだよ…」
「ばあちゃん!ばあちゃん!」
ビーの体から力が抜ける。医者を中に入れ見てもらうが…
「ビー様は永眠なさいました」
ビーの安らかで僅かに微笑んだ顔を見ながら皆が泣いていた。