ミラ19歳
今日はソルトレイク領の領都から隣村まで馬車で素材採取に出ていた。
「奥様…」
「なんだい?アヴィ?」
「奥様まで馭者台に乗らなくても…」
「1人で箱に乗ってても暇じゃねぇか」
「そうかもしれませんが…奥様何か来ます!」
「だな…」
馬車を停めて降りる2人。
「たぁ助けてぇぇぇぇぇ」
ローブを着た10歳程度の少女がゴブリンに追われて走ってくる。
「子供!?アヴィ」
アヴィが子供を抱き上げる。ミラは子供を追い掛けているゴブリンを叩き斬る。一撃で3体のゴブリンを倒したミラ。アヴィはその間に子供を馬車へ押し込んできた。
「なんでこんな所にゴブリンが?巣でも出来たか?」
「可能性はあります」
「ギャギャギャ」
襲いかかってくるゴブリン。ミラとアヴィは軽々とゴブリンを蹴散らしていく。倒し終わると…
「お嬢ちゃんどっから来たんだい??」
「お嬢さんおうちは何処ですか?」
「パパとママが!」
「何処だ!?」
「あっち」
街道の先を指差すので馬車で進む。しばらく行くと…
倒れて動かない男とぐったりした女性そしてぐったりした女性に襲いかかるゴブリンがいた。
「このクソゴブリンが!」
ミラは馭者台から飛び降りるとゴブリンを蹴散らす。
「奥様…」
ゴブリンを倒し終えた所にアヴィが来る。
「さて…どーすっかな…」
「とりあえず亡くなった2人の身なりを整えます」
「そーだな…頼む…」
ミラは馬車に行くとドアから中を覗き…
「あたいはミラ・ソルトレイク名前は?」
「ミゼット…パパとママは?」
「奥様準備出来ました」
「ミゼット…気をしっかり持つんだよ…」
ミラはミゼットの手を握って馬車から物言わぬ2人の所へ。
「パパ!ママ!」
駆け出すミゼット。ミゼットが着ているローブのフードがはだける。
「な!」
「え!?」
「「エルフ!?」」
「パパーママーうわぁぁぁん」
母親だったものに縋り付くミゼット。ミゼットの耳を見て驚く2人。ひとしきり泣いたミゼットに…
「ミゼット…他に頼れる人は居るのかい?」
首を振るミゼット
「奥様領都に帰りましょう」
ゴブリンの討伐証明部位である左耳を切り落としてから処理したアヴィが戻ってきた。
「そうだな…」
「騎士団を派遣してもらいましょう」
「うん…」
「奥様?」
母親だったものに縋り付いているミゼットをぼーっと眺めているミラ…意を決したように真剣な顔をする。
「ミゼット!頼る人が居ないならミゼットが大人になるまであたいが一緒に居てやるから元気出せ!」
「お姉ちゃん…」
馬車に2人の遺体を乗せ馭者台に3人で乗って領都を目指すのであった。




