冒険者になろう
ギルマス視点
(次期領主の嫁が冒険者になりたいだと!?冒険者は遊びでやる仕事じゃないんだぞ…)
コンコン
「どうぞ」
「失礼します。ソルトレイク様とアヴィ元A級冒険者をお連れ致しました」
受付嬢に案内されてミラとアヴィがギルマスの部屋に入る。ミラを見てギルマスが目を見開く。
(フェロー!?そんな訳ないか…生きていればフェローは40代ソルトレイク様みたいな年齢ではないか…)
「はじめましてーって…ん?どした?あたいの顔になんか付いてるかい?」
「失礼。知り合いに似ていたものでね。ソルトレイク様は剣士でありますか。冒険者は命懸けの仕事ですからお嬢様の遊びで冒険者になろうとしているならお止めしようと思って来て頂いたのです」
「いや?あたいは錬金術師だけど?」
「またまたご冗談を…」
「奥様は私と互角に打ち合える錬金術師です。王立高等学園の騎士祭で4位になる実力です」
「き…騎士祭4位だと…下手な騎士より強いではないか…」
「ですので奥様は強さに関しては私と同等です」
「討伐依頼も受けて貰えるのだろうか?いや…次期領主の奥様に危険な討伐依頼をこなしてもらうのは問題があるか…」
「あたいは錬金術師のばあちゃんに言われた素材取りに行きたいだけだぜ?」
「錬金術師のばあちゃんとは?」
「錬金術師のビー様です。素材採取リストはこちらで指名依頼として処理してもらう予定です」
「それほど大変なものは無いな。ソルトレイク様冒険者として登録しますので明日再度来て頂けますか?」
「わかった」
「アヴィ明日アヴィの冒険者証も用意しておくから一緒に来るように」
「畏まりました」
ミラ視点
冒険者ギルドを出て領主館に歩いて帰る。
「帰ったぜ」
「おかえり。錬金術師はどうだった?」
「弟子にはしてくれたけどさ素材取ってこいって」
「ミラ使い走りをさせるとは許せん!」
「良いんだって!そんで素材採取の為に冒険者になったぜ!」
「冒険者!?危険ではないのか?」
「大丈夫だって…アヴィも居るし」
「私が奥様をお守りしますので御安心ください」
「そうだな…素材採取に行く時は護衛騎士を1小隊連れて行くといい」
「大袈裟だなーラテは」
ミラはラテの背中をバンと叩く。よろけるラテ。
「危険な採取はしないように進言致しますので大丈夫です」
「わかった。A級冒険者を信じるよ。ミラを頼んだぞ?」
「畏まりました」
「そーいや何でアヴィは冒険者辞めたんだい?」
「辞めたと言うか辞めざる負えない状態だったと言うか…」
「?」
「アヴィは借金奴隷になる直前に父上がミラの護衛兼メイドとして教育したのだよ」
「はい…お恥ずかしながら…実家の借金をコンパーノ様に肩代わりして頂きました」
「ふーん…アヴィも大変だったんだねぇ…」
「ですから奥様の身は命に変えてもお守り致します!」
「自分の身位守れるからさもっと気楽でいいぜ!」
ミラは錬金術師と冒険者2つの仕事をする事となった。




